SIerの広報が思う、技術者が広報と上手くやる6つの方法

この記事は、NSSOL Advent  Calendar 2019の24日目の記事です。

技術者でも何でもないのに、
昨年から会社で始まったAdventCalender祭りにちゃっかり参加しちゃっています。

ちなみに、技術の話は全くしません。
 
「自分がやってることを、もっと色んな人に知ってもらいたいな」と思っている技術者にとって、広報とコミュニケーションを取る際、もしかしたら役に立つかもしれない話です。
 

——-ところで、おまえはだれだ?

SIerの広報担当やってます。

「技術者ってすごい!」と憧れを感じ、「そんな人たちの活躍の場をたくさんつくりたい!」と思いながら営業をしていたら、突然広報に異動。
超少人数体制、膨大な企画づくりにアップアップしながらも、現在、社員の「全員主役化」をモットーに広報活動に勤しんでます。

そんな感じなのですが、
最近、社内でだんだんと広報への期待が高まってきている感じがします。

会食の帰りの電車で「広報って、関係作りであって、一方的に報じるだけじゃダメなんだ」と語っている人に出会った。「確かにそうだよねぇ」と日頃、それを実践している広報と一緒に仕事させてもらっていて、感じるのでした。

社内SNSでは、こんな声も。
う、うれしい・・・
 
他にも、
「今こんなことやってるから取り上げてよ!」
「もっとこの取り組みを知ってもらいたいんだけど、アドバイスちょうだい」などなど、
声をかけてもらえるように。
 
そうやってメンバーと話すたびに、社内はコンテンツの宝庫だなぁ、ブランド資産ザクザクだなぁ、とひしひし感じます。
 

広報としては頑張りどころなのですが、もっと技術者にこれを意識してもらえたら、効果的な広報ができるな〜と思うことを書いてみました。


1. 広く知られる価値を知る

頑張ったそのプロセス、そのアプトプット、「知る人ぞ知る」で悦に入っていては、もったいない。往々にして、自分や自組織の当たり前は、他の人や他組織には新鮮だったりしますが、発信しないと、その事実も分かりません。
そう、広く知られることで得られるものは、はかり知れなーい!

 ・外から見た自身の取り組みの位置づけや価値を知る
 ・違うマーケットの可能性が広がる
 ・連携できそうな組織が見つかる
  などなど

そのためには、ちょっとウザいくらいに、様々な角度から繰り返し伝えることが大切です。自分でバシバシ発信してもらうのも嬉しいですが、広報にも頼ってくださいよ。
各拠点、事業部などの単位で広報的な役割を担っている人がいると社内情報を吸い上げて連携してくれますが、大体そんなことない。
なので広報は、常に積極的な情報インプットを切望しています!
そしてちょっと忙しくても、広報からの取材協力がきたら、頭ごなしに断らずに協力してあげてくださいね。広報は”つなげる人”として努力をします。


2. 前広に共有する

広報に情報インプットっていつするのよ?
今でしょ!
そう、そうすぐにでも。今です、今。

会社によって、コンテンツによって、発表に適した時期があります。定期的な発行物があれば、前提となる制作スケジュールがあります。
前広に情報が入ることで、いつ、どこで、どんな媒体で、どのようなストーリーで広報するのか、コンテンツの価値を最大限発揮できるプランが立てられます。
結果が出てからではなく、何かに挑もうとしている時点から教えてもらえると、プロセスをドキュメンタリー的に追うことができるなど、リアルなネタが仕込めます。
そのためには、広報も活動をオープンにすることが大事なんですよねぇ(自戒を込めて)。目指せアジャイル広報!


3. 省略を許す

技術者って、全く話下手ではないですよね。むしろ饒舌。もう自分の専門領域にいたっては、言いたいことがたくさんありすぎて止まらない。

IT会社の非技術者にとっては鍛えられるので本当ありがたいのですが(途中から技術の話は頭に入ってこず、微笑ましく観察するモードに切り替わる)、ちょいストップと思うときも。

例えば、
・メディア記者の方の取材を受けてもらうと、記者が求めてないところを懇切丁寧に説明してくれる時。
・記事コンテンツの間違いがないかの確認をしてもらうと、原案の数倍の文字数で返ってくる時。

うん、おなかいっぱい!

たくさんの詳細情報をインプットしてくれても、媒体や企画が狙っている読者ターゲットやストーリーに合わせて、詳細な技術まわりの情報は省略されます。「美は細部に宿る」のでしょうが、コミュニケーションの目的に合わせての省略は許してほしい!
媒体特性をつかんで、そのあたりのギャップを事前に埋めるのも広報の仕事です。



4. 身近な何かに例える

技術者界隈で使われる言葉は分かりにくい。
かくいうド文系からSIerに入社した私も、周囲がいったい何語を話しているのか分からず、これはとんでもないとこに来ちゃったなと、しばらく後悔したものです(笑)

業界メディアでない限り、技術の細かいところまで理解してくれる記者や読者はいません。IT系であっても、Web系、ガジェット系、エンタープライズ系など幅広いので、技術者が話すことをどこまで理解できるかは怪しいところ。

そして残念なことに、記者は理解できないことについては書いてはくれません。読者側も、理解できないことに対しては、警戒心を持ちます。それならまだしも、自分には無関係と察知して、スルーされてしまう。

その時に使えるのが、安直だけども、たとえ話。
なるべく想定する相手が身近に感じる何かに例えること。相手の経験と関連付けてあげることで、「あ~、そういうこと」とイメージを思ってもらいやすくなります。
広報は、技術者と一緒にベストな言語化を考えていきます。


5. エモみを乗せる

論理的、現実的、具体的な技術者の皆様。
クールに決めるのもいいですが、たまには自分のエモに正直になるのもいいですよ。
というか、技術的な話と、エモい話は相反するような言い方をする人がたまにいますが、そんなことはない!技術は感情を持つ人が介在して初めて価値が発揮されるものだと思います。

ただでさえ、SIerの仕事やアウトプットって分かりにくいものが多い。それを伝えるための具備となるのが、エモさだったりします。
技術者として、組織としての思想や情熱といったエモなエネルギーは共感を呼び起こす。特に他分野や非技術者を巻き込むのに効果を発揮します。反対に、何も感情が動かされないことは、悲しいことに簡単に忘れられてしまう・・・。変に排除せず、うまく活用しない手はないのではないでしょうか。
広報は(私は)、現場の情熱がモチベーションなので、エモみが乗ってるとニンマリします。


 6. 技術の先を見る

その技術は、だれを幸せにする可能性を秘めていますか?あなたはだれを幸せにしたいですか?社会的な意義をストーリーに入れることで、そのコンテンツの注目度はぐっと増します。

PR業界では、メディア向けのフックとして、社会性、新規性、独自性、希少性、意外性、季節性、話題性、地域性があるものは取り上げてもらいやすくなると言われています。

きっと技術者がそれらを意識することは、開発のモチベーションのひとつになるのでは。そして注目度が上がって知ってくれる人が増えることで、さらにモチベーションが上がる好循環が!
広報は、そんな皆さんのアウトプットをメディアフックと結びつけながらピカピカに磨くのがお仕事です。


以上。

だいぶ長くなってしまったのですが、書きながら、「これらを実践しやすくするために、自分はこうありたいな」という課題も見えてきました。感謝。

これからも、「一緒に仕事がしたい」と思ってもらえる広報を目指したいと思います。