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最近よくやるウキヨエの描き方

手数が多く、だいぶ大味なウキヨエメイキング。


概要

現在はまっている描き方でのイラスト制作手順。
最近イラスト作成にあたってようやく自分なりの工程を意識して描けるようになってきたので記録に残しておこうという精神で書きます。

※ようやく作業開始~最終工程までを意識できるようになった、というあまりにも初歩的な段階なので効率が良い制作過程ではないかもしれません。むしろ効率が良いのか悪いのかすらわかっていないというトンデモ状態です。

対象となる絵はこれ

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上からサワタリ=サン、フジキド、ジェノサイドです。


はじめに

このメイキングで扱うイラストは
・ペイントツール:ClipStudio
・画法:グリザイユ画法
…です。
ただし、グリザイユ画法もかなりあいまいに理解しているので、有識者からすると「それはグリザイユ画法ではないのでは?」と思われる部分もたくさんあるような気がします。


01.ラフ

 一番初めにラフを描きます。私はラフと下書きの違いもよくわかっていないので世間一般では下書きとよばれているものも、この過程に入っているかもしれません。以下の段階に沿ってラフを作成します。

・0ラフ:大まかな構図を描く。人物は棒人間レベル。
・1ラフ:人物を裸体で作画。デッサン人形を描くイメージ。人体の比率、ポーズの正確性を重視。
・2ラフ:人物の特徴、服装なども加味して描く。
・3ラフ:2ラフをさらに洗練させる。あとはなぞるだけ状態にする。

 ……多くね?何枚ラフ描くんだよ、って自分でも思いますが、私は絵があんまり上手じゃないのでこれくらいラフを重ねないと描けないんです。

 さらに言うなら上記の工程は通常の場合です。難しいポーズや角度の場合、さらに4ラフ、5ラフ、とラフがどんどん追加されていく場合もあります。ごくまれに2ラフをそのまま線画に出来るくらいサクッと描けるときもありますが滅多にないです。

 ですが、そんなことより大問題なのは、「カラーラフ」を作る工程がない、ということだと思います。カラーイラスト作るのにカラーラフ無いとかお前…って感じです。着色段階では完全に行き当たりばったりということです。良くないですね。改善します。

↓対象イラストの0ラフ。

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02.線画

 ラフをなぞって線画を完成させます。絵のイメージに合わせてどんなブラシを使おうか考えるのがとっても楽しい工程です。このときはデッサン鉛筆を使いました。この絵を描いたときは確かすごく日程がシビアだったので、全ての工程でサワタリ=サン優先で描きました。サワタリ=サンはそれまでに一度も描いたことがなく、デザイン的にも一番時間がかかりそうだったのが理由です。ラフも線画も真っ先に取り掛かりました。

完成した線画

サワタリ=サン

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フジキド

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ジェノサイド

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 背景をグレーのグラデーションで塗りつぶしていますが特に意味はありません。最終的に背景に色を重ねるときに便利なくらいです。個人的に後ろが真っ白だとグリザイユの陰影をつけるときに正常に判断がしづらい、着色時にも背景が光りすぎて色の判断がしづらいので毎回塗っているだけです。

 余談ですが、線画は腕と他の部分でレイヤーを分けることが多いです。腕は胴体部と重なることが多いうえに違和感を感じて修正したくなる部位なので最初から分けています。今回は各キャラごとに腕、本体、水鉄砲の3枚の線画レイヤーに分けています。



03.グレースケールで陰影をつける

 グリザイユと言えば…みたいな工程です。イラストをモノクロの諧調で塗っていきます。必ずしもグレースケールでなくてもいいらしいですが、私はいつもグレースケールです。私は明るさ5段階で塗り進めています(具体的なRGB数値とかは好みによって千差万別な気がします)。

〈5段階の明るさ〉
1.だいぶ明るい色(ハイライト)
2.ちょっと明るい色
3.中間(ベース)
4.ちょっと暗い色
5.だいぶ暗い色

〈手順〉
1.中間の色で対象全体を塗りつぶす(ベース塗り)
2.ちょっと暗い色を塗る
3.ちょっと明るい色を塗る
4.だいぶ暗い色を塗る
5.だいぶ明るい色(ハイライト)を塗る

↓ベースを塗ったところ

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↓ちょっと暗い色を塗ったところ

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↓ちょっと明るい色を塗ったところ

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↓だいぶ暗い色を塗ったところ

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↓だいぶ明るい色(ハイライト)を塗ったところ

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これを全ての対象に行えば完了です。

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……だいぶ混み合ってます。

 あと、好みの問題もありますが、私は5段階の明るさごとにすべてレイヤーを分けています。最初のベース塗りをしたレイヤーに対して他の4段階のレイヤーをクリッピングするのが一番ラクに思えます。

 人によっては、グリザイユのグレースケールは一枚のレイヤーにどんどん塗り込んでいき、馴染ませていくという方もいますが、私はそれを止めてすべてレイヤー分けをした方がグリザイユに対する苦手意識が消えました。

 個人的な感覚ですが、グレースケールを一枚のレイヤーに収めようとすると、色同士が混ざりすぎて5段階どころではなくなり収集が付かなくなってしまうため難しいと感じます。恐らく一枚でも難なくこなせる方は、手順が洗練されていてほぼ手戻りがない、ざっくり一気に塗り進める→細かい部分をなじませるの頻度やバランス感覚が優れているんだと思います。



