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ヤングケアラーについて。決算特別委員会 福祉費2020/9/29


今日の福祉費でした「ヤングケアラー」についての質問です。皆さんにもぜひ、ヤングケアラーについてご理解頂きたいので、お読みください❗️

以下、全文です。

エールおおた区議団の平野春望です。今日はご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、最近、私が気になっている「ヤングケアラー」という概念について話をしたいと思います。

 ヤングケアラーとは、家族にケアを要する人がいるために、家事や家族の世話などを行っている、18歳未満の子どものことです。慢性的な病気や障がい、精神的な問題などのために、家族の誰かが長期のサポートや看護、見守りを必要とし、そのケアを支える人手が充分にない時には、未成年の子どもであっても、大人が担うようなケア責任を引き受け、家族の世話をする状況が生じます。ケアをする人を「ケアラー」と呼び、サポートの必要な家族や友人などを無償で世話をする人のことです。

 ヤングケアラーは、18歳未満という年齢で、時にはその成長の度合いに見合わない重い責任を負って、家族のケアを行っています。
 何が問題か。私はこどもが過大な責任を押し付けられ、子どもであるがゆえに、その現状を変えられない、支援を受けられないこと。そして何より必要な教育の機会が奪われ、将来設計や収入までも影響を及ぼすこのヤングケアラーの問題は何としても改善をしていかないといけないと考えております。またこの問題は地域福祉や地域包括ケアとも複雑に関係する問題と認識しております。
 
 総務省が2013年に発表した「平成24年就業構造基本調査」では、15〜29歳の介護者の数として、17万7600人という数が挙げられています。しかし、日本では、子どもや若者が家族のケアを担うケースへの認識自体、まだ充分ではありません。

 2025年に団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり、「大介護時代」が到来すると言われる日本社会で、現状に合うようなケアの体制に変革していくことは喫緊の課題です。国の方針としては、社会保障制度を持続可能にするためにも、施設は重度の高齢者を中心に受け入れ、基本的には在宅福祉を充実させる方向になっています。
 
しかし、そうなれば、当然、家で要介護者をみる家族の負担は大きくなります。そして今日の家族は、世帯人数が減り、共働きやひとり親であることを前提に家族生活が成り立っている家も増えてきています。人手は減っているのに、ケアを要する人は増え、働ける人は経済的に自分や家族を支えなくてはいけない厳しい状況で、無理を重ね、自らの健康を損ねてしまう人もめずらしくない状態になっています。

 そして18歳未満のヤングケアラーは、まずは成長期の子どもであることを考えると、その健やかな成長と教育の機会をしっかりと保障した上で、介護者としての部分をサポートすることが重要になってきます。
 
 ヤングケアラーの調査研究はイギリスが進んでおりますが、日本でも2013年に澁谷智子成蹊大学准教授が行った医療ソーシャルワーカーの団体、東京都医療社会事業協会の全会員に行った「ヤングケアラーに関するアンケート調査」によると、実際に家族のケアを18歳以下の子どもが行っていると感じた事例があるか、について、回答者の35.3%にあたる142人があると答えています。

 自由記述では例えば、「母親がリハビリで長期入院、父親が仕事で家をほぼ空けているために」「母親が末期がんだったため入退院を繰り返し、母親は夫と離婚しており、その子が下の弟たちの世話をしながら、がんで痛みがあるため十分家事ができない母親の代わりに、家事を行い、母親の通院入院時の付き添いや介護をしていて、そのため中学校を休むことが多かった。」「父子家庭の父親が歩行困難になり、父親が息子に『介護するのが子どもの役割だ』と話し、毎日周りのことをさせていた」など回答がありました。
 
 また教育現場の調査としては、2015年の新潟県南魚沼市、2016年の神奈川県藤沢市の調査があります。それぞれ市の教育委員会の協力の下、市内の公立小中学校・特別支援学校の全ての教職員を対象としてアンケートを行いました。南魚沼市では、市内26校の教職員446人を対象にした調査で271人が回答。そのうちの約4分の1の25.1%が、これまで教職員として関わった児童生徒の中で家族のケアをしているのではないかと感じた子どもがいると回答しました。
 また藤沢市では市内55校の教職員1812人を対象にした調査で1098人が回答。これまでに家族のケアをしているのではないかと感じた児童生徒がいたと答えていたのは、回答者の約半数の48.6%にも及んでいます。

 調査の結果わかってきたのは、ケアを担う子どもは小学校高学年頃から増え、男子より女子が多く、ケアをしている相手は兄弟と母親だった。またひとり親家庭の割合が高く、ケアをしている期間は3年以上というのが最も多く、次に2から3年未満ということ。またケアをしていることに教職員が気付くきっかけは、遅刻や欠席などで先生が家庭訪問をする中で子どもがケアしていることに気付くケースが多いとのことでした。

 まだまだ調査は続きますが、ここでは割愛させて頂きます。他の実態調査ではヤングケアラーの4割以上が1日平均5時間以上、介護や家事を行っており、また3割以上が学校にあまり行けてない、休みがちという状況にあるというデータもあります。こうした子どもの中には、家族の介護等が必要なことにより、子どもの健やかな成長や生活への影響からネグレクトや心理的虐待に至っている場合があることを認識する必要があります。
 
 厚生労働省は、令和元年7月4日に「要保護児童対策地域協議会におけるヤングケアラーへの対応について」という通知を出しています。そこには虐待を受けている子どもをはじめ、要保護児童の早期発見や適切な保護を図るため、市区町村が設置する要保護児童対策地域協議会(以下「要対協」)において、関係機関で子どもとその家族に関する情報や支援方針を共有し、適切な連携の下で対応していくこととしています。そして平成30年に、ヤングケアラーについての実態調査を行い、本調査の結果、ヤングケアラーの概念を認識している要対協は3割弱にとどまっており、ヤングケアラーの概念を認識している要対協であっても、当該子どもの生活実態を把握しているのは半数程度であったとあります。
 
 ①質問します。本実態調査の結果を踏まえ、要対協においてヤングケアラーの概念の認識と、関係機関によりヤングケアラーに対する支援が行われるように、都道府県は市区町村に対して周知をするように通知が来ていると思います。その後大田区では、ヤングケアラーを早期発見するための対応として、どのような認識をお持ちでしょうか?

②そして学校・教育委員会はこういったヤングケアラーに対して、現状どのような対応して、今後どのように連携を進めるのでしょうか。区のご見解をお聞かせください。
 
 ありがとうございます。ヤングケアラーへの対応は横の連携がとても重要になると考えております、ぜひ他自治体の事例も参考にして頂ければと思います。例えば、埼玉県議会では、今年の3月27日に「埼玉県ケアラー条例」が可決されました。本条例は、ケアラーを社会全体で支える基本理念を明記。ヤングケアラーには教育の機会の確保や心身の健やかな成長、発達、自立が図られるよう支援を行う必要性を示しています。
 ぜひこういったことも参考にしながら、今のやられていることを更に進化させて、よりより連携や情報共有の体制を調査研究して具体的に進めて頂くことを要望いたします。

③質問します。
支援方針を策定する上で、ヤングケアラーの家族に要介護者等がいる場合には、その介護・世話等の実態を踏まえた上で、養育支援訪問事業による家事援助や介護保険サービス、障害福祉サービスなど、適切な支援につなげていくように留意するとともに、高齢者福祉、障害福祉部局など関係部署との連携を図って頂きたいと思います。そういった連携体制について、区の現状と、今後、具体的な検討されていること、また課題などをお答えください。

 
ありがとうございます。包括的な支援体制の構築、とても大事なことだと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
本当はお友達と遊んだり、勉強したり、将来について語り合ったりして成長していく子どもが、ケアに追われて本来の子どもらしい生活ができない状態があります。

区として、是非こういったヤングケアラーを早期発見して、先ずは教職員や見守っている地域の方達に気づいて頂き、子どもたちの未来を守る支援を進めて頂きたいと強く要望いたします。
そして、この問題は最近区から報告があった蒲田三歳女児が亡くなったことなどにもつながる、地域福祉や地域包括ケアに関連する大事な問題だと思います。今後も提案したいこともありますので、引き続き区の対応や動向を注視していきたいと思います。また大変微力ではありますが、私もこの問題にしっかりと取り組んで参りたいと思います。以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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