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マネーフォワード クラウドのPMF後、「グロースさせる瞬間」に大事だったこと

こんにちは。マネーフォワードの山本華佳と申します。マネーフォワード クラウドの営業部隊である事業推進本部の本部長をしております。

スタートアップの世界で「PMF(プロダクトマーケットフィット)」「グロース」といった言葉はよく聞かれます。PMFの瞬間を明言するのは難しいですが、私が当社に入社したのは、マネーフォワード クラウドのPMFの少し後のタイミングでした。

この記事では、私がマネーフォワード クラウドで経験したグロースのアクセルを踏むその「瞬間」に大切だったことをお伝えしたいと思います。

PMFしてもグロースしないとすぐ死にます

PMFとグロースのタイミングの関係性について、メルカリの樫田さんがグロースの9 Principlesとしてとてもわかりやすく教えてくれています。

いまはnoteなどでLTV/CAC/churnの大切さ、データ分析ノウハウが出てきて、「あの当時これがわかっていたら!」と羨むこともありますが、これらの知見が役に立つのは、これからお話しする内容を経て3ヶ月〜半年後くらいというのが実感です。

最初からセオリー通りになんか行かないのが現実。立上る瞬間。その瞬間の話をしたいと思います。

グロース1

The Startup Pyramid より

Mission・Passion・Actionを兼ね備えた人材になる

「Missionを捉え、Passionを持って、Actionできる人材」――これは、ジャパネットたかた創業者の髙田 明さんと当社代表の辻が、以前対談した記事にも出てきた言葉です。

PMFが見え、売上を加速させるアクセルを踏む「瞬間」に必要なのは、会社/サービスのミッションを捉え、情熱を持ってユーザーに届け、声を聴く行動を起こせる人。

それは、社長でも、エンジニアでも、営業でも、広報でも誰でもいい。いくらサービスが素晴らしくても、ビジネスモデルがキレイでも、価値をユーザーに届け、お金を頂かないとそれは机上の空論になってしまう。

PMF後にもスタートアップは十分に死にうると言われるのは、知らぬ間に机の上で戦ってしまっているのではないかと思っています。きっと、スタートアップだけでなく、全ての企業が陥る罠。

答えはユーザーが持っている。ユーザーの直接の声を聞かないサービスは、確実に生き長らえない。ユーザーの声を聞くために欲しいのは、スマートな戦略家ではなくて、大志を持って機動力高く動いてくれる人材です。

非効率な営業を、最速で回すコツを覚える

当時、私達は月額2000円以下のサービスを営業していました。普通に考えたら人件費なんてかけて営業している場合ではないです。

でも、ひたすらユーザーに会いに行きました。

なぜユーザーに愚直に会いに行ったか
■サービスは発展途上。進むべき方向性はユーザーしか教えてくれない
■何がユーザーに受け入れられるか。自分たちの理想を押し付けるのは危険
■どこにビジネスチャンスがあるかわからない。ユーザーのふとした一言が新しい事業領域に気付きを与えてくれる

一見、非効率に見える、顧客のもとに愚直に通い、ベタな営業活動をする。
それこそがユーザーを知り、自分たちの道を踏み外さない一歩です。

ポイントは”直接会う”ことです。(その理由は後述します)

ただ、”直接会う”のはめちゃくちゃ非効率なので、効果を出すために、短期間で、猛烈に動く必要があります。

一見非効率な地方営業は「実は効率的」

クラウドサービスを展開しているので、知名度もない中会ってくださるお客様は、いわゆるアーリーアダプター層。先進的なお客様です(特に、2014年当時はバックオフィスのクラウド化に興味のある中小企業の経営者は希少価値が今とは比にならないほど)。

先進的なユーザーは東京に集約される。だから東京をまず攻める。その通りだと思います。東京を注力エリアから外すという選択はありえません。ただ、東京のエリアでは以下の2点が課題となりました。

①潜在顧客数が多すぎてターゲットを絞り切れない
いわゆるカオスです。顧客が多すぎます。もはやみんな先進的なユーザーに見えてきます。カオスの中から秩序を見つけるのはとても労力がかかります。
②移動に時間がかかる
アポは取れますが、先進的なユーザーが23区内に点在しているのです。公共交通機関が発達しているとはいえ、移動に時間がかかります。

行動量を最大化できるエリアは「福岡と札幌」

福岡札幌

こんな低単価な商材で地方出張なんて…!と思うかも知れませんが、非効率な営業から最短で結果を出すために、地方営業はとても効果的でした。

とくに福岡・札幌は、低単価商材を営業で回るという非効率性から最速で効果を出すために、自らの行動量を最大化できるエリアとしては最適です。

それぞれターミナル駅から2km圏内に主要企業が集まっています。地方営業と聞くと車移動のイメージかもしれませんが、この2都市に関しては顧客が狭い範囲に密集しているのです。徒歩でも回れます。始発の飛行機で新千歳に飛んで、6アポして、最終便で羽田に戻る…なんてこともできてしまう(推奨はしませんが笑)。

