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「特性=才能」 発達障害児が自分の才能で生きていける社会を。 一般社団法人 Le Houx(ル ウー) 代表理事 山形瑠袈さん

1児の母であり、法人事業として放課後等デイサービスや日中一時支援、フリースクール、サロン運営を行うパワフルなシングルママ 山形瑠袈さんにお話を伺いました。

<山形瑠袈さんプロフィール>
滋賀県大津市在住
本気のあなたへ。夢実現サロン salon de Hiiragi 代表
一般社団法人 Le Houx(ル ウー) 代表理事

記者:今の活動をするにあたり成し得たかった夢はなんですか?

山形瑠袈さん(以下敬称略 山形):
発達障害児が誤解されず、理解されながらのびのびできる場所をつくりたいと思いまして。親御さんも「うちの子大丈夫かな」と気にしないでいられるような。
私も娘が発達障害児で悔しい思いをしてきまして、今でも泣けちゃうくらいなので、同じ思いをして困っている方達に役に立てる場所を作りたいと思ったんです。
 
発達障害の子どもとお母さんの支援をボランティア団体でもしていますが、ボランティアは貧しいですね。
 今、放デイ(放課後等デイサービス)をしていますが、ボランティア団体のときもきつかったです。いろんなところに寄付をお願いに行ったりとか、クラウドファンディングをしたりいろいろしていましたね。
 
記者:計画立てもご自身でされていたのですか?
 
山形:そうですね。
きっかけがあって、娘が習い事をしたいと言い出したんですが、なかなか理解のあるところが少なくて途中でやめてしまって。
先生もどう扱っていいかわからず困ってしまってということが多くて。
いつものクセで「それだったら自分でつくるわーっ!」って 笑。
 
記者:すごいバイタリティですね!これからはどんなことを計画されていますか?

山形:就労支援をして行きたいです。
起業している人って特性を持っている人が多いんですよね。特性=才能だと思います。
例えば集団活動が苦手というのは、先生からみたら大変だったりすると思うんですけどそういう子たちは横並びを良しとしないマインドを持っています。多くの子はどうしても飛び出すのが怖いと思いがちですが、それが怖くない子たちがいるので、集団にあてはめることに必死になって才能を潰さないようにしたいと思っています。それでも本人たちはたくさん苦労もするでしょうけどね。


 
記者:仕事のことを語られている姿が一番嬉しそうに見えますね。

山形:仕事は好きですね!

ですが、相手に規律を守ることを強制しようとする人は合わなくて辞めて行きます。今いる人たちは、「なんでこの子がこうするのか」と把握して理解してくれるので子供たちが「この人嫌い」とか言う人は今はいないんですよね。

以前は規律を守らせようとする人が学校に迎えに行っても、乗車を拒否して車に乗らないということもありました。めっちゃ正直ですよ、子供って。大変でした。
自分の価値観を手離す柔軟性を持たないと続かないですね。

職員さんも規律を守りたい、常識を守りたい人はやめていくんです。柔軟性を求めたい人が来るというか。お互いが試練でしたね。


記者:夢に向かって今されていることはどんなことですか?

山形:人材の育成はひとつです。
スタッフが発達障害児と関わることで価値観がガラガラ壊れて行くのを楽しめるんです。そうやって最高に人生が変わって行くので、スタッフを育てて行きたいと思っています。
 
記者:投げだしたくなったり逃げだしたくなったりすることもあるのでは?

山形:サロン部門ではコーチングをしているので、コーチングを受ける人は変わろうと思って来るから価値観を壊すこともスッとできるんですが、職員は価値観を壊しにきているわけではないので。そこをやり過ぎると疲れてしまったりしんどくなったりするから、そこが模索しながらですね。見守るしかないときもあります。

「女を磨くんちゃう!人間を磨け!!」

記者:どんな決断があって今の活動に取り組まれていますか?
 
山形:思春期の頃の数年間、児童養護施設で暮らしていたことがありまして、
その頃先生が自分の進退をかけて私を家から出してくれたことがあったんです。「この先生にしてもらったことを絶対に誰かにお返しする」と決めたんです。
そのころから福祉のお世話になっていたので決めていました。
それで、牧師さんの奥さんが「女を磨くんちゃう、人間を磨け!」てすごく私に言ってくれて。
「自分が人にしてもらったことはその人じゃなくて誰か別の助けを求めている人に返すんやで」って言われました。
それでそんなふうな優しい世界ができたらいいなって。

そのときの牧師さん、奥さんやそのとき出会った人たちとの関わりがあって、今の仕事につながっているルーツになったかな、と思います。
 
記者:「人間を磨け!」という言葉からどんなものをもらったと思われますか?

