オトナのための文章教室2019_h

書く技術の探求から〜「オトナのための文章教室」のつづき

オトナのための文章教室」(in 横浜)のスケジュールを更新した。年明け、2020年は1月13日(祝)10時〜 を皮切りに、2/1(土)の午後、2/22(土)の午後、と続く予定。参加者いなかったらどうしましょう? でもいつもなんとかなるといえばなるんです。1回からの参加でOKなので(続けて参加の方がより深まります)。まずはお知らせまで(三鷹でやっている方は調整中なので、また後日)。

「オトナのための文章教室」(第1期〜第2期)というのは、2018年の2月に吉祥寺美術学院のアトリエを借りて始めて、2019年(今年だ)の1月まで、だいたい毎週、開いて、そして閉めた。いま、やっているのは「第3期」と呼んでいい。

そのことは今年の夏に出した『アフリカ』(29号/2019年7月号)の編集後記に少し書いてある。書ききまくって、「とっ散らかった」ような状態になった、と。

と言いつつ、今年(2019年)は、ここ(note)でこういうことを毎日、書いて、もうすぐ、365回の最終回を迎えようとしている。

これは「とっ散らかった」と言えないのか。言える、と思う。しかし他人がかかわるのと、自分だけでやるのは、かなり違う。発表する・しないの差はあるとしても、「毎日書く」ということはぼくにとっては当たり前のことであり、突飛なことじゃない。

まぁ、ほかにも、そこでは、いろいろあったのだ。

潔く閉じたものを、半年と少したった今年の夏、自分から無理やりこじ開けて、再開した。なんかそんな気がしている。ぼくはしぶといんだ。しぶとさだけが取り柄だというような気がしている。

ぼくは「文章教室」で、何も教えていない、かもしれない。教えてないというのが、また教えてるんですよ! なんて言いたいところだが。

先日、「書くことは教えられないんじゃないか」という話をしてる方がいらっしゃって、ようするに、音楽だと編曲は教えられるけど作曲は教えられない、とのこと。ぼくはその人、編曲をバカにしてるんじゃないかと思った。

"つくる"ことを知らない人に、ノウハウだけで、編曲ができるだろうか。かたちを整えることなら、できるかもしれない。しかしぼくはそんなふうに思っている人に編曲を頼みたくない。

「なんとなく」で書けてしまっている人を、羨ましく思うところもないではないが… いや、そうはなりたくないね。"表現"のあるところ、どこにでも技術は確実に存在している。それを「ない」と言うのは、素人だという以外にない。

「創作は教えられるのか?」という議論自体は、ぼくが知っているだけでもう何十年もあって、いまだにそんなことを言う人が(しかも本を何冊も買いている人で)いるのか、へ〜? となって逆に新鮮な感じもした。

一方的に「教える」わけではないですけど… でも、それを言ったら何もかもがそうだ。

ぼくが書く時には、身につけた技術に支えられているよ。ことばに支えられている、と言ってもいい。でも、「こうしたらいいよ」と誰にでも言えるようなノウハウとは、ちょっと違うかもしれない。

その、技術というのは、どんなものだろうか。自分でも探求を続けている。続けているから、「教室」も開けると言っておきたい。

音楽の話で思い出したんだけど、いまアメリカのジャズ・シーンで活躍しているミュージシャンたちは、昔と違って、多くが大学出で、専門的な勉強をして音楽家になっている。──というような話を、柳樂光隆さんが書いているのを以前読んでいた。いまではそんなこと、常識(?)なのかもしれないけれど。

グレッチェン・パーラトというシンガーをぼくは大好きで、よく聴くし、来日コンサートも聴きに行ったが、彼女は作曲のワークショップもやっているんだと聞いている。そこから若い人がけっこう育っているみたいで、実際にそういう人の話を聞いたりもする。

そういう話を、柳樂さんが以前、インタビューしていなかったっけ? と思って探したら出てきた。

この記事、ぜひ読んでみて。短いから。たとえば、こんなことを言っている。

私は限られたなかから積み上げていくようなやり方をしているから、生徒たちにもそれを薦めてるかな。最初は、作曲をするにもどこから手をつけていいのか分からないケースが多いと思うから、メソッドとして制約を設けることにしている。例えば、4つのコードだけで作曲するとかね。

この話には、とても共鳴するところがある。「制約を設ける」ことで湧き出してくるものはたくさんあると思う。

この続きはまたぼちぼち書こう。

(つづく)

日常を旅する雑誌『アフリカ』最新号(2019年7月号)、相変わらず発売中。在庫が少なくなってきたので、お早めに。

「道草の家・ことのは山房」のトップ・ページに置いてある"日めくりカレンダーは、1日めくって、12月27日。今日は、「根本的でシンプルな問い」の話。

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