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保健指導の失敗談

皆さん、こんにちは。
今日は保健指導での失敗談から学んだことを書いていきたいと思います。と言っても、たどり着いたオチは至極当然の当たり前すぎることです。産業保健の業界で働いていると日々悩むことが多く、悩んでいるとそんな当たり前のことすらも抜け落ちていってしまうものだなと改めて痛感しました。

事例としては

・中高年の男性
・健康診断の結果空腹時血糖、ヘモグロビンA1cが異常高値

ということで、すぐに保健室に来てもらい面談をしました。
私からは受診勧奨と糖尿病の概要などを話し、場合によっては就業制限がかかる可能性についても伝えました。治療歴や生活習慣なども簡単に聞き取っていきましたが、彼はポツリポツリと単語でしか答えてくれず、こちらからの説明にはノーリアクション。ここまで反応が薄い方を対象に面談をした経験がなかったため、私もタジタジになってしまいました。「とにかくまずは受診をしてください」と言って面談は終了。その後、受信確認をすると受診はしておらず頭を抱えた事例です。

結局、本人は必ず受診はすると言っていましたが、業務の忙しさを盾に煙に巻く可能性もあったため、本人の同意を取って上長に共有、上長から受診を説得してもらいました。

このかかわりの中で、どのような反省点があったか振り返りました。
 ①過去に糖尿病治療歴があり、自身でコントロールできていた時期もあった。にもかかわらず、糖尿病の基本的な説明をしてしまった。
 ②アセスメントが不十分だった。寡黙ながらも話してくれた言動から、この方の価値観や状況を把握することができたはず。振り返ると彼が口を開くタイミングは、こちらの弾丸な説明が終わった切れ目のタイミングだった。もう少し待つことができれば…。
 ③気まずさに動転して、余計なことを言ってしまったり、的外れな質問をしてしまったりした。
 ④今回の面談の目的は「受診をしてもらうこと」だったので、まずはシンプルにそれを伝えた方が良かった。

 また、最終的には上司から受診勧奨をしてもらった訳ですが、上司は産業保健職よりも本人の人間性を把握していたり、信頼関係を築いていたりするため、産業保健職だけで抱えきれないことは上司や人事など多くの人を巻き込んでいった方が良いと感じました。上司は、彼と飲み会をしたりとプライベートでの交流もあるため、話を聞き入れてもらいやすかったようです。

最終的な結論は

 やはり、対象者と信頼関係を結ぶことです。今回、対象者の視点で振り返ってみると、保健室にいきなり呼び出され、血糖値が高いことを指摘された。今まで通院もしてきて、それなりに糖尿病の知識もあったのに若い保健師からくどくどと糖尿病の説明をされた。ということで、VS構造が生まれても仕方がない関わりだったと思います。
 私の会社はスタートアップで、今まで産業保健職もおらず健診の事後措置もなかったため、やはり面談は慎重に行っていく必要があると感じました。保健師として、対象者のダメなところも見つけやすいし、持っている知識を沢山教えてあげたいとも思いますが、信頼関係がなければ自分のことも話してもらえないし、保健指導を聞き入れてくれることもないでしょう。
 ということで、今後の面談は、保健師として最低限のラインを引きつつ、まずは信頼関係の構築を第一という姿勢で行っていきたいと思いました。


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