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カウンセラー、カウンセリングを受ける。

カウセラーがカウセリングを受ける意味

お金を頂いて人の話を聴くカウンセラーがお金を払い話を聞いてもらうのにはどんな意味があるのだろう。

人それぞれに受ける理由は違うだろうが、主には、人の話を偏りなく共感して伺えるよう自分の課題に向き合うため、一人の人としての苦悩をケアしてもらうためといったことがある。

前者について、例えば年配の同性に苦手意識があったとして、クライエントさんがそうであったとき、若い異性のクライエントさんのときよりも決めつけが入るなどして共感的理解が難しくなることがある。カウンセラーの対人関係の課題を持ち込んでしまった状態と言え、そこを洞察していき、気づきを得るためだ。

後者についてはどうだろう。正に医者の不養生だと思われるだろうか。専門家のくせに自分の心の面倒も見れないと思うだろうか。確かに客観的に自分の状態はわかるし、客観的に必要な対処法は人よりもいくつか持っている。けれども「客観的でいられる場合は」というのがポイントだ。自分自身のことであるがために、視野が狭まってしまっていることがある。なぜなら目で目は見えないから。だから、もう一つの目が必要だ。心理療法のワークシートを用いたってスケールを活用したって、幾分か効果的だが何事にも限度がある。なぜなら、鏡で見る自分でさえ事実とは違って歪んで見えているのだから。

私がカウセリングを受ける理由

経験レベルで心理臨床を理解するためが一つ。平たく言えばクライエント体験をするためだ。カウンセラーが専門的に当たり前でやっていることがクライエントさんにはどのように体験されるのか身を以て体験したいと思った。しかしながら、実際には先に挙げた後者の理由の方が大きかったように思う。自分が悩んでいることを認める必要があり、私自身助けを必要としていたことを認めた方がいいだろう。自分自身の心から目を逸らさないため、受けるべきだと決意した。

実際のところ、カウセラーがカウンセリングを受ける場合トレーニング的意味が強く、教育分析と言ってベテランの心理療法家にまあまあの料金を払って受けに行く。自分のカウセリング料金の2-3倍はするが、その分価値付をしながら通うようになる。当初は自分を見つめ直すもう一つの目になり得るのかと値踏みしていたかもしれない。

カウンセラー同士のカウンセリングのなかで

まず、クライエントとして体験されたのは、初対面の人にいきなり話をする不自然さだった。開口一番に「今日はどういったことで来られましたか?」と言われましても・・・。今会ったばかりの人にいきなり誰にも話さない話をするだろうか。目的意識は明確だったので意を決するように本題に入るが、状況がわかりやすいようにと意識するので説明的であり、目を逸らしてしか話せなかった。そして、目を逸らしつつも相手の反応には敏感だった。話の一つ一つに対する相槌や表情から、受け止めてくれているのか理解されているのかと確認せずにおれなかった。そうして話終わったあと、ふと対面しているカウンセラーは一体何者なのかと思った。自分はこれだけオープンに話したが、カウンセラーはどう考えているのかと気になり、なんだかフェアじゃないような感じがした。

私だったらここに来るまでの物理的・心理的な道のりから話を聞いていったり、簡単な自己紹介から始めるのにと思ったが、いい勉強になった。最初の世間話があったとしても、クライエントさんはこのような思いを抱くだろうと思ったからだ。そう思い直すことにして、2回目もひとまず行くことにした。

状況や背景の説明が多くて伝えるのが大変で、求めている自己分析になかなか進まないと感じていたが、いつしか顔を見て話せるようになっていた。私が終始喋っているが、声のトーンや一言二言で「味方でいてくれている」と感じられたからだと思う。一つ二つの気づきは、思い返せば自分自身でも気づかれつつあったものだったが、味方でいて聴いてくれる守られたような体験にこんなに価値を感じるものなのかと思った。

最初に目を伏せてしか喋れなかったのは、言動と反して、自分の目が見られるのが怖かったからだと思う。相手の目を見ることで相手にも自分の目が真っ直ぐに見える。よくわからない人に見通される抵抗感があったのだろう。今は自然とカウンセラーの目が見れる。相手も私を真っ直ぐ見つめてくれている。この人なら、私が自分自身を見つめるもう一つの優しい目になってくれる、そう思える。

共により先に進んでいく

環境の変化が大きいこともあってか、理解してほしい気持ちが強いためか、今は私が終始話して終わる。共通して持っていくものを蓄積しているフェーズなのだろう。そろそろ少し現実的なものから一歩進んで、洞察の世界に入っていきたいところだ。そこからの話を、これからも少しずつnoteに書いていきたいと思う。より深く自らの精神の世界へ。

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