はるこ《公式》

はるこのオフィシャルアカウント。身体《も》張る、ライターです。

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最近の記事

腐敗

本当は、ずっと昔に気づいていた。 それはキッチンの奥で腐った鍋のようだった。 蓋をする。 見えないように。 腐っていく事実を認めたくなくて。 綺麗に片付ける自信もなくて、蓋をする。 だけどそれは、確実に腐敗をすすめる。 蓋の中で原型を無くし、異臭が蔓延し、 それでもどうしようもなく存在し続ける。 蓋をして見ないようにしても、 その事実は変わらない。 「運命じゃなかった」 その一言を飲み込むことが出来れば、 なんとも単純な話だった。

    • 夏の終わり

      恐ろしいのは、愛する人以外に抱かれることではない。 愛する人以外に抱かれることに 恐怖を感じない自分だ。 愛しい人に嘘をつくことに平気になっている自分だ。 慣れていく自分が怖い。 怖いと泣くわけでも、悲しみに打ちひしがれるわけでもなく 居酒屋でオーダーを聞くように コンビニでレジを打つように そんな感覚で、他の男に心や体を委ねている自分が怖い。 私達は一体、何者なのだろう。 親しい人に話すのは「嘘の自分」 虚像だ。

      • 知っていくこと

        「何も知らなかった日」には、もう戻れない。 雪がありふれたものだと知らなかった日。 雲の正体を知らなかった日。 キスは特別ではないと知らなかった日。 あの日の私達は、今より幾分か幸せだった。 「知らない幸せ」を知っていた。 毎日が特別で、退屈しなかった。 私達はいつのまに知りすぎたのだろう。 知れば知るほど、感動の仕方が分からなくなる。 知れば知るほど、本当のことが分からなくなる。 知っていく事は、忘れていくことだ。 「何も知ら

        • 私の砂糖漬け

          ストロベリージャムは、いちごの味がした。 当たり前だ。 「リカ?何してるの?はやく風呂場から出てきて。今日のカメラマンさんは時間にうるさいの。そういえば体重、あと1.8キロ落としてね。ねぇ、聞いてる?ネイルもそろそろ変えないと、次の流行はまた、チークネイルですって」 シャワーの音がする。 ダマスクローズのバスソルト ネロリジャスミンのボディジェル ピンク色の泡立てネットに 香水瓶の形のアロマキャンドル はずしたままの、パールの首飾り 冷たいミルク色の大理石

          セックスフレンド

          深夜2時のラブホテル。 暗がりの1室に、はだけたシーツ。薄明かりの中には使用済みのティッシュが散乱していた。 テレビの明かりが強弱をつけながら、部屋をぼんやりと照らす。 画面に映るその古い映画は、特別笑えるわけでも泣けるわけでもなかったけど、私達は何かを探すように、その画面に視線を落としていた。 「不思議な関係だね」突然口から出たその言葉が宙に浮くのを、ぼんやりと眺める。 答えに興味はなかった。共感も否定もいらない。それに、返ってくる言葉の検討はつく。 お互

          セックスフレンド

          逃げられない人

          好きになれたら良いなという人がいる。 勤め先も半生も、人に誇れるような人。 笑顔が素敵で、誰よりも貴女を大切にし、 優しさに溢れている人。 口うるさい女友達に会わせても、 「素敵な人だね」って心から祝福されるような人。 きっとデートを重ねて 時々軽い喧嘩をしても相手が折れて そのうちプロポーズでもされて 当たり前に幸せな結婚式をして。 そういう穏やかな未来が自然に浮かんでくる人。 だけどいつも、 貴女はその人を好きになれない。 その人がコーヒーにシロップを入れるの

