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155.結末は誰にも読めない?想像の先を描く小説家「野崎まど」

大学を卒業する間際に、とてつもなくどハマリした作家さんがいます。

こんな小説を、物語を、どうやったら紡げるんだと衝撃を受けまくっていました。

どんでん返しが二回ある。

これが野崎まど氏のお家芸です。

話がつながっているのかどうかもわからないシリーズ物を書き、最後に大風呂敷を感動するほどキレイにまとめ上げ、そしてその最後の作品でもしっかり二回の大どんでん返しがある。

毎作息をつく間もないほどの展開と、思わず吹き出すほどのユーモアセンスに、僕は一気に3ヶ月ほどでシリーズを読破していったのを覚えています。

近年は小説だけに留まらず、TVアニメのシリーズ構成やアニメ映画の脚本など、活躍の幅を広げています。

どの作品も同じですが、どんでん返しがいつもあるので結末は読めません。

代表作を紹介します。

想像を裏切る展開のオンパレード!芸大が舞台のシリーズ物語

野崎まど氏は、第16回電撃小説大賞の一部門として新設された「メディアワークス文庫賞」で最初の受賞者としてデビュー。

そのとき受賞した作品が、『[映]アムリタ』。

表紙の絵は好きでした。
芸大生の話か、と思って手に取ったこと。
ヒロイン?の最原最早というキャラに引き込まれてしまったこと。

表紙買いしたのを忘れてしまうほどの、最後の怒涛の展開。

これで終わったと思ったら、続きがあるということに対して驚きを隠せませんでした。

二作目はこちら。
『舞面真面とお面の女 』。

ちょっと変わった名前がよく出てきます。
キャラはちょっとどころではなく、だいぶ変わっています。

続きか、と思ったのに、話は続いていませんでした。
また一作でキレイに完結しました。

まだまだ続くようです。

ポップな絵柄からは想像もつかないほど肉厚なストーリーと、もうどうなっているんだというほどの超展開、現実のようで、ファンタジーのような、不思議な話がここまで単発的に続きます。

たまに、最初の方に出てきたキャラが出てきたりしますが、とても続編とは思えないような登場の仕方です。

そして、このシリーズ最後の作品がこちら。

『2』

タイトルから何もわからない。
何についての話なのかも、何がどう展開するのかも、何もわからないようなこのタイトルの小説を、早く読みたいがために今までのシリーズを読んできたのかもしれません。

読み始めたが最後。
600ページ近くあるボリュームをあっという間に読破します。

ここで最原最早が再登場。
物語をかき回します。

最後は……これは、ここまで読み重ねてようやく感じるカタルシスです。
これは結末を予想できる人はいないのではないでしょうか。

それぐらい、突飛な、想像もつかないような、そんな展開が待っています。

取り憑かれたように小説読んでいた時期を思い出してきました。

多岐に渡るエンターテインメントの才能

ラノベ以外にも、様々な分野に出没しています。

SF作品の代表的なレーベルハヤカワ文庫JAからも一作出されています。

これは「死」に関する物語でした。
近未来の描写にワクワクさせられながらも、最後はそれをそう捉えるのか、という終わり方をします。

また、前述の通りTVアニメのシリーズ構成も手掛けられています。

直近では、アニメ映画の脚本もされていました。

主題歌の一つ「イエスタデイ」を歌っているOfficial髭男dismを始め、たくさんのアーティストとコラボしています。

また、2020年に発売した『タイタン』は、2021年に第42回吉川英治文学新人賞候補にも挙がっています。

このように、エンターテインメントを創るという観点から、手掛けている作品は非常に多岐に渡っています。

少し先の未来を舞台に、突拍子もない展開、特徴的なキャラクターを描いて一つの物語として成り立たせている。

その世界には気がついたときには埋没してしまっているでしょう。

今後も大注目の作家さんです。

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