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当事者じゃない視点のお話

本日、『笹森くんのスカート』(講談社)が発売になりました📖

今作は、ジェンダーレス制服が導入された高校が舞台のオムニバス青春小説です。二学期になったらスカートを穿いてきた笹森くんと、クラスメイトたちの視点で物語が進みます。

書いていきたい小説

今年の9月で商業デビュー丸5年になります。
デビュー当初はとにかく書けるもの、書いて企画が通るものをなんとか形にすることで精いっぱいでしたが、5年もやっていると書けるものにも幅が出てきて、何を書いた方がいいのかなということをよく考えます。

一つはエンタメジャンルでのラブコメ。これはデビュー当時から書いていて楽しいのもありますし、向いているのもあって書いてほしいと版元さんから言ってもらえることの多いジャンルでもあります。
書いてほしいと言ってもらえるのはとってもうれしいことです。根っからのオタクなので、存分に萌えを詰め込んで書いてます。胸キュン楽しい。

そしてもう一つは、エンタメのラブコメでは拾い上げられないもの。
エンタメという性質上、どうしてもカッコいい、かわいいキャラを出すことが多くなりますし、社会的なテーマに重きを置くことが難しくもなります。工夫によってはできなくもないんだろうけど、でもやっぱり難しい。企画の段階で売れ線を意識することも多いです。
というわけで、ラブコメではカバーしきれない範囲のお話を、文学畑の方で書いていけたらいいなとこの数年思っています。

その一つが、『ぼくのまつり縫い』で扱っているようなジェンダーの問題。
これは自分の性別上、むちゃくちゃ興味関心も問題意識もあります。勉強すればするほど、過去に不快に思ったアレめっちゃジェンダーバイアスの問題じゃんとか年中思います。当事者意識がバリバリあります。

で、今回の『笹森くんのスカート』も、一部ジェンダー的な話題も含むかもですが、こちらは主にセクシャルマイノリティについてのお話です。

当事者じゃないから書けるもの

ジェンダーの問題に興味があるので、派生してLGBTQ関連の本などもよく読んでいます。当事者じゃないけど考えることもたくさんあります。

そんな自分が書くなら、当事者じゃない視点からのお話かなと思ったのが、この『笹森くんのスカート』です。

今作は、笹森くんのクラスメイトの視点で描かれていきます。みんなそれぞれ違った悩みやコンプレックスを持っていて、そういうものを通して笹森くんのスカートを見たとき、何を感じて何を考えるのかを、書きながら自分自信も考えてみたいなと思いました。

ジェンダーにしてもセクシャルマイノリティにしても、意識を変えるべきはまず周囲だと思うんですよね。ならば、周囲の話を書く意義は存分にあるんじゃないかなーと思います。

とはいえ楽しいお話です

珍しくまじめなことを書きましたが、そうはいっても書いているのは私なので、基本的には読みやすくて楽しいお話を目指しました。ちなみに私の推しは笹森くんの親友の野々宮くんです。また、裏表紙にある笹森くんのエレキベースは私が高校時代に使っていたものそのまんまだったりも。

青春の甘酸っぱい感じとか、対人関係の悩みとか、笹森くんカッコいいじゃんチクショー、みたいな感じで楽しみながら読んで、考えるきっかけになったらうれしいなと思います!


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