お仕事図鑑「アーティスト」①〜幸せのためのアート〜 by ルミコハーモニー(ポッドキャスト出演)
ポッドキャストに出演したサマリーです:「一番の根底は、人をハッとさせたいんです、アートを使って。気づけば人は勝手に動いていく。」
1.お仕事名:アーティストとは?
小林:肩書きはなんですか?と聞くと、ルミコハーモニーさんの答えが