塩出晴海 / Nature

「自然とつながるテクノロジー」Natureの創業者。エンジニア、商社マンからの起業家。…

塩出晴海 / Nature

「自然とつながるテクノロジー」Natureの創業者。エンジニア、商社マンからの起業家。もっと自然を感じられる世の中にしたい。カーボンニュートラル、エネマネ、IoT、スタートアップ、ヨット、トライアスロンの話題など。

マガジン

  • 自然との共生を目指して

    • 23本

    自然との共生を目指すNatureの挑戦とその記録

最近の記事

仏教とアイアンマンと2024年の目標

早いものでNatureも創業して、10年目に入ったのだが、会社を経営する上でのこの数年間の僕の最大の関心ごとは、「知覚と反応の間」をどう生きるかということに集約されているんじゃないかと思う。 仏教では、「心による行為」を以下の4つに分類し、苦悩を生み出す、渇望や嫌悪の連鎖を断ち切ることで解脱することが説く。 1. 知覚(意識) 2. 認識(評価・識別) 3. 感覚(快・不快) 4. 反応(好き->渇望、嫌い->嫌悪) 些細なことのようでこの知覚と反応のわずか一瞬をどう

    • 変容の年2023年:手にとりやすいエントリーモデル「Nature Remo nano」の発売と「Nature Green」の有償サービス提供開始

      変容の年2023年の既存製品の価格改定(2023年6月1日に実施)の次の一手として、Matterに対応しながらも、3980円という低価格を実現したエントリーモデル「Nature Remo nano」を2023年7月4日に発売した。 そして、満を持して今日、Natureのソフトウェアサービス「Nature Green」の有料オプション第一弾として「市場連動オートメーション」という有償のエネルギーマネジメントサービスをローンチした。 手に取りやすいエントリーモデル 「Natu

      • 変容の年2023年:「Nature Remoシリーズ」の値下げに込めた思い

        皆さん、ご無沙汰しています。 2023年冒頭にnoteを書き、そこで僕はこのようなことを書いていました。 早いもので2023年も5ヶ月が経ちました。年初に発表したHome Energy Management System(HEMS)であるNature Remo Eのオートメーション機能(エコキュートとEVPSの自動制御)の実現に続いて、2023年6月1日からNature製品の販売価格を改定し、値下げをいたしました。 ■対象製品と改定後の販売価格 Nature Remo

        • 2023年は「受容から変容」の年へ

          2022年は「受容」の年 2022年を振り返ると、Natureとしては厳しい状況が続き、「受容」の年だった。 コロナ禍からの経済復興、ウクライナ戦争などを契機にした燃料及び電力価格の高騰。異例の円安水準による製造原価の高騰。どれもNatureの事業には、大きくマイナスな影響を与える外部環境要因となった。一方で、電力逼迫回避のための節電要請が出され、再生可能エネルギーへのシフトについても大きく加速した。 昨年は総じて厳しい環境の中にはあったが、その状況をしっかりと受け止め

        仏教とアイアンマンと2024年の目標

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        • 自然との共生を目指して
          23本

        記事

          この世はエネルギーのフローでしかない

          Energy Flow Natureでは、毎週月曜日に全社定例Meetingをやっている。 その中で、今週のトピックとして、僕自身が考えていることやみんなに伝えたいことを話す時間がある。 以前に会社のメンバーから、「晴海さんが普段考えていることや思考のプロセスを共有することで、今なんでそれをやりたいのか、なぜそれが重要なのかがより伝わるのではないか」という提案をもらったことがある。 それもあって、全社定例では、事業を取り巻く環境のこと、組織のこと、プロダクトのこと、会

          この世はエネルギーのフローでしかない

          電力小売の反省と肉体改造

          電力小売事業の撤退を通じて創業当時からやりたいと思っていた電力小売事業の撤退は自分でも色々と事業との向き合い方について考えさせられた。 その電力小売事業での一連の出来事を通じて感じたのは、 1. 自分でコントロールできるもの(プロダクト) 2. 自分でコントロールできるが、環境の影響も受けるもの(売価、原価) 3. 自分でコントロールは多少できるが、環境の影響が大きいもの(法制度) 4. 自分でコントロールできず、環境に左右されるもの(疫病、戦争、天災) をしっかりと理

          電力小売の反省と肉体改造

          ヴィパッサナー瞑想修行を終えて

          先月の21日から念願のヴィパッサナーの10日間の瞑想修行コースを京都のダンマバーヌで体験してきた。そこには、僕の人生観を変えるような気づきがあったので忘れないうちに記録したい。 瞬間が快感に変わる時 15年前、沖縄の宜野湾から奄美大島の加計呂麻島を目指したオーバーナイトでのセーリング。あの時ヨットで感じた自然と一体化することでの高揚感は、人間の感覚刺激に対する自然な反応で、感覚さえ研ぎ澄ませることができれば、ただ目を閉じて座っているだけでも感じることができる、ということに

          ヴィパッサナー瞑想修行を終えて

          電力小売事業から撤退し、エネルギーマネジメント事業に注力します

          昨年3月から新規事業として取り組んでいた電力小売事業から撤退し、エネルギーマネジメント(エネマネ)事業に注力することに致しました。Natureスマート電気をご利用いただいておりますお客様にはご迷惑をおかけして本当に申し訳ない気持ちで一杯です。撤退という結末になったこと忸怩たる思いです。今後は並行して進めていた戸建てのエネマネ事業に注力し、脱炭素化に貢献すべく頑張っていきたいと思います​​。 電力小売事業から撤退の背景カーボンニュートラルの要となる再生可能エネルギーの導入量を

