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無農薬が本当にいいの?今のスタンス

有機農業をして、会社勤めを辞めてから研修も含めると10年になります。
町を変わらずに作物が作れるようになって8年目。

「就農する前」、「就農したて」と「今の考え方」の違いについて話したいと思います。

【就農する前】
東京の会社で働いていました。実家も農家ではなく全くの未経験。田舎暮らしもいいかなぁぐらいに考えていました。旦那の「農業するから結婚しよう」という一言に、そんな生活もいいかも。「ダメだったら戻ってくればいいか」ぐらいにしか考えてませんでした。その当時でも有機、無農薬の方がなんとなくいい。農薬は体に悪そうという意識がありました。

【就農したて】
就農する前、そもそも何作ったらいいのかもわからない状態。最初は※慣行栽培でピーマンを作る予定でした。なんで有機にしたかは「就農するまで」にまとめて書きたいと思います。
※慣行栽培:農薬も化学肥料も使っている一番一般的なやり方

就農当初、自分たちの方向性が曖昧なまま、有機のイメージにとらわれていました。有機農家だから食べる野菜は全部作って当たり前。玄米採食中心にしなきゃとかマクロビの話題に詳しくならなきゃ。牛乳はなるべく控えて豆乳にするとか。周りのイメージばかり気にしていました。無農薬なんだから価値があるはず。高く売れるはずとも思いこんでいました。

全然そんなことないのにね(笑)

作物が全滅。それでも農薬を使わないことの方がいいと思っていました。
「全滅=収入0」をやってまで農薬を使わないやり方に固執していました。

畑探や、畑の返却トラブル、出産育児でドタバタしているうちに「いつかは」と夢見ていました。

【今の考え方】
なかなか売れない野菜。全滅した畑。そのうち果たしてこのやり方ってどうなんだろうと思い始めました。
全滅しかけた畑でフランス人のWooferさんが「BT使いなよ」って教えてくれたことがあります。その時に初めて※「BT剤」を使いました。使うことすら罪悪感を持っていました。Facebookで申し訳なくて説明をしたこともあります。
※BT剤:細菌の一種であるバチルス・チューリンゲンシスという細胞を利用した生物農薬の一種。有機JASでも使用が認められている農薬です。

でも、いったい誰に謝ってるんだろう?

イベントに行けば「え?堆肥使ってるの?」とか「肥料使ってるの?」自然栽培じゃないの?と言われ、どれだけ肥料減らしたら作れるのかもしたことがあります。固定種も作ったことがあります。

とにかく見えない周りに振り回されてました。

なんかね、疲れたんですよね。

口では無農薬がいいとか固定種がいいと言いながら買わない人や自分のこだわりに。

自分たちの芯がなかったこともいけなかった。

そこから、自分たちのやり方を見直しブレない芯を作りました。

今は有機JASをとって、その規格に従って作っています。有機JASには使える農薬もあり、必要ならば使っています。

「え?有機って無農薬じゃないの?」これも話飛ぶので別の機会にします。

今、思うのは本当に農薬は悪なのか?ということ。就農当初は農業を知らないままイメージで農薬を敵視していただけなのではと気づきました。

そもそも、今の日本の食を支えているのは慣行栽培の野菜です。慣行農家さんがいるからこの食生活を保てるのです。
言ってしまえば、私はスーパーの野菜で育ってます。それでも健康に生きてこれてます。もちろん、中にはそうでない人もいるかとは思いますが。

みんなが有機農業したら、今のようにいつでもほぼ同じ野菜なんて手に入らなくなると思う。今、スーパーでいつでもいい野菜が手に入るのは慣行農家さんのおかげなんです。

慣行農家さん達が農薬を使ってるから悪いと思われがちですが、ちゃんとしている人はなるべく使わない工夫をしていたり、土のことを考えていたり、使っても量を守っている人ばかり。

安心安全を言葉だけで求めないで自分で考えてほしい。

そこまで心配なら産直ECで信頼できる農家さんを探してみるのもいいと思う。気になること聞けばいい。そうしたら教えてくれると思うし、そういう農家さんを選んでほしい。

無農薬だから安全ではないと思う。

今はそんな考えで野菜を作っています。

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まだ始めたばかりで更新は少しずつになります。それでも、フォローしてもらえると励みになります。次は「就農した理由、就農までの道のり」を書きたいと思います。

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