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サバイバーからの伝言

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虐待被害に合い、生き辛さを感じてもがき苦しむ人たちへ。 私があなた達に伝えたいことは、2つだけ。 『あなたは、悪くない』『生きて』
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#日記

【“それくらいで”なんて、そんな言葉で他者の痛みを片づけていいわけがなかった】

【“それくらいで”なんて、そんな言葉で他者の痛みを片づけていいわけがなかった】

自分以外の人間の痛みに、ひどく鈍感だった。

誰かの痛みに躊躇いなく「No」を突きつける。過去、私はそういう人間だった。他者の悲鳴を耳にするたび、「これくらいで」と思っていた。10代の終わり頃、私は自分の痛みを武器に、無意識で人を殴っていた。



虐待サバイバーである私は、過酷な原体験ゆえに心身に数多くの支障を抱えている。主にメンタル面がうまくコントロールできず、時々欠ける記憶にも振り回され、

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【今日この日まで命を繋いできた事実を、どうか、否定しないでほしい】~メンタリストDaiGo氏の差別発言により、希死念慮と格闘したサバイバーのひとりとして。

【今日この日まで命を繋いできた事実を、どうか、否定しないでほしい】~メンタリストDaiGo氏の差別発言により、希死念慮と格闘したサバイバーのひとりとして。

日々さまざまな人たちが、自身の価値観を元に多種多様な発言をしている。「個人の感性」では済ませられない発言を目にするたび、ぐらりと眩暈がする。Twitterのタイムラインに流れてくる情報は、振り幅があまりにも大きい。正しいもの、有益なもの、心休まるもの、笑顔になれるもの、美しいもの。それらに混ざって、この世の絶望を煮詰めたような台詞や主張、事件などが容赦なく流れ込んでくる。

メンタリストDaiGo

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【余力があるときだけでいい。どうか、一緒に考えてほしい】

【余力があるときだけでいい。どうか、一緒に考えてほしい】

波の音を聴きながら、ひたすらに沖の水平線を眺めていた。逆巻く感情の嵐が過ぎさるのをじっと待つには、それが一番いい。

昨年11月に精神科の医師から障害年金の申請を勧められた。必要な診断書類を各病院から掻き集め、ようやくそれらが揃ったのは先月の終わりだった。自身で書く申立書が最難関だった。何せ、20年ぶんの既往や生活状況を記さねばならない。しかも申請を通すために、辛かったこと、苦しかったことにフォー

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【それでも私は、この文章をこのまま公開する】

【それでも私は、この文章をこのまま公開する】

 医師との間に信頼関係が築けていたとしても、病院に向かう足取りはいつだって重い。言葉にして話すことで、それが現実に起きたのだと再認識する過程は、とても苦しい。悪い夢であってくれたらよかったのに。そう思いながらも、これが紛れもない現実であると誰よりも知っていた。

「退院後の生活はどうでしたか?」
「何とかやっていました。ただ、酷く疲れていて。記憶が混乱しています。自分以外の誰かが生活している場面を

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「きれいごと」を諦めない大人でいたい。

「きれいごと」を諦めない大人でいたい。

「そのことがずっと不安で、怖かったんですよね?」

返事をしようと思ったのに、うまく声が出なかった。そのぶん、何度も何度も頷いた。
マスクのなかに流れ込む滴を止めることができなかった。そんな私に、白衣を着たその人はそっとティッシュを差し出しながら、私が一番聞きたかった言葉をくれた。

「大丈夫ですよ。だってあなたは、こんなにもお子さんを大切に想われているじゃないですか」



お日様がぎらぎらと

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