          電力小売事業から撤退し、エネルギーマネジメント事業に注力します

          ちょっと脱皮できた2021年(個人編)

          2021年は、組織や人のことを色々考えさせられた1年だった。 僕個人としても、大きく価値観の変わるような体験があった。その中でも、いちばん自分の中で大きかったのは、人生初の睡眠障害に陥り、 「自分がいかに自我という幻想に縛られて生きてきたか」 ということに気づけたことだ。これによって、僕の中でモノの見方がバッサリと変わった。 2021年では、もう1つアドラー心理学との出会いがあった。アドラー心理学のことを実践していたことが、自分の自我への向き合い方を変えるきっかけにな

          ちょっと脱皮できた2021年(個人編)

          ちょっと脱皮できた2021年(会社編)

          2021年を振り返ってみて、一言で言うと、「脱皮」の年だった。 Natureのプロダクトでは、Nature Remoは累計販売台数が40万台を突破したものの、念願の電力小売事業への参入となったスマート電気の方は、サービスローンチ直前にまさかの電力市場の沸騰。そこから軌道修正を加え、年末にはようやくなんとか軌道に乗り始めた。 Nature自身では、リブランディングで会社のロゴや製品のデザインを一新したり、ビジョンやバリューを明文化したり、オフィスも心機一転で横浜に引っ越した

          ちょっと脱皮できた2021年(会社編)

          人はなぜ自然を求めるのか

          休暇は、自然の中でリフレッシュしたい。老後は、大自然の中で自給自足の生活をしたい。 これらは、人間としての自然な欲求だ。でも、どうして、これだけ高度に開発された社会を捨てて人は自然を求めるのか。 それは、自然には癒しの効果があるからだと思う。癒しは解放によって起こる。例えば、自然に浸ることで五感が刺激され、リラックスできるということもあるが、本質はもっと深いところにあるのではないか。 僕の父が、10年近く前にヨットでロサンジェルスからハワイまで行ったことがある。1ヶ月近

          人はなぜ自然を求めるのか

          ホラクラシーで自由と創造の文化を貫く

          この1年間、組織論に始まり、マネージメント、コーチング、アドラー心理学を勉強し、実際に会社経営の先陣を切っているスタートアップの経営者(日頃お世話になっているDeNAの南場さんやSansanの寺田さんに加えて、SmartHRの宮田さん、レノバの木南さんなどなど)にも話を聞きながら、Natureにとってのいちばんの組織の形態とはなんなのかを考えてきた。 結論としては、NatureのValuesである、Creativity(創造)やLiberty(自由)をいちばん体現できる組織

          ホラクラシーで自由と創造の文化を貫く

          自然との共生のその先へ

          最近、いくつかの出会いがあり、Natureという会社のミッションがさらに進化しそうだ。 1ヶ月ほど前にお会いしたEight RoadsというFidelityグループ(投資信託の販売・運用会社)のベンチャキャピタルのパートナーの村田さんから、 「塩出さん、自然との共生をテクノロジーでドライブする(2021年11月より「自然との共生をドライブする」に変更)ってミッションすごくいいと思うんだけど、その先に何があると思う?塩出さんには見えてるのかなと思って」と、質問を受けた。

          自然との共生のその先へ

          ダイバーシティについて思いを馳せる

          Natureでは、これまで、雇用形態や国籍、ジェンダーなどに囚われず、多様性のある組織の中で、個性あふれるメンバーの活躍に支えられてきた。 一方で、これまでは会社の福利厚生を含めた制度が十分に整備されておらず、ダイバーシティを考慮した職場づくりができていたかというと甚だ疑問で、そこをなんとかテコ入れをしていきたい。 殊更、最近では、旧来の固定的な性別に関係なく、等しく全員が活躍するためには、会社として何をすべきかについて議論を重ねている。そこで、今回はNatureという会

          ダイバーシティについて思いを馳せる

          「テクノロジーでラクラク節電キャンペーン」始めます

          本日から、「テクノロジーでラクラク節電キャンペーン」を開始した。 これは、Natureの創業当初から構想していたNature Remoを使ってエアコンの温度調整をすることで電気の需給逼迫の解消を助けるというもの。実は、Nature Remoはこれを実現するために作られたものだ。 一部のプラン(スマートプラン)では、先行して実現できていたのだが、今回のキャンペーンの実施で、人気のフラットプランやハイブリッドプランでもデマンドレスポンス(電気の需要(消費)と供給(発電)のバラ

          「テクノロジーでラクラク節電キャンペーン」始めます

          再エネ100%の世界とNatureの未来

          ベンチャー企業の舵取りは、ヨットの操船にとても似ている。 ヨットは、風向きを考えながら舵や帆の角度を細かく調整する必要がある。真っ直ぐに舵を切っていても真っ直ぐ進まない。状況に応じて細かい操船が必要だ。 ヨットは、風に向かって進むことができるが、風の真向かいにだけは進めない。少し角度をつけて風を受ける必要がある。また、風を真横から帆が受けるアビームという状態でもっとも早く進む。目的地に対して、角度を取るか、スピードを取るか、状況に応じて判断しながら進路を決めていく。 ベ

          再エネ100%の世界とNatureの未来