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ナプキンだって進化している!長年信頼している生理用品の多様化する選択肢

生理用ショーツや月経カップといった製品の認知度・マーケットが急速に広がり「フェムテック元年」とも呼ばれた2020年。とはいえ、実際はまだまだ大多数の女性がナプキンを使用しているし、なにより長年お世話になっている安心感は絶大だ。実はナプキンも、日々進化を遂げている。ドラッグストアの片隅で、長年使っている「いつもの」を無意識に選んではいないだろうか? それ、実はものすごくもったいない。今回は50年以上にわたって日本の女性の生理をサポートしている衛生用品のトップメーカー「ユニ・チャーム」に、進化した生理用品やおすすめ商品の開発エピソードを訊いた。

リアルな悩みを解決する多様な商品ラインナップ

この一年だけを見ても、生理についての世の中の捉え方は大きく変化したように思う。生理を特集するメディアが増え、30分生理の話だけというテレビ番組まで放送され話題を呼んだ。しかしかつては、薬局に生理用品が並ぶことすら当たり前ではない時代があったのをご存じだろうか。

「ユニ・チャームは『消費者の“不快”を“快”に』が企業理念です。その背景にあるのが、創業者である高原慶一朗がアメリカ視察に行った際にサンフランシスコのスーパーマーケットで見た、山積みになった生理用品でした。その頃日本では生理用品は薬局の裏に置かれる日陰の商品でした。扱いの違いを目の当たりにして驚き、日本でも堂々と購入できる状況を実現し、社会を変えたいという強い想いから1961年にユニ・チャームを創業しました」

そんな歴史背景が企業のコンセプトや商品開発に影響していると語る、ユニ・チャームの広報・藤巻尚子さん。

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その後、ユニ・チャームは1963年に初めて生理用ナプキンの製造・販売を開始。現在に至るまで多様な商品を発売し、多くの女性の生理にまつわる“不快”を“快”に変えている。

「2019年に発売した『ソフィ はだおもい(R)オーガニックコットン』は、デリケートゾーンに触れる表面部分にオーガニックコットンを100%使用することで、吸収率はそのまま、やさしい肌触りを実現。さらに凸凹した素材で肌に触れる面積を少なくして、汗を吸収しムレやかぶれを防いでくれます。夏場以外でもナプキンがムレて困っているという人に、特におすすめです」

オーガニック素材はこの数年で当たり前に私たちの選択肢に入ってきている。直接肌に触れるものなら尚更、この商品がラインナップに加えられたのは嬉しい。

さらに、2020年に発売された『ソフィSPORTS』も、現代女性のライフスタイルやリアルな悩みから着想し開発された商品だそう。

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「近年、女性の働く機会増加に伴い、生活スタイルの変化が起きています。スポーツ専用というわけではなく、例えば自転車通勤中など、日常生活でのズレやヨレに困っているという声があり、“スポーツをしてもズレないくらいの生理用品があれば、普段通り過ごせるのではないか”という想いから生まれた商品です。特徴的なのは構造で、歩行時の身体の動きにフィットするように切り込みを細かく入れることにより、吸収体のヨレを防ぎます。同シリーズのショーツもメッシュゴムや、汗の吸収や発散に優れたクールコア素材を採用し、汗をかいても不快感がないよう開発しました。またパッケージも黒を基調として、使用シーンを想起させるような活動的な女性を描くことにより、他にはないデザインを意識しました」

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確かに手にとってみると細かくカットが入っており、身体の動きによりフィットする製品であることがわかる。その分なんだか薄く感じてしまうのだが…。

「吸収率などは現行のものと遜色ありません。そこは独自技術で実現できているので安心ですよ」とのこと。ニーズに合わせて開発しているだけでなく、技術の進歩によってもナプキンをさらに進化させているのだという。

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▲写真左が『ソフィSPORTS』、右が『ソフィ はだおもい(R)オーガニックコットン』

SNSを通じたファンの声によって広まった『ソフィ シンクロフィット』

生理用品はなかなか“乗り換え”や“浮気”をすることがなく、同じ製品を使い続ける人が多いのだそう。もちろん自分にぴったりのお気に入りが見つかっていれば問題ないが、より多くのアイテムを知り選択肢を広げることで、生理期間をより快適に過ごせるかもしれない。『ソフィ シンクロフィット』は、まさにそんな「知ったからこそ」便利だと気づけた生理のサポートアイテムのひとつだ。