そして何より”東京者”を比較的受け入れてくれます。

エリアで高速回転させたアクションから得たヒントを関東で試す。大企業の色んな業種でも地方でトライアルをしてますよね。

ただ、私達はスタートアップです。知名度が全くありません。そう。簡単にお客様に会えません。

(「マネーフォワードです!」ってテレアポしたら、「先物取引はやらん!」ってガチャ切りされたことありました。”マネー”が”フォワード”ってまあ、たしかにそんな感じするけど笑)

PMF後のグロースに最も重要なポイント

次のお客様につなげるためには、まず目の前のお客様をファンにする。そのために、サービスを説明するのではなく、サービスが持つ世界観を熱を持って伝え、その可能性にお金を頂く。

サービスが本当に素晴らしく完璧なら良いのですが、そんな奇跡はなかなかありません。この時点で、プロダクトはまだまだ未熟です。機能を説明しても「いや、そんなんじゃまだ使えないよ」と言われるのが落ちです。

高速アクションしても、お金を稼がなければ意味がない。キャッシュがなくなればスタートアップは死にます。

このプロダクトを使ったらどれだけ素晴らしい世界が待っているか、ユーザーの未来を変えることができるのか、一緒にその世界を作って欲しい。自分たちを信じて応援して欲しい。想いを、情熱を、ユーザーに届け、ココロ動かし、サービスのファンになっていただく。

ココロ動かすクラウド

もしかしたら、当時はお支払い頂く金額に見合う価値提供をできていなかったかもしれない。その時は、お客様は私達が描く未来にもお金をお支払いいただいたと信じ、そんなお客様の期待を超えられるようなサービスを提供することを肝に銘じ、開発にフィードバックし、改善を重ねていく。

ファンになったお客様はサービス向上のために厳しいアドバイスを下さいます。その一方で、お客様も紹介してくれたり、他の可能性も示唆してくれます。

応援してくれるファンのココロを掴む。PMF後、グロースを加速させるのに最も重要なポイントです。

当たり前のことですが、これをどれだけ早期に実現でき、深いリレーションを作り、次に繋げるか。一見簡単そうに見える、誰でもできそうなことが、実はできていないことが世の中多いのではないでしょうか。

インサイドセールスで活用できる素晴らしいツールがどんどん出てきていますが、そこに手を出すのはもう少し成長してからのお話。最初は直接ユーザーに会いに行きましょう。どんなときでも、最後に人の背中を押すのは、”直接”伝わる情熱です。

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PMFとグロースはこれからも続いていく

サービスの「世界観売り」を続けてたら、サービス開発が”世界観”に追いつかなくてカスタマーサクセスで非常に苦労し(苦笑)、あるタイミングから「脱世界観売り」モードに突入。

当然ですが(笑)、サービスの機能をちゃんと説明して売ることが社内での主軸のメッセージとなり、採用人材が代わり、社内の雰囲気に変化が生まれました(この過程の話をするとまた長いので別の機会に。広島拠点開設までの話で少し触れています)。

そんな時期を経て、カスタマーサクセスを踏ん張ってユーザーに向い続けていたら、いま、また「世界観」が必要なタイミングが来ていると感じています。

サービスがある程度成長して、ユーザーの皆様から「マネーフォワードは次はどこに連れて行ってくれるんだい?」と問われているように感じます。

1つのPMFとグロースが実現したら、次の次元のPMFとグロースへ。

どれだけ会社が大きくなっても、サービスが成長しても、PMFからグロースにアクセルする瞬間では、個々が、Mission, Passion, Actionを実現することが必要不可欠なのではないでしょうか。

私達はそうやって今後も、マネーフォワードのMission「お金を前へ。人生をもっと前へ。」を実現する世界を創りたいと思います。

グロース2


最後に…とても遅い自己紹介を(笑)

ちゃんとした自己紹介が最後になってしましました。

改めて、山本華佳と申します。2014年10月に52番目の社員としてマネーフォワードに入社して、5年間マネーフォワードクラウド事業が成長する中で、メンバー→リーダー→部長→副本部長→本部長と役職も変化。グロース、サービス拡大、組織拡大、マザーズ市場上場、組織再編… 5年間の中で目まぐるしく過ごして来ました。

5年という区切りを迎え、マネーフォワードの次のグロースの起爆剤になれるように、改めて初心に立ち戻り、今一度「マネーフォワードと共に歩みたいと言ってくださるファンを増やしたい!」と思っています。

2020年2月からより、成長企業の支援を行うマネーフォワードシンカ株式会社に異動し、スタートアップの経営者のみなさまに寄り添い、スタートアップ業界をグロースさせていきます!

スタートアップが好きです。起業家は素晴らしいと思います。もっと日本に起業家が溢れ、熱を帯びた社会にしたいです。聡明な起業家の方々や、世の中を変えるサービスに多く出会います。そのグロースに少しでも力になりたい。

今後、マネーフォワードシンカでの情報発信はこちらにして参ります。マネーフォワードグループとして、全ての企業の悩みを解決するハブになれるように。人間味溢れる集団がお供致します!

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(Syncaの"S"マークでポーズ!)


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