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mature life (ライブラリー編)

「ほんのちょっと当事者」青山ゆみこ著(ミシマ社)

著者、青山ゆみこさんとの出会いは20年前、
私が神戸のホテル支配人に就任したばかりの頃でした。
ホテル1F「カフェレストランcri-cri」のリニューアルオープンに向けた準備中、ふらりと立ち寄ってくれたのが彼女でした。

彼女は関西で人気の月刊誌副編集!
自らの足で街を歩き、お店を訪れ、人と出会い、話を聴いてくれる…
そんな彼女の取材姿勢や記事は、当時から多くの店主や街の人達から信頼されていました。

神戸に1店舗しかない小さなホテルがその後、様々な媒体から取材を受けることができたのは、いち早く見つけてくれた彼女のおかげです。
当時は仕事以外にもよく食べたり、呑んだり、呑んだり、呑んだり…(笑)と楽しい時間をご一緒する機会も多く、いろんなお店や人とのご縁をつないでくれました。

私がホテルを退職した時、東京旅に誘ってくれたのも彼女の優しい気遣いだったと感謝しています。

そんな彼女がフリーランスとなり、
2冊目の単著を出版!

自身の体験から、社会問題を「正義」という直接的な問いかけでなく「自分ごと」として、実際に経験したこと、悩み、困った、調べて、学ぶ姿を赤裸々に淡々と伝えてくれます。

読み進めていく途中、それは彼女の経験なのにふと自身の体験にもつながっていく…

タイトルも彼女自身でつけたとのこと。

まさにそのタイトル通り「ほんのちょっと当事者」で語られるエピソードは、自分の身にも起こった、これから起こるかもしれませんこと。

出版記念イベントは、東京旅でご紹介頂いた平川克美氏との対談と知り、楽しみに参加してきました!

対談中、彼女は平川さんに「言葉の人」と例えられました。

私もズンと胸に響いた
第3章「奪われた言葉」にその理由がわかるエピソードがあります。

そして、
今はフリーランスで働く私には、第8章「私のトホホな働き方改革」は、まさに自分ごととして読みました。

介護についても、親のことはもちろん、自身の未来の為にも知っておくべきことがたくさんある…
そして、自分は知らないことばかりだと知る。

「生きる」ってホント大変だなぁと感じるけれど、だからこそ、自分の困りごとや大変なことは、誰かの困りごとや大変なことでもあるのだと教えてくれました。

まずは知ることから、
隣の誰かを想像することから…

そんな彼女の優しい問いかけは、
時に生き苦しさを感じる私の心も、
きっとそんな誰かの心もほぐしてくれます。

大学で社会福祉を学ぶ姪にも
この本は読んでもらいたい。
(お正月にお年玉と一緒に渡そう!)

いや、姪だけではなく男女全て、
一人でも多くの人に読んでもらいたい!
と願う本です。

「ふくよかな社会」への
第一歩に…。