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『追想』:ふたりの行く末を見守る、海岸と砂浜、そして曇り空


1962 年、夏。世界を席巻した英国ポップカルチャー「スウィンギング・ロンドン」が本格的に始まる前のロンドンは、依然として保守的な 空気が社会を包んでいた。そんななか、若きバイオリニストのフローレンスは歴史学者を目指すエドワードと恋に落ち、人生をともに歩むことを決意する。結婚式を無事に終えた 2 人が新婚旅行として向かったのは、美しい自然に囲まれたドーセット州のチェジル・ビーチ。しかし、ホテルで 2 人きりになると、初夜を迎える緊張と興奮から、雰囲気は気まずくなるばかり。ついに口論となり、フローレンス はホテルを飛び出してしまうのだった。家庭環境や生い立ちがまるで違う2人であっても深く愛し合っていたが、愛しているからこそ生 じてしまった“ボタンの掛け違い”。それは、今後の2人の人生を大きく左右する分かれ道となってしまう。フローレンスとエドワードにと って、生涯忘れることのできない初夜。その一部始終が明かされる……。- Filmarks映画情報 『追想』あらすじより


『追想』2018公開
主演:Saoirse Ronan(シアーシャ・ローナン)

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互いを愛するが故に歯車が狂い、結婚式を終えふたりだけの時間、ハネムーンの中で起こるべくして起きた出来事。
時代設定が、1962年というのもまたよかった。そして、物語が進行するにつれ、現代に近づいてくのも。(1962年の時だけで物語が終わると思っていたので、二人のその後がこのような形でえがかれることにびっくりした)

オープニングで仲睦まじく歩いた、ハネムーン先の長く伸びる砂浜。
二人の関係に終わりが見え、一緒に戻ろうとフローレンスがささやくも、事態を受け入れられないエドワード。
そんな彼を残して、一歩ずつ砂を踏みしめながら、逆の方向へと去っていく彼女。
このカメラワーク、とても素敵だった。長く伸びる砂浜と海岸、一艘のさびれた木製の船、そして不穏な何かを感じさせる曇り空...

この曇り空に、青くみずみずしいフローレンスのドレスが際立つんだ。

フローレンスも、エドワードも、それぞれの苦しみを抱えていた。
彼女との身分の違いによる葛藤、辛かったよね。でも、自分を認めてくれたのは、彼女だった。
フローレンスは、父親から暴力(もしくは性的なもの)を受けていたのか?と思ったけれどそれは違うのかな。父とエドワードのテニスのシーンで、横暴な感じがあったけれど。あと、エドワードに対し、暴力はやめて、と言っていたし。
純情すぎる故、”はじめて”のものに対する恐怖、だったのかな。
”初夜”での出来事は、わからなくもないのだけれど、彼女の行動は、きっとエドワードが抱える様々なプライドを傷つけることになってしまった。

Saoirse Ronanのドレス、一つひとつがどれをとっても可愛らしい。良いところのお嬢さん、て感じが凄くあふれていた。ハネムーンでの青いドレス、下着も印象的でした。
(フローレンスが部屋から飛び出し、取り残されたエドワード。ベッドの片隅に残された下着がなんだか物悲しくて。そして、飛び出していったフローレンス、、、え・・・?!!ってなってしまった私。深刻な場面にすみません)

ハネムーン先のホテルの一室で、ちくはぐで可笑しなボーイたちとのやり取りをしていたのが、なんだかとても懐かしく思えます。


クロエちゃん、良い子だったなぁ。とても賢そう。「弾んでるっていうのよ」みたいな、ちょっとおませな感じがとっても可愛らしい。


友人の話だけど・・・と昔の話をするエドワード。
数十年たった今でも、いろんな気持ちを抱えているんだよね。年老いてぼんやりと話をするエドワード... 若い時から不器用な感じだけれど、この雰囲気とても好きだなぁ。

学生時代のメンバーが半世紀たってもこのように一緒にカルテットを組んでいるとは。フローレンスの夢が叶ったね。そして、Cの9番席...。

今までのことは、きっと無駄なんかじゃなかったね。

『追想』オリジナルサウンドトラック より画像お借りしました。


『レディ・バード』で可愛い!と惚れた女優さん・Saoirse Ronan。彼女の今回の出演作も、若いが故の心の揺れ動き、すれ違いを描いた作品でした。この作品の彼女は、可愛いというより、「美しい...!」という形容があっている。

不慮の事故で脳に損傷を抱える、エドワードの母。一緒に模写しましょう、といって彼女が描いた絵、素敵だったなぁ。エドワードの家族に、笑顔をもたらした。
(彼の父がこそっと、「結婚しろ」と言ったのが良かった笑)
エドワード一家と、フローレンスで食卓を囲むとき、フローレンスのことをお手伝いさんでしょ?と言いながら、フローレンスが運んできた鍋のスープを、自ら皿に盛りつけ、彼女に手渡す母。あれ?これは時折、記憶が戻っているの?とか思ったり。それも、フローレンスがもたらした効果だったのか。



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