【ショートストーリー】バス
買い物の帰り、母とバスに乗る。始発のバス停で、その時は運転手の真後ろの席に座るのが好きだった。運転士になった気分と子供が座る足の高さが丁度よかった。
そこに座ると、バス停から乗って来る人の色んな人を子供ながら見るのが好きだった。
向かう先が職場に変わっても
そんな路線バスを暑い太陽に照らされたバス停で本を読みながら待ったり、待っている後ろに植えてある金木犀の香りで秋を感じたり。
朝からひどい雨風で傘をさすのもやっとで、バスが来て慌てて傘を閉じて、バスの中に雨水が滴れたり。
凍りついたアスファルトに足が悴んだで、早く来ないかなとバスを待った。
道路の向こうからバスの姿が現れると、来たーと嬉しくなる。
祖母と買い物をするため、その日もバスに乗る。段差が上がりにくい祖母はゆっくりと乗る。バスの運転手さんは、ずっと待ってくれる。
バスは仕事へ行く時のバスと遊びに出かける時のバスは同じバスなのに乗ってて違う感じがするのは何故だろう。
ずっとそのバスを利用していた自分をバスの運転手さんも見て来たのだろうか。
そんな運転手さんの子供が姉と結婚した。
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