山形:
損得考えずに動くということですかね。
与えている感覚もなくてすべきことをしている感覚です。
体が勝手に動きます。ハートで動いているんでしょうね。
だから見切り発車で計画にズレができて困るんですけど 笑。
じっとして考える時間も欲しいですが、動いていたら助けが来るんですよね。
共感してくれる人が現れて最後うまく行く。
本当に周り人のおかげで今があります。
「一人では生きていけないです!」

記者:
今後もっとこうしていきたいという夢はありますか?

山形:やはり職業訓練、就労支援をしたいです。
行政の力を借りるか自分でやるか定まっていませんが、子供達にあった仕事を一緒に考えれたらなと。
起業するなら起業するでノウハウを教えられますし。

来られるクライアントさんの中でも目で見て分かる見本があった方が動ける人と、見本がない方が動ける人とがいるということ。そういうことが子供達と関わるようになってから分かるようになってきました。

子供への理解を深めていくにつれ変わるんです。大人も何につまずいているかすごく良く分かるようになりますね。
例えば「この人は同じところで仕事するのが無理なんだろうな」と分かるようになりました。

この世で特性のない人はいない。特性を生かしあいながら深いところで繋がって行くことがAIにはできないこと。

山形:この世の中で特性がない人はいないです。どこかしら誰もが素は持っていて。
自由が好きか安定が好きかの才能の違いだと思っています。
発達障害児たちが作業所に入るとかそういうことじゃなくて、自分の才能で生きていけるようにしたいですね。
お母さんたちは「この子は大人になったらどう生きていくのだろう?」「親が死んだらどうなるの?」と不安に思っている方が多いので。私も含めですけど。

そのためにはやっぱり周囲の協力が大事なんですよね。
助けてもらうばかりではなく、助けあう仲間が見つかればそれが可能になるので。

記者:お互いに助け合える関係って素敵ですね!

山形:ほんまに恵まれています。
 こないだ県の監査がきたとき、1年に1回必ず来るんですけど、なんにも言わずに残業してくれたり、深夜書類を整えたりしてくれまして。「これなかなかできひんで」って思います。
一回いろんなことがあって、会社がつぶれかけたとき、ゴタゴタした時期があってそれを乗り越えたのが強かったです。腹を割って話したりしたのが大きかったなと。
新しく来てくれる従業員さんやパートさんたちにも言えなかったからこその誤解が生じて経営側と現場の中間の人が伝えてなかったりそれを話し合ってみんなの自信になりました。
チームプレイで乗り越えた自信ですね。
 
記者:最後に、AIの台頭する時代ですが人間にしかできないことはどんなことだと思われますか?

山形:AIに分からないもの、それは感情だと思っていて。本当の深いところ、魂があるからこそ自分も周りも感情を大切にして生きていきたいと思います。

記者:山形さんのご経験から来る一貫したメッセージが胸に響きますね。今日は本当にありがとうございました!

編集後記
今回インタビューをさせていただいた瀬戸と山下です。
滋賀と東京という距離からオンラインでインタビューをさせていただきましたが、初対面とは思えない朗らかさで、直接会って話しているかのような臨場感を感じさせていただきながら終始笑いがたえない時間でした。
その山形さんのお人柄が、周りを巻き込んで夢を実現させて行く秘訣のひとつなのかなと感じました。これからも益々パワフルなご活躍をお祈り申し上げます!
貴重なお時間を本当にありがとうございました!


山形瑠袈さんの活動はこちら↓

◆一般社団法人Le Houx
・コーチングセラピーサロン
 【salon de HIIRAGI】https://smart.reservestock.jp/menu/profile/22735
・放課後等デイサービス
 【柊花-ひいらぎのはな-】http://lehoux10.xsrv.jp/day/
・日中一時支援
 【る うー】
・フリースクール
 【アヴィリティ】

◆発達障害の子どもとお母さんの支援ボランティア団体 –えんじぇるのつばさ–
(ボランティアスタッフ募集中!)
https://angelnotsubasa.wixsite.com/angelwing



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