見出し画像

シャギ党強襲2-サイレント・ネオ-boy meets girl-

「大変なのよ、何か来るの!」
「何かくる…何が来るの?」
「オジャム、寝ている場合じゃないのよ。このままだとこの村は大変なことになってしまうわ…!」
「大変なことに…?」
唐突に言われ、まだ完全に頭が起きていないオジャムは、ぼんやりと村の方をみつめた。

丘の中腹にあるゴサクの家からは、村が一望できた。
しかし、村は漆黒の闇に包まれ、犬の遠吠えさえ聞こえないほどみなが寝静まり、何かが起きそうな気配など微塵もない。

「テディ・D、薬はいつ飲んだの?」
オジャムは常服している薬をテディ・Dが飲むと、しばしば幻覚を見て興奮状態に陥ることがあったのを思い出した。
「オジャム、薬のせいではないわ、私、わかるのよ、ちょっとした先のこと…」
「そ、そう…」
オジャムはまだテディ・Dの言葉を信じられないでいる。
「オジャム、とにかく、私は急いで西の森にいってくるから、それまでサシャやみんなを守ってあげて!」
テディ・Dはそう言うや否や、暗闇の丘をかけおりていってしまった。
「森って、テディ・D、何しに行くの!? こんな夜遅く、危ないよ!」
オジャムがすっかり目をさまし、止めようとしたときにはテディ・Dの姿はおろか、足音さえ聞こえなくなっていた。

そのテディ・Dと入れ替わるようにゴサクが姿を現した。
「おい、オジャム…お前、そんなところで何をしてるだ…」
「いや、その…」
「それより、サシャが、サシャが大変なんだ!」
「サシャが!?」

オジャムが急いで寝室に向かうと、オネに抱きかかえられながら、サシャは風邪をひいたのか、悪寒を感じているかのようにぶるぶると体を震わせていた。
「サシャ、大丈夫!?」
オジャムが呼びかけると、オネの胸元に顔をうずめていたサシャが振り向いて、青白くなった顔をみせた。
「にげないと、にげないと…むらが、むらが…こわいよ…」

サイレント・ネオ-boy meets girl-(先行配信)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機落としを達成、スーパーエースに認定された。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

この記事が参加している募集

ご覧いただきありがとうございます!