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サンタクロースになった少年

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

2007年のフィンランド映画。フィンランドのラップランド(*)を舞台にした、サンタクロース誕生までの物語。孤児になった少年は、なぜサンタクロースと呼ばれるようになったのか?―― 絵本のような優しいファンタジー作品です。原題 "Joulutarina"。(英題 "Christmas Story")

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ラップランドって、どこ?

本作の舞台になっている「ラップランド」。
どこにあるか、ご存じでしょうか?

恥ずかしながら、わたくし、ちゃんとわかっていませんでした。汗

インテリアや絵本の好きなわたしが「北欧」と聞いて思い浮かべるのは、こんなものたち――。

〇 IKEA/スウェーデン
〇 長くつ下のピッピ/スウェーデン
〇 ムーミン/フィンランド
〇 アルヴァ・アアルト/フィンランド
〇 アルネ・ヤコブセン/デンマーク

なんとなく “おしゃれ” で “可愛く” て “素敵ものがいっぱいある所” という、大まかなイメージで捉えていました。

映画で言うと『かもめ食堂』とかね♩ 「ほぼ日」にも北欧系のコンテンツ、多いですよね。皆川明さんの「ミナ・ペルホネン」も、北欧とゆかりが深いし。

やっぱり、どうしてもおしゃれ系になる。笑

・・・

さて、そんな北欧にある本作の舞台「ラップランド」とは? 興味があったので、調べてみましたよ~!

*「ラップランド」とは
広義には、フィンランド国内のひとつの地域を指すのではなく、北欧とロシア、4つの国(ノルウェー/スウェーデン/フィンランド/ロシア)にまたがるスカンジナビア半島北部の地域のこと。

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――なのだそうです。知らなかった!

本作『サンタクロースになった少年』で描かれているのは、フィンランド北部の「ラッピ県」あたりが舞台のようです。中でも、県庁所在地のロヴァニエミRovaniemi)という街は、サンタクロースの故郷として有名な土地で世界中から観光客が訪れるのだとか。

ある男の子がサンタクロースになるまでのお話

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〇 あらすじ(ネタバレなし)
ラップランドの小さな村で暮らす7歳の少年ニコラスは、両親と幼い妹を事故で亡くし、孤児になる。貧しい村人たちは相談し、6つの家が1年ずつ交代でニコラスを育てることにする。
毎年クリスマスになると、ニコラスは新しい家へ移る。イブの晩、それまでお世話になった家の子どもたちのために、彼は自分で作った木彫りのおもちゃをそっと置いて行くようになっていった。
すべての家を一巡した6年後、村が飢饉に見舞われ、どの家もニコラスを引き取る余裕がない状況になってしまう。やむなくニコラスは、人里離れて暮らす家具職人イーサッキの元へ働き手として引き取られる。
イーサッキは腕は良いが、偏屈なはみ出し者で子ども嫌い。厳しい修業を積みながらも、真面目に働くニコラス。その後も彼はおもちゃを作り、村の子どもたちへプレゼントを贈り続ける。やがてニコラスは大人になり――。

サンタクロースが登場する映画は沢山ありますが、その多くは “白い髭のおじいさん” になってからの、わたしたちがよく目にするサンタクロースの姿。

サンタさんが登場するお話といえば、絵本もありますね。わたしが好きなのは『さむがりやのサンタ』!(福音館書店/レイモンド・ブリッグズ 作・絵)
この絵本が、子どもの頃から大好き!もちろんわが家の愛蔵書になっていて、親子で読み継いでいます♡

子どもたちが知りたくてたまらないサンタさんの一日が、ユーモアと共に美しい絵で詳細に描かれています。ドールハウスのように切り取られた家の内部の様子とか、たまらなくワクワクしたなぁ……♩

・・・

そういえば、サンタクロースに “サンタになる前の少年時代” があった―― なんて、あまり考えたことがないですよね~! そういう発想で描かれている点が、本作の珍しいところではないでしょうか。

どうしてクリスマスにこっそりプレゼントを配るようになったの?
なぜ赤い服を着ているの?
なぜソリに乗っているの?

これらの疑問の答えが、本作を観ていると自然に明かされてゆきます。

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また、サンタクロースやクリスマスといえば、欧米のキリスト教文化と深く結びついている伝統ですが、そういった宗教色がないところ、北欧フィンランドを舞台に素朴な物語として描いているところも、絵本を見ているようでなんだかほっとします♡

北欧フィンランドならではの良さ

本作は「フィンランド映画」であることが大きな魅力。
トレーラーはこちら。

フィンランド語の響き。普段あまり耳にする機会がないので、新鮮です。

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厳しい寒さと共にあるラップランドの風景。美しい……♩
冬の世界を象徴的に表す、青みがかった色合い。

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極寒の屋外の雪の世界(青と白)とは対照的に、屋内のシーンは暖かみのあるイエローがかった色合い。
木と、革と、紙と、鉄や真鍮。視界に入るものがすべて自然な風合い、というのも “ほっ” とする一因かも。

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見て~! ニコラスの着ている衣装も可愛いでしょう?
帽子も、形は違うけれど、なんだかスナフキンを連想させます♩

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女の子の衣装も可愛いんですよ~! まるでアナ雪』!♡

*『アナと雪の女王』は、フィンランドのお隣の国、ノルウェーがモデルになっているそう。

音楽も北欧の雰囲気があって、良いです♩

意地悪な人が出てこない、優しいファンタジー

わたしが「絵本のような映画」と何度も例えている通り、本作には悪意のある “意地悪な人” が一人も出てきません。みんな優しい。

主人公が孤児で、よその家庭を転々として育つ……と聞いたら、なんとなく引き取り先の家でつらい思いをしちゃいそうじゃないですか。

『赤毛のアン』がグリーン・ゲイブルズに辿り着く前の時期(トーマス家、ハモンド家)しかり。『3月のライオン』の幸田家時代しかり。『火垂るの墓』の「通りません!」の叔母さん宅しかり。

本作のニコラスを交代で引き取って育ててくれる村人たちは、決してそうではないんですよね。偏屈な家具職人のイーサッキも、はじめの頃こそニコラスに対してつらく当たりますが、それにもちゃんと理由があって――。

本作の優しい世界に触れたら、きっと何かしらの想いが心に湧いてくるはず。

北欧がお好きな方、絵本がお好きな方、しみじみと人の優しさを感じたい方におすすめです♩


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