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「これは、経血を膣口でせき止める、ナプキンとタンポンの間のような商品です。手のひらサイズの製品を指にセットし、膣に沿ってフィットさせて使用します。約2時間分の経血を吸収し、個別ラップ・製品ともにそのままトイレに流せるのが特徴です。薄めのナプキンと併用して使用するのがおすすめです」

なるほど、これはコンパクトなのでポケットなどに忍ばせておけば、カバンからナプキンを取り出してお手洗いに行きにくい場面や立ち仕事の人でも便利だ。短時間でナプキンを取り替えなくても、シンクロフィットだけをさっとつけかえることで安心感がプラスされる。

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SNS上で展開される利用者の体験談によると、日中はもちろん、就寝時の伝え漏れ防止など、さまざまな場面で工夫して活用している人も多いようだ。唯一無二のアイテムとして『ソフィ シンクロフィット』にハマる人は多く、ファンの熱い想いも認知を広めるきっかけとなった。

「実は15年前にも違う商品名で発売していたのですが、今までにない商品のためTVコマーシャルを打っても詳細が伝わらず、あまり認知されませんでした。そんななか、2018年にお客様が製品の魅力をまとめたプレゼン資料を作ってくださり、それがSNSでバズり売上が2倍になったんです!」

現在、リアルな声をもっと拡散したいとの想いから「#がんばれシンクロフィット」プロジェクトを立ち上げ、プレゼントキャンペーンや使用方法の動画などを紹介している。ユニ・チャームによると、このプロジェクト名は、元々あるシンクロフィットの特集記事につけられたハッシュタグだが、ファンが同ハッシュタグとともにSNSで感想を寄せてくれたことからつけたものだそうだ。

その後着実にファンを増やし、今では全国展開するドラッグストア全店での取り扱いもされている。

「本当に我々ではなくファンの方に広めていただいた商品だと思っています」

自分に合った生理ケアを選ぶ時代へ

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また、ユニ・チャームでは自分に合った生理ケアを行うことを推進する「#No Bag for Me」というプロジェクトを2019年始動。「自分のカラダ・ライフスタイル・オケージョンに合った生理用品について気兼ねなく話し、選択し女性がもっと輝き、過ごしやすい世の中に」という考えのもと、生理ケアの選択肢の多様化、周囲のコミュニティ内の身体に関する相互理解の促進、そして社会における生理のタブーをほぐしていくことを目指している。

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「今は圧倒的にナプキンの使用率が高いのですが、タンポンやショーツ型ナプキンなど、さまざまな商品をラインナップしています。生理や生理痛というのは本当に人それぞれ。昔からずっと同じナプキンとか、生理は月に一回くる痛いものとか、そういう自分の中の習慣や当たり前を一度考え直してもらうきっかけになれたらと思っています」

別の記事で公開した「生理の当たり前を見直す。婦人科ドクターが提案する生理のニューノーマル」で婦人科医の高橋怜奈先生からも伺った、「当たり前を考え直す」。確かに、気持ちのどこかに「生理は不快感を我慢するもの」「ナプキンの面倒臭さは仕方がないもの」という当たり前がこびりついている。

今日取材中に手にとった商品だけでも「こんなものもあるんだ!」という気づきであふれている。まずは知ったり、試したりすることで自分の中で生理ライフが“ニューノーマル”になっていく。中には「これは便利だけどルックスがちょっとな…」という商品も「ちょっと自分には高いかも」という商品ももちろんある。だがまずはその選択肢を知ることで世界がぐっと押し広がる。

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「当社では取り扱いはありませんが、月経カップなどのフェムテック製品にもぜひ興味を持ってもらいたいですし、若い女性が生理について自ら考えるきっかけになったらありがたいですね。生理用品もコスメのように色々と試して、自分の悩みに合った生理ケアを知ってもらえるといいなと思います」

いつの時代も女性の生理にまつわる課題に向き合い、寄り添ってきたユニ・チャーム。現在もユーザーの声を大切に、半年に一度は新たな商品を開発・発売しているという。“いつものナプキン”で悩みがあるのならば、一度生理用品の売り場や製品のホームページをじっくり見てみよう。そこにはあなたの悩みを改善してくれる、ニューノーマルな生理用品との出会いがある。

文:日笠麗奈
撮影:yoshimi

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