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美しき挨拶

古本屋でポストカードを物色していたら随分お洒落なカードを見つけました。

Raphael Tuck & Sun社 グリーティングカード
新年のご挨拶と、新年が明るく幸多き年でありますように。
満足の光が・・・

中を開くと「満足の光が、あなたの新しい年を輝かせますように。そしていつまでも、日ごとに、そのバラ色の時間が、あなたのとげのない道に花の雨を降らせるように!幸運の表情に、しかめっ面が見られませんように。しかし、悪知恵にには愛が満ちています。彼女の晴れやかな顔に、ほほ笑みのえくぼをなぞることができますように」というSamuel Kennedy Cowan (サミュエル・ケネディ・コーワン)という詩人の詩が印字されています。

さて、このカードはどの会社から出されたモノでしょうか。調べてみるとトレードマークを見つけました。このマークはRaphael Tuck & Sun社のものです。Raphael Tuck & Sun社 は、1866年10月にロンドンのラファエル・タックとその妻エルネスティン・リスナーが始めた写真やグリーティングカードを販売する会社です。1860年代はクロモリトグラフの技術が発達し、様々なクリスマスカードが製作されるようになります。
Raphael Tuck & Sun社はカードのデザインコンペを開催し、優秀な作品には賞金だけで無くデザインを買い取りを行いました。デザインの多くは女性画家の作品でした。昔は女性画家が生計を立てるのは男性以上に難しく、クリスマスカードのデザインを担当することは自身の才能を生かしながら生計を立てることができる数少ない場でした。本資料も恐らく女性画家がデザインしたものでしょう。

国王、王妃両陛下へ

トレードマークの下には「国王、王妃両陛下へ」と印字が見られます。どういうことでしょうか。
1893年、Raphael Tuck & Sun社はヴィクトリア女王から王室御用達として認められ、女王は毎年千枚ものカードを依頼したそうです。ということはこのカードは王室御用達に認められて以降のものと考えて良いでしょう。
100年以上前のカードではありますが、色褪せずに現代を生きる私たちにその美しさを見せてくれます。


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