04.全体にかぶせる色を決める

 グリザイユの難しい点として、完成した絵がくすむというものが挙げられます。これを回避する方法は調べれば色々と出てくるのですが、私は全体に明るい色をあらかじめかぶせてしまう方法を採っています。

 よく、レイヤー全体を赤や緑で塗りつぶしたオーバーレイレイヤーを重ねている方がいますが、まさにあれです。

 今回の絵はオレンジっぽい色で塗りつぶしたオーバーレイレイヤーを重ねました。

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05.各キャラクターをイメージ色で塗る

 ここからはだいぶ自己流というか、これまで以上に非効率な手順になっていきます…。

 着色の際にまずキャラクターを単色で塗りつぶします。レイヤーモードはオーバーレイやスクリーンなど、グリザイユの着色の時に使用するモードで塗ります。

 この時に肌の色とか髪の色とかは考慮しません。キャラクターのメインカラーにしたい色で全体を塗りつぶします。(あくまでイラスト内での大まかな色設定という感じです。他のキャラクターの色との兼ね合いで決める場合もありますし、全員同色にする場合もあります。)

 この方法のいいところは、自分で一から色を選ぶのはこの一回のみにできるところです。あとはほぼ色調補正で色を調整していくだけです。私のような色音痴には比較的優しい方法だと思っているのですが…。

↓塗りつぶした状態(フジキドは後の工程で都合によりメンポ部分の赤色を消したみたいです。消す前の状態が残っていませんでした…。)

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 なんとなくイメージで色を決めています。フジキドは装束からして赤、サワタリ=サンも装束的に緑かなーと思いました。ジェノサイドはイメージとして青や紫といった色がしっくりくるなと思ったのに加え、フジキド、サワタリとの色のバランスを見て紫にしました。

 ……ただ、この色を決めるにあたって、一つ前の工程で全体にオーバーレイで色をかぶせているので、色選択時に色相環やパレットで選んだ色と、実際に着色した色が乖離して見える場合があります。(というかほぼ乖離するような気がします…。)いまいちその辺の効率の良いやり方がわからないので、とりあえず塗ってみて色の見え方を確認しつつ何度も色を変えてイメージ通りの色を探しています。



06.色調補正

 一つ前の工程でキャラクターを単色で塗りつぶしましたが、そこから色を変えたい部分を選択して色調補正をあてまくってどんどん色を調整するだけです。色の変化が物足りなく感じた場合、オーバーレイ、乗算、加算発光などの合成モードも使用してイメージに近づけています。

 ただし、この工程は一気にレイヤー枚数が増える原因にもなります。一長一短です。

↓色調補正後

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07.色や描き込みの微調整

 前の工程では補いきれなかった細かな描き込みや調整を行います。主にメリハリが弱いと感じた部分に調整を加えます。ここでは合成モードなどは使用せず、通常レイヤーを使用することが多いです。一番上に通常レイヤーを置いて周囲の色を拾いつつちょこちょこ地道に調整します。

↓微調整後

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 今回微調整したのはサワタリ=サンとジェノサイドです(以外にもフジキドは調整無しでした)。

 サワタリ=サンは描き込みを調整しました。編み笠の線や顔の影を線画っぽくガサガサと描いた方がイメージに合っていると感じたので、ここで描き込みました。

 ジェノサイドは色の調整を行いました。カソックコートと髪の毛を調整しています。カソックは一番暗い色が明るすぎると感じたので、もう一段階暗い色を置いています。対して髪の毛は暗すぎて後ろのフジキドの暗い赤とのメリハリが無いように感じたのでちょっと明るくしてあります。

 正直、自分以外にはわからないくらい細かな調整が多いです…。でも自己満足のためにもこの工程は欠かせないんです…。



08.背景

 今回の絵は文字や血飛沫模様を配置するだけなので特筆すべきことはありません。強いて挙げるとすれば、のっぺりしないためにテクスチャを使用したり背景色の調整を行ったくらいです。

↓これで完成

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おわりに

 私は絵を描かれる方、何かを制作されている方が自身の作品について解説するメイキングや作成過程を見るのが大好きです。それに触発されて初めて自分の作成過程を文字に起こしてみましたが、思っていたより自分なりの工程を意識して制作していたことがわかりちょっと嬉しい気持ちになりました。が、実際は何度も往復しまくっている工程もあるので、工程をきっちり決めていても実作業が効率良くサクサク進むとは限らないこともはっきりしました…。

 今回のイラストは、実作業時間約15時間、使用レイヤー枚数74枚でした。お、遅い…驚異的な筆の遅さです…!また、レイヤー枚数はもちろん表示レイヤー枚数だけですので、最初に描いたラフは含まれていません。…おそろしや!

 時間がかかる原因は、恐らくラフ制作と色調補正に要因があると思います。ラフはもう人体デッサン等で地道に力をつけていくしか解決方法はないかな、と思っています。色調補正に関してはもう少し機能の勉強をしたり他の方の方法を参考にしてみてもいいかもしれないと感じています。

 ここで描き方を整理したことが向上につながればいいなぁと思いながらお絵描きしようと思います。

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