          逃げられない人

          不倫は彼の「いつもの相手」と起こる

          こんにちは、はるこ《公式》です。 突然ですがあなたは、 不倫や浮気を阻止するため、 彼にどんな制限をしていますか? 知らない女と関わらせないいろんな束縛の仕方がありますが、 全て、もとを辿ればここに行きつくのではないでしょうか。 そんなあなたに悪いお知らせ。 不倫や浮気は、そんな束縛では阻止できません。 浮気調査、不倫調査のプロである探偵が 口を揃える、浮気不倫をする相手として 最も多い相手は、キャバクラの姉ちゃんでも 合コンで新しく知り合った女の子でもありません。

          不倫は彼の「いつもの相手」と起こる

          触れないものの美しさ

          それは例えば、ペットのよう。 ペットショップに並ぶ犬達は、 幸せであたたかい未来を想像させる。 一緒にいれば癒され、寂しさも紛れるだろうと期待する。 しかし、いざ手に入れると、 思ったよりも金がかかる。 部屋は糞尿で汚れ、自分の時間は減る。 たまに噛み付いてきたり、無駄吠えに頭を抱えることもあるかもしれない。 それは例えば、 古めかしい外車のよう。 錆や色褪せは前の持ち主のロマンを語り、 その車に乗ればどこに行っても様になると想像させる。 しかし手に入れてみれば、メ

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          イモリとオオグソクムシを食らう《珍獣屋》

          あの日の記録。 https://note.mu/haruko_official/n/ne5c36fd17945 #昆虫食 #コラム #動画 #小説 #エッセイ

          イモリとオオグソクムシを食らう《珍獣屋》

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          正義の危うさ

          「手を挙げろ」 若い兵士が、同じくらいの年代の、同じような格好をした男を呼び止め、銃を向けた。 違うのは、その戦闘服にあしらわれたマークや色が、自分とは異なることだ。 銃を向けられた男は、こちらも向かないまま、諦めたように武器を置き、力なく手をあげた。その背中に絶望や恐怖はない。全てを察しているようで、落ち着きすら感じる。「私はもう、殺し合いをしたくないんだ。息子と妻に伝えてくれ。帰れなくてすまない、愛してる。」男は小さな声で、そう呟いた。銃を向けた兵士は、頭に狙いを定めると

          正義の危うさ

          切なさの渦

          夜と朝の中間地点、午前3時30分。 まだ外は暗いけど、 仮に気晴らしに飲みに行ったところで、すぐに朝が来てしまう。 仲良しの友達は夜型人間だけど、 さすがにもう目を閉じている頃だろうし、 電話が繋がったところで、この感情は、うまく言葉にできっこない。 鼻の奥までつんとするくせに、涙すら零れてはくれない。 「私」は溜息をつき、「それなら」と、塞ぎ込む。 誰にも迷惑をかけないように。 誰かの中の「いつもの自分」を、崩さないために。 そんな「私」が、きっとこの時間、世界中

          昆虫食時代到来、その時あなたは?

          日本では一般的な1LDKの部屋。ありふれた量販店のカーテンが生活感を倍増させる。薄暗い室内に散らばるゴミ。チリソースが入っていたであろう空の缶詰は、人々の期待で焼けきったように、底に穴が開いている。シリアルの箱や、卵のパック、全てが乾ききり、白黒になったように息をしていない。私は音のしないキッチンで身を屈め、息を殺していた。次に奴らが来たら、仕留めなければいけない。私たちが生き延びるには、それしか術がないのである。 はるこ《公式》です。 今回は、前回とは少し違う視点で、

          昆虫食時代到来、その時あなたは?

          女子力不足への万能薬、虫。

          こんにちは、はるこ《公式》です。 突然ですが皆さん、女子力足りてますか? ん?足りてないって? そこの貴女、「女子力」についてお悩みですね。 良いでしょう。聞かせてごらんなさい。 ん?なになに? 女子力低下のせいで 彼氏とマンネリ化している? 女子力低下のせいで 好きな人となかなか進展しない? 女子力低下のせいで お肌の元気がないみたい? ん~、それ、 「虫」でまるっと解決しちゃいましょ♡ 彼氏とのマンネリ化? 好きな人と進展しない? 昆虫食デートはいかが??

          女子力不足への万能薬、虫。