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『2.5次元の誘惑(リリサ)』は胸を熱くしてくれるコスプレ漫画

先日、「次にくるマンガ大賞 2020」の結果が発表された。

こちらの賞は「2014年にダ・ヴィンチとniconicoが創設した
”ユーザー参加型”のマンガ賞」(公式サイトより)で、ノミネートされたされた作品の中から、私たちが「次にくる!」と思う漫画を選んで投票する、というもの。
公式サイトによると、賞は「コミックス部門」と「Webマンガ部門」に分かれていて、既刊5巻以内の連載開始から日が浅いマンガが対象になる。
今回はこちらの賞のWebマンガ部門で4位に入賞した『2.5次元の誘惑(リリサ)』を推していきたいと思う。

『2.5次元の誘惑(リリサ)』とは?

漫画アプリ「ジャンプ+(プラス)」(以下「ジャンプラ」)で連載中のWeb漫画である。
毎週金曜日更新で、既刊5巻。9月4日に6巻が発売される予定。

ジャンプラには、オリジナル連載作品なら初回無料で読めるという、たいへん太っ腹な仕組みがあるのだが、『2.5次元の誘惑(リリサ)』(以下「2.5次元」)は残念ながら22話までは無料では読めない。
大人の事情により、白い光で修正されているからだ。無念!!!!!!
そういう事情があるので、コミックスを買って読めばいいのではないだろうか。

電子書籍は1冊627円、紙書籍は1冊660円。5巻まとめて購入しても、前者は3,125円、後者は3,300円。安いもんだ。

どんなストーリー?

さて、本題に入ろう。
記事のタイトルにもあるように、「2.5次元」はコスプレを主題とした漫画である。
高校生コスプレイヤー・天乃リリサが、同じ高校の先輩・奥村やコスプレイヤー仲間との交流を通して成長していく物語。
という展開になるのは23話辺りからで、それまではラッキースケベ路線である。白い光で修正されているのはそのためである。主人公のリリサがエッチな衣装が好きなコスプレイヤーなので仕方ない。
しかし、エロ要素があっても、少年漫画のお約束である「困難を仲間とともに乗り越え、成長していく」展開はきちんと描かれている。
ぜひ規制に屈しないで、コミックスを購入して頂きたいところである。

おすすめポイント

作中のおすすめエピソードやキャラクターを、ネタバレありきで紹介していく。
「ネタバレ、ダメ、ゼッタイ!」な人は読み飛ばすことをおすすめする。

1.コスプレイヤーたちの思いがぶつかり合う、コススト編!

「コススト」は、「横須賀コススト」という作中内のコスプレイベントだ。
コススト編は、23話〜34話(コミックスでは3巻終盤から5巻序盤)の展開で、リリサがプロコスプレイヤー・753(なごみ)と対決する。
リリサと奥村の所属する漫画研究部が存続の危機にあり、それを阻止するため、また「部活動でコスプレを行う漫画研究部」として認めてもらうために、コスストに参加する。
コススト編の良いところは、明確にどちらが勝った、負けたといった終わり方でないところだ。
コスプレそのものが好きで、「全てのコスプレイヤーを愛している」が信条の753は、プロゆえに浴びせられる罵声に苦しんでいた。何のためにコスプレをしているのか分からなくなりかけていたが、リリサとの対決で始めた頃の気持ちを思い出す。
対決が終わった後、753がリリサに投げかける言葉はとても温かい。

いつか貴方が今日の笑顔を忘れたら
今度は 私が思い出させてあげるから

ちなみに、コススト編に当たる23話〜30話が、入賞記念により無料公開されているので、ここだけでも読んでほしい。
31話以降はコミックス買って読め!

2.オタクの鑑! 漫画研究部部長・奥村先輩!

主人公・リリサとともに重要なキャラクターであるのが、漫画研究部部長の奥村先輩だ。
そもそも「2.5次元」はリリサがROM(ざっくり言うと、コスプレイヤーの写真集のようなもの。リリサが作りたいのはエッチな写真集)を作りたいと、奥村先輩に相談を持ちかけるところから始まる。
最初はコスプレに興味のない奥村先輩だったが、リリサが同じ漫画の同じキャラクターが好きな同志であることと、リリサのコスプレ愛に感化され、カメラマンとしてサポートするようになる。
奥村先輩はコスプレイヤーではないが、コスプレイヤーを支えるオタク紳士なのだ。その片鱗はすでに1話から見せている。
ROMを作りたいと言ってきたリリサに奥村先輩はこう答える。

オタクたる者 好きな物の話は 否定しない!!
「何かを熱烈に愛している」ただ それだけでっ…
オタクという 仲間なのだから

他人の趣味はしない。本当にそれができているオタクが一体何人いるだろうか。
趣味を否定されることが多めのオタク自身が、他人の趣味を否定することの何と多いことか。
「他人の趣味は否定しない」と面と向かって言える奥村先輩はとても希少な存在だ。
このセリフは1話以降も折に触れ、口にするようになる。奥村先輩の信条と言っていいだろう。

3.親近感が湧きまくりなコスプレイヤーたち!

コスプレイヤーは自己承認欲求の塊でイタい人種。
そう思っていた時期が私にもありました。
たいへん申し訳ございませんでした。
「2.5次元」を読むようになってから、コスプレイヤーも同じオタクなのだと感じられるようになった。
例えば、リリサはコスプレ衣装を手作りしている。好きなキャラクターへの愛を表現するためだ。自身の体の採寸から始め、生地をユ○ワヤで購入し、ミシンで手縫いする。キャラクターの衣装を細部まで再現する、というのがリリサなりの愛情表現なのだ。
それはアプローチが違うだけで「尊い」と一言つぶやくだけのオタクとなんら変わりないのだ。

まとめ

とりあえず、1巻だけでも買って読んで!


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