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シャギ党強襲3-サイレント・ネオ-boy meets girl-

「サシャ、大丈夫!?」
オジャムが呼びかけると、オネの胸元に顔をうずめていたサシャが振り向いて、青白くなった顔をみせた。
「にげないと、にげないと…むらが、むらが…こわいよ…」

サシャは風邪をひいているのではなく、おびえていた。
「テディ・Dも同じようなこと言ってたな…いったい、どうなっているんだろう…」
オジャムがつぶやいた矢先だった。何かの爆発音が響き、ゴサクの家が地震のように揺れたのだ。
「なんだべ!?」
ゴサクは叫ぶと、オジャムと共に鉄砲玉のように飛び出し、庭を通り抜けて村の方を見た。

村の入り口、あぜ道と接している場所で轟音とともに火の手が上がり、悲鳴がとどろいている。
「か、火事か!?」
ゴサクが言った瞬間、村にけたたましいサイレンの音が響いた。

話は少し遡る。
今、村の目の前に、2台の小型陸戦艇がとまっていた。
漆黒の闇で姿を消すような、黒でカラーリングされており、静音モードでアイドリングしている。
それぞれに5機のCAを搭載できるタイプであり、中にはシャギ党の軍人が待機していた。A艇とB艇は通信で会話をしている。

A艇にはシャギ党内では”白影”と呼ばれるエルド・ハイム(サシャの叔母、レイラとコンタクトをとった人物)と、客将であるムドーが乗っていた。
エルド・ハイムー白影はララ提督の姪とその夫に近づいた、あの白髪の男だ。

「白影殿、こんな小さな村に提督の孫娘がいるというのは、まことかな?」
ムドーは好物の黄金糖という飴をしゃぶりながら、たずねた。
「はい、確かでございまする。ムドー殿にまで足を運んでいただくは、恐縮でございまするが…何があるかわかりませぬゆえ」
「かまわぬこと。私も正直、ここのところ何もなく退屈していたゆえ、このような任務も気分転換になるというもの…それに、提督の孫娘を捕まえることできれば、ララを手中におさめたも同然。重要な役割でござる」
「さすがはムドー殿、よくわかっていらっしゃいます」
「しかし、心配なのは、貴君の相棒だ…人選のミスにならないといいが…」
「た、確かに…」

次回は来週末を予定しています、お楽しみに!

サイレント・ネオ-boy meets girl-(先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機落としを達成、スーパーエースに認定された。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

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