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【ミニ社長塾 第27講】計画の実行力を高めるためには? 人を動かす3つの要素

おつかれさまです。
中小企業診断士で、社長の後継者に【徹底伴走】するコンサルタントの長谷川です。

19期の社長塾が修了して1ヶ月ほどが経過しました。修了された皆さまは、その後いかがでしょうか……? 社長塾では、修了してからフォローアップ研修を行うことにしており、19期生の皆さまは8月に行う予定です。その時に、皆さまの「その後」をお聞きできることを楽しみにしています!

社長塾を受講した成果物の一つが「価値創造計画」という中長期経営計画です。今、受講いただいている20期生の皆さまにとっては、これまで学んでこられた経営知識と課題として取り組んでいただいた自社分析の情報をもとに作成をしていただくことになります。

そこで、今回のミニ社長塾では、『計画の実行力を高めるためには? 人を動かす3つの要素』として計画づくりにフォーカスしてお話いたします。第27講のミニ社長塾も、どうぞよろしくお願いいたします!

1.経営計画を立てる意味

経営計画、というものについては、それぞれの会社で考え方があると思います。1年ごとの短期や3~5年の中期、あるいは10年単位の長期であったり、目的や意味合いによって変わってきます。

経営計画の役割として大きく2つあると考えていて、一つは「経営者が頭の中で描いているものを整理すること」、そしてもう一つは「経営者が頭の中で描いているものを表明すること」です。

会社を前に進めるためには社員を巻き込んでいく必要があり、そこにはコミュニケーションが欠かせません。経営計画は、そのコミュニケーションのためのツールになります。

先にありましたように、社長塾では「価値創造計画」という経営計画を検討いただきます。経営計画ですので、基本的な構成や策定の流れは次のようなものです。

会社は何らかの目的があって設立されています。目的の「あるべき姿」は経営理念であるので、起点は経営理念です。そこから、理念の実現に向けての経営戦略があり、実行していくための計画があり……というように、川の流れのように上流から下流に向けて考えていきます。(ここまでが、経営者の仕事になります)

このように経営計画を考えていくなかで、先般の19期生の伴走をしているなかで、よく聞いた言葉が「整合性をつける」でした。

この戦略を実行することは理念の実現に沿っているか、あるいは計画を実行すれば売上や利益の目標額を達成することができるか、といったことの整合性を見ているものです。

このことについて、さらに見ていきます。

2.実行力のある経営計画とは

経営計画は、経営者と社員とのコミュニケーションツールとしての役割があります。

「この会社をこうしていきたい」
「社会に対して、このような価値を提供していく」

といったことを経営者から表明することで、社員は安心感を持てるようになります。そして共感していただくことができると、担当する業務を自分ごととして強く想い、より高いパフォーマンスを発揮することにも繋がります。

経営者の皆さまには、是非とも「あるべき姿」を明確に語っていただきたいです。そして、あるべき姿を目標として、どうすれば目標を達成することができるか。現状とのギャップ(=問題)を捉えて、問題解決までの道筋を論理的に示すことができるかによって、計画の実行力は大きく変わってきます。

実行力のある経営計画のポイントとしては、大きく3つあると考えています。

まず一つ目は、「現状を正しくつかむこと」です。ここの解像度が低ければ、現在地が分かっていないような状況で目的地に向かうようなものです。少し入り組んだところに入れば、一瞬で迷子になってしまいます。

次の二つ目は、「活動を構造化すること」です。あるべき姿と現状のギャップを埋めるためには、どのような活動をしなければならないのか。それは、どのようなことで構成されているのか。大きなハードルでも、一歩ずつコツコツと積み重ねることで乗り越えることができるようになります。

そして、三つ目は、「数字もあるべき姿からの逆算であること」です。数値計画を立てるとき、「売上-コスト=利益」の数式で考えがちです。これは利益は結果というとらえ方をしていると、必要以上にコストがかかってしまったとしても仕方がない、という数字の意識になってしまいます。

しかし、「売上-利益=コスト」の数式で考えるとどうでしょうか? この時の利益は結果ではなく「目的」です。欲しい利益を得るために、コストを見積もるとこのくらい、だから売上はこのくらい達成しないといけないよね、という数字の意識になります。

そうすることで、この売上目標を達成するためには、どういう行動をしていかなければいけないか、を構造化して積み上げていくことでムリなく目標達成できる計画を立てることができます。

実行力のある計画とは、努力すれば実現可能な「現実的なゴール」を設定し、目標達成に向けて細かくアクションプランに落とし込んだ計画のことを指します。このような計画を積み重ねていけば、いつか皆さまの夢にも手が届くようになると思います。

3.ロゴス、エトス、パトス

経営計画について色々と調べていますと、いつも間にか古代ギリシアの哲学者アリストテレスに辿り着いていたのですが……彼が言っている「人を巻き込み、人を動かすための要素」はとても参考にあるので紹介します。

その要素は、ロゴス(論理)、エトス(倫理)、パトス(情熱)の3つです。

まず一つ目のロゴス、上述もしましたが「論理的に示すことができるか」という話です。話の理屈が通っていなければ、相手の理解は得られません。しかし、論理的であることは大事なのですが、理解を得られたとしても納得感は得られるとは限りません。なぜなら、「言いくるめられた」とネガティブにとらえられてしまう可能性があるからです。

そこで、二つ目のエトス。論理性だけではダメで、そこには倫理観(道徳観)が必要です。例えば、社会的貢献や課題解決により、他者へお役立ちできているといった視点です。人から感謝されることは、大きく心が動く瞬間です。

そして三つ目のパトスです。情熱をもって語りかけることで、人の心は動かされます。相手に伝わる言葉は、いつも熱を持っています。あの人のために! と想いをもって動いてもらうためにはロゴス、エトス、パトスが揃っていなければならない、とアリストテレスは説いているのですが、その通りだと私は思います。

経営計画には、ロゴスとエトスを込めることができます。そして、その計画を経営者はパトスを持って

「この計画を何としても実行していきたい!」
「そして、このような将来を実現していきたい!」

と語ることで、社員は動き、計画の実行力も高まってきます。新年度となった会社も多いと思いますので、改めて自社の経営計画を見直すキッカケにしていただけますと幸いです。

今回は、『計画の実行力を高めるためには? 人を動かす3つの要素』という記事を書きました。いかがでしたでしょうか? 
次回の【ミニ社長塾】も、どうぞよろしくお願いいたします。

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