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歩きながら見る夢〜「道草の家の文章教室」からの便り

横浜で「文章教室」という名のワークショップを始めてから、今月で丸1年がたった。この1年は、あっという間だったような、ものすごく長い時間が過ぎたような、不思議な感じがする。相変わらずですよ、と言いたい気もするが、実際には状況は大きく変わってもいる。コロナ禍があったおかげで出会ったような人や場も、じつは、ある。

1年前、始める前には、こんなことを書いている。

ここに書かれているスタンスは、まったく変わっていない。

誰に対しても「あなたには、あなたに合った書き方があるはずだ」と思うし、自分のコピーをつくりたいともモノマネの教室にしたいとも思っていない。

ひとりで(孤独に)やらないでいい、と思う気持ちも変わっていない。変わっていないどころか、その気持ちはこの1年でより強まった。ひとりで(孤独に)やらず、仲間と出会って、一緒にやるといい。べつに書くことに限った話ではないが…

ここで言う"仲間"というのは、しょっちゅう会ってベタベタつるむという関係ではない。影響を受け合っていれば、会っていなくても自然と"仲間"になる。学び合えばいいし、刺激を受け合えばいいし、もっと具体的なことを言うと、真似し合ってみていい。

ぼくという"案内人"は、自分も書くひとであり、参加者が書いてきたものを読んで、話したり、指摘をしたり、解説をしたり、何かを紹介したりするだけでなく、自分も毎回何かを書いて持ってゆき、読んでもらう。極端なことを言うと自分も、その場にとっては参加者のひとりである。ぼくの書くものを見て、真似てもいい、盗んでもいい。盗んだところで、ぼくのようには絶対に書けないという自信があるし、真似ても似ない、ということは、それはその書いた人のオリジナルになろう。──そんなことを思いもする。

さて、その「文章教室」をきっかけに、ゆるいつながりが生まれている。

参加者の中でも常連のひとりである("湘南の散歩屋さん"こと)miuraZenさんが、その"つながり"の中で、読んだり、話したり、考えたりしたことを書いていて、興味深く読んでいるところだ。

miuraZenさんが書いている「Nさん」は1年前から参加していたが、この1〜2ヶ月で急に物語が書きたくなって(それまで書いたことは全くなかったそうだ)、書いてみたら、溢れるように出てきたという。

Nさんの創作のベースには、おそらく長年読み続けてきた聖書があり(そこでぼくは小川国夫さんのことを思い浮かべる)、自身の人生経験もあるのだろうが、それらを基に彼がつくっているというふうには、ぼくには、あまり感じられない。どちらかというと、彼は受け取っているというふうにぼくには見える。

受け取れば受け取るほど、ことばが溢れてくる。

必死で出そう、出そうとはしなくていいんだ。──というより、必死で出そうとはしない方がよくて、なにものかがやってくる、それを素直に受け取ればいいだけなんだ、というふうにも思える。

ぼくは自分自身に話しかける。あれでいいんだ。あまり頑張って出そうとするなよ、ただ、受け取れ、と。

「文章教室」という名のワークショップを、ぼくは作家になりたいひとのための「教室」にしたくなかったし、いまでもしたくない。書くひとは皆、もうすでに作家であり、作家とは何かを受け取るひとだ、と仮に定義してみると、たとえ書いていなくてもその"受け取り方"を知っているひとは皆、作家だということになる。

("書く"とは一体どういうことだろう? ということをぼくはずっと考え続けているのだった。)

満天の星を思い浮かべる。果てしない夜の空から無数の光が、滝のようになって降ってきており、ぼくはそれを浴びている。無数の光に手を伸ばし、当たると、そこにことばが生まれる。

もっともっと自由にやっていいんだ、と思う。いや、ちがう。ほんとうは、書くことが自由なのであり、書きたいと思うひとはその中に入ってゆくだけでいい。

さて、「文章教室」に集まっているひとたちは全員が「自分の作品を書きたい」と思っているわけではないはずだけれど、いま、少し立ち止まって、ふり返ってみたり、これからのことを考えてみたり、話したりしたいということは、全員がどこかで思っていることなんじゃないか。

そこで11月は、「夢」をテーマにやることにしました。題して、「夢を描いて」。夢は寝ていても見られるし起きていても見られる。(今月の「文章教室」は「歩く」をテーマにやったのだったが)歩きながらでも見られる。ここは考え込まずに、"見る"ことにいたしましょう。そして"描いて"みよう。

いま、あなたが見る夢は、どんな夢?

(つづく)

道草の家の文章教室」(横浜 & 鎌倉)、11月は「夢を描いて」でやります。が、いつも通り、テーマは頭の隅に置くだけ置いて、好き勝手に書いてもらうので(も)構いません。「書く」ことをめぐる、自由気ままな教室です。初めての方も歓迎、お気軽に。事前にお申し込みください。詳しくはこちらから。

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下窪俊哉=道草家。書く人。編集する人。デザインする人。プライベート出版レーベル「アフリカキカク」プロデューサー。「ことばのワークショップ」「オトナのための文章教室」案内人。ガイドヘルパー。で、やっぱり道草家。 https://africakikaku.weebly.com/