老いのシンプルひとり暮らし 書評
「孤独」と「ひとり」は違う
今回読んだのは、誰しも避けられない老後。その時に心安く、シンプルに暮らすための知恵を授けてくれる本でした。
本を通じて描かれるのは「ひとりは気楽で楽しい!」という言葉です。
今にぎやかに過ごしている方は「ひとりは寂しいもの」という意識が強いのではないでしょうか。
「おひとり様」なんて言葉がはやりましたが、どうしても「ひとり=孤独」のイメージの消えない方が多いようです。
実は「孤独」と「ひとりであること」はイコールではないのです。
「孤独」はひとりぼっちで寂しくて仕方ない状態。ひとりを楽しんでいるのではなく、誰もそばにいてくれないので仕方なくひとりでいるのです。この状態はとても寂しいでしょう。
「孤独」の状態は健康にも良くありません。メンタルに与えるダメージはもちろんのこと、病気にもなりがちです。
アメリカの心理学者、ジュリアン・ホルトランスタッド(Julianne Holt-Lunstad)氏は、孤独な人の早期死亡リスクは2倍だとはじき出しました。
逆にひとりを楽しむ状態は、わずらわしい人間関係から解放される喜びにみちています。
自分の時間の使い方は自分で好きに決める。食事も自分だけで決める。同居人の好みや健康状態を考えなくてよい。起きる時間も寝る時間も自由。買い物も、相手を待たせる気遣いなく、好きなものを好きなだけ見ることが出来る。そういう感覚です。
「孤独」の鬱屈した状態とは正反対で、「ひとりを楽しむ」ことは、まことに開放的なものなのです。
「ひとりを楽しむ」チカラ
さりとて、誰でもすぐに「ひとりを楽しむ」喜びを味わえるかというとそうでもありません。
第一に「孤独」ではいけないわけですから、会いたいと思ったときには連絡のできる友達や家族のひとりもいなければならないでしょう。
困った時に頼る人が一人もいないのでは、それは「孤独」の範疇に入ります。「ひとりを楽しむ」からこそ、選ばれた人間関係は必要なのです。
決してひとりぼっちで誰とも付き合わないことではありません。
また「ひとりで決めるチカラ」も必要です。電球が切れたからといってご主人に頼むわけにはいかないのですから。それくらいのトラブルは自身で解決できるチカラは不可欠です。
もちろん、ひとりでどうしようもないトラブルの時は「無理」と判断して、普段から仲良くしている友達なり家族なりにヘルプを出すことも大切です。
意地になって、なんでもかんでもひとりでするのも、違うのです。
お分かりになるでしょうか。この絶妙なバランス具合が「ひとりを楽しむ」秘訣なのです。
終活も必要
こちらの本では「ひとりを楽しむ」現役の話が中心で、あまり自身が無くなった後のことには触れていません。
しかし私は「ひとり」を楽しむのならば、終活は必須だと考えます。
そのためには断捨離よろしく、身の回りを整理しておくのが第一歩でしょう。
死んでいくのは一人でも、必ず誰かが後片付けをさせられます。
病院で亡くなった場合は部屋を汚さなくて済みますが、孤独死の場合はどうでしょう。出来たら何日かおきにでも、気の置ける友達と電話でもするといいですね。
何日も連絡がなければ気にしてくれるでしょうから。
家族がいて、看取ってもらえた幸せなケースだったとしても、遺品整理は骨が折れます。いるものいらないもの。故人はどういうつもりだったのか。エンディングノートをつけておくといいですね。
銀行口座はどこがあるか。特にネット銀行などは通帳もありませんし、記録しているものがなければ遺族にはわかりっこありません。
こういうデジタル遺産に頭を悩ませる遺族が、最近増えているということです。パソコンのパスワード、スマホのパスワードなど。メモしておくと親切です。
そうそう、見せたくない写真や日記の類は、定期的に処分していくのがおすすめですよ。断捨離も兼ねて。
まとめ
こちらの本の著者、阿部絢子さんはこの本の時点では現役で働いていらっしゃるし、お体も健康なようです。
ハウスワークも楽しんでいらっしゃるし、自分なりのおしゃれ道も確立している。
海外でホームステイをするのが何より好きだとおっしゃる行動派の女性です。興味を持たれる分野も幅広く、知性的な女性です。
まさに「ひとりを楽しむ」を現在進行形で行く方です。
その姿にあこがれ、この本を参考に私も学びながら、今は家族の世話で忙しいですが、いずれ訪れるであろう「ひとり」の日に備えたいと思います。
今回も最後まで読んでくださってありがとうございます。感謝です!(春香拝)
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