見出し画像

福祉とは何か? 〜介護福祉士の資格を持つ一人の人間として考えてみた

福祉とは何か?
この問いにきちんと答えられる人は少ないのではないだろうか。
仕事として関わっていない人はもちろんのこと、福祉を仕事としている人でさえも。
私は介護福祉士として福祉の世界で働いてはいるが、そんな私でもはっきりと答えられる自信が無い。
そこで、今回の記事で「福祉とは何か?」に対しての答えをある程度はっきりさせることにした。
来年の4月から、社会福祉士の専門学校に通うので、入学前に自分の考えをまとめておきたいというのもあるが。
まずは「福祉」という言葉の意味を調べていこう。

「福祉」の定義

Wikipediaによれば「福祉」という言葉の意味は、おおよそ以下のとおりである。

福祉(ふくし、英: Welfare)とは、「しあわせ」や「ゆたかさ」を意味する言葉であり、すべての市民に最低限の幸福と社会的援助を提供するという理念を指す。

--Wikipedia「福祉」より

分かったような、分からないような。
とりあえず「しあわせ」「ゆたかさ」「すべての人に(中略)提供する」辺りはキーワードになりそうだ。
Wikipediaの定義だけではイメージしづらいので、他の定義も見てみよう。
例えば、沖縄市社会福祉協議会の公式サイトには、福祉を英訳した「welfare」についても記述がある。

この「welfare(ウェルフェア)」という言葉は造語であり、「well=よく」という言葉と、「fare=生きる」という言葉が合わさってできた言葉で、「よりよく生きる」という意味となるそうです。

--沖縄市社会福祉協議会「福祉ってなあに?」より

上記の定義を踏まえた上で、更に踏み込んだ記述もある。

自分や他のひとの「しあわせ」や「生きかた」について考えてみると、みんなひとそれぞれで違ってくるものだって気づくと思います。
自分で考えて、自分なりの「しあわせってなあに?」「よりよい生きかたってなあに?」の答えや考えを持ってほしいと思います。
きっとそれがあなたにとっての「福祉」になっていくのだと思います。
そして、他のひとの「しあわせ」や「よりよい生きかた」を自分より、良い悪いで決めるのではなく、相手の声に耳を傾け、一緒に考えてあげることが、相手に対する「福祉」につながるのだと思います。

--沖縄市社会福祉協議会「福祉ってなあに?」より

つまり、自分の「しあわせ」は何かを考えた上で、相手の「しあわせ」は何かも考えるということのようだ。間違えても、相手の声を聴かずに自分の価値観を押し付けるのは「ダメ、ゼッタイ」なのだ。
似たような記述は、かわさき福祉情報サイト「ふくみみ」にもある。

「福」は幸福などに用いられるように、心の「しあわせ」
「祉」は「めぐりあわせ」や「機会」、また、「しあわせ」のためにそれぞれの人が力や知恵を出し合う「仕合せ」という意味があります。
 つまり、「福祉」とは「人を幸せにすること」なのです。

--かわさき福祉情報サイト「ふくみみ」内「福祉教育について」より

心の「しあわせ」だけでなく、人と関わることで得られる「しあわせ」も合わせたものが「福祉」ということのようだ。

やっぱりよく分からないけれど

調べれば調べるほど、分からなくなってきそうだ。
というわけで、個人的に一番しっくりきたものを中心に考えてみようと思う。沖縄市社会福祉協議会の公式サイトでの記述だ。
前章で引用したとおりだが、同サイトでは、「幸せとは何か?」について自分で考えて、他者の幸せについても否定せず耳を傾けてほしいと書かれている。
幸せとは何か、に答えるのはたいへん難しいのだが、どんな人にとっても幸せと言える状態はあると思う。
それは「自分を知っていること」と「選択肢があること」である。
福祉の英訳「welfare」は「よりよく生きる」という意味になる。何をすれば「よりよく」なるのか。そのための情報ももちろん必要だが、「よりよく生きる」状態を選べければどうしようもない。さらに、情報があって選べたとしても、自分にとって良いものか判断できなければ選びようがない。
だから、「自分の幸せは何か」ということと、「選択肢がある」ということを知っているのは、大事なことなのだと思う。

「自分の幸せを知り」「実現するための選択ができる」のが幸せ

「自分の幸せが何かを知っている」かつ「よりよく生きる選択ができる状態にある」のが幸せだと、私は思う。
そして、そうなるための情報を提供したり、制度につなげていくのが「福祉」なのだと思う。
できることなら、福祉の網から取りこぼされた人たちの支援に携わりたいなと思う。
そう思うひとつのきっかけとして、介護職になったばかりの頃に、ご利用者の方から言われた一言がある。

羨ましいな。あたしも働きたいよ。

お年寄りはもう働くことにうんざりしているのではないかと思い込んでいたので、この一言は鮮明に覚えている。施設で何でもやってもらってラクするより、体がきつくても人に必要とされたほうが幸せなのかもしれない、と思い至ったのは数年経ってからのことだ。

誰かのやりたいことを、具体的な情報や制度につなげる。思いがあっても制度につながっていない人もいるし、そもそも自分の思いが分からなくなってしまった人もいる。社会福祉士になって、そういった人たちの支援に携わりたいと思う。
「自分の思いを知り」「実現できる選択ができる」ことが幸せであり、その手伝いをするのが福祉だと、私は考えている。

参考記事

「お年寄りに働いてもらう」取り組みをしている介護施設や事業所を紹介しておきます。


頂いたサポートで積読を増やします!