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#エッセイ
【ここでエッセイを書く前に、あなたにはほかに、やるべきことがあるはずです】
助けて、助けて、助けて。
頭のなかで、誰にともなく呟きながら、ぐるぐると旅先の寺を歩き続けた。縁もゆかりもない寺の神様が助けてくれるわけもないのに、ほかにすがれるものがなく、ひとり泣きながら新緑とツツジが彩る庭園を徘徊した。
2022年4月6日、私は、損なわれた。
ひとり旅をしよう。
そう思い立ったのは、今年の3月頃だった。解離の症状が軽快し、経済基盤が整ったことが決断を後押しした。何より、「
【今日この日まで命を繋いできた事実を、どうか、否定しないでほしい】~メンタリストDaiGo氏の差別発言により、希死念慮と格闘したサバイバーのひとりとして。
日々さまざまな人たちが、自身の価値観を元に多種多様な発言をしている。「個人の感性」では済ませられない発言を目にするたび、ぐらりと眩暈がする。Twitterのタイムラインに流れてくる情報は、振り幅があまりにも大きい。正しいもの、有益なもの、心休まるもの、笑顔になれるもの、美しいもの。それらに混ざって、この世の絶望を煮詰めたような台詞や主張、事件などが容赦なく流れ込んでくる。
メンタリストDaiGo
“生かすため”の議論を。
一人暮らしをしながら介護の仕事をしていたとき、無資格で中卒だった私の手取りは、10万円前後だった。そこからアパート代、光熱費、携帯代、保険代、駐車場代含む車の維持費を支払って手元に残った額が、私の食費だった。
擦り切れた下着を履き続け、靴下の穴は小学生の時から使い続けている裁縫セットで縫った。同年代の友人たちが大学へ通い、バイト代で海外旅行の計画を立てている。羨ましいを通り越し、もはや別次元の世