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【詩】誇り


誇りってなんだろう


権力にしがみついて
勲章をもらうことだとしたら
きっと祖父には
誇りなんてなかった


祖父は
優秀だった間違いなく
いつも仲間がいた


組織なんて
事実を事実として
間違いを間違いとして
口にしたとき
つまはじきにされる


下にいる者を守って
間違いを間違いと声にした
それは祖父の
中心にあるものが
そうさせた


祖父に待っていたのは
あからさまな左遷
慕っていた人は消えてゆく
行くであろうルートは消えた




誇りってなんだろう




惨めなまでに
あったものがなくなり
いた者がいなくなる


祖父に
愚痴など必要ない
下の者が上になり
祖父は下になった


それでも祖父は
何も変わらなかった
どんなことがあっても
文句を言わなかった



ヤクルトが負けると不機嫌になり
酒を飲むと歌を歌う
祖父はいつも通り眩しい




負け犬と言うかもしれない
情けないと言うかもしれない




僕はそんな祖父を
誇りに思う




誇りは勲章の中にはなく
祖父の心の中にある




今ならわかるその素晴らしさ






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