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#09 2つのアプローチ

怒っていなければ、いい起業はできない?!

演出家、故・蜷川幸雄は俳優に「不幸でなければ、いい演技はできない!」と言ったそうな。その言葉をオマージュするならば、「怒っていなければ、いい起業はできない!」のではないか、そう思う。私がいい起業をできたのか定かではないが、(この文章を書こうと)遡ってみると最初の方は相当お怒りだったご様子(笑)。

7年前の全体会議の発表資料では、やれ「『働き方の希望』と『働き方の現状』はこんだけ落差があるってなにぃー?!」だの、やれ「1回出産育児で社員からリタイヤしてしまえば、落ち着いて速攻戻っても生涯年収が5000万円から8000万円も差がつくんですけどーー!!」だの、怒りをぶちまけているのが分かる。(データは古いのでご注意を。)

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「なんでこんなことになってるのだろうか?!」という怒りと、その頃まだ子どもが幼かったことから、そういう力任せな瞬発力を持たないと奮い立たないというフィジカルな事情で、無理やり自分を突き動かしていたような気が、、、今となってはいたします^^;

働きたい人は「働きたいだけ」速やかに復帰させる

そのころ(2013年)ナラティブベースがビジョンに掲げたのがこれだ。

「さまざまな『働き方』が選べる社会」
■柔軟な雇用形態が増え、ワークスタイルが多様化することで、社会人が家庭や地域で過ごす時間が増えている。
■ライフスタイル、ライフステージの変化に合わせ、何度でも「働き方」を選び直せるチャンスと、そのために学べる場がある。
■家族や地域に貢献することも‘働くこと'であるという共通認識が浸透している。

この背景として、当初私がSNSにぶちまけていた怒り文を、恥さらしついでに再掲したいと思う。

出産後すぐでなくても、会社の条件や環境に自分というコマがどうしても当てはまらず、辞めてしまう人はまだまだ多い。
出産すると大好きな職場も一瞬にして異世界に変わる。話しても話しても感覚が伝わらない。自分がどこまで仕事という約束を交わしていいのか?さっぱり分からなくなり、その資格さえなくなってしまったような無力感に襲われる。
しまいにそこまでして子育てを人に任せる必要はあるのか?と、自分自身を責めてしまう。誰もそんなこと言ってなくても。これは旦那さんが協力的か否かに関わらずある層が辿るルートだ。
保育園がいつまでも足りないのは、結局こういったジレンマ層が、社会に再度「本当の戦力」として戻るまでの支援やしくみがないまま、預け先を増やしているからなんではないか?
つまり、注ぎ込んだお金がそれ以上の利潤として社会に還元されるようなチェーンが回らないのに、延々に投資しようとは誰も思えない。子育て支援がブラックホールのようにお金を吸い込んで戻らないことを社会全体が本能的に気付いているみたいな状態だと思う。
産後間もなく辞めて子育てに集中した人の中には、落ち着いて仕事に戻ろうとしたとき、練習を休んでいたスポーツ選手のように何倍努力しても勘所が戻らない人もたくさんいる。包み隠さず言うとタイミングを逃してからの復帰は、なかなか戦力になりづらい上、子育てが終わったわけではないから不安定で企業にとっては「投資対象」とし切れない。
そういう復帰をいくら応援しても、まるで相性の悪い2人をその方が社会的に幸せだからと結婚させようとしているようなもんだ。
働きたい人は「働きたいだけ」速やかに復帰させる必要がある。それは、フルタイムで子供を預けられればいいって問題じゃない。

どんだけ怒ってたんでしょうか・・・わたくし・・・(汗)

2つのアプローチ

話をもとに戻そう。ビジョン「さまざまな『働き方』が選べる社会」がくるためには2つの変化が必要だと、当初考えをそうまとめていた。

求められる2つの変化
(1)企業がもっと柔軟な働き方を提供するようになる
(2)ワークスタイルの多様化とそれをサポートするしくみが登場する

つまり、変化を起こすためには2つのアプローチがある。そして、小さな組織の自分たちにすぐできることは「(2)ワークスタイルの多様化とそれをサポートするしくみが登場する」のしくみをつくることだった。「社員以外の「働き方」が成果を上げ、メリット(安定、収入増)を享受できるしくみ、いつでも学びなおせ実績を作り直せるチャンスの場をつくろう!」(当初資料より)と、そのためのプラットフォームづくりを開始したのだった。

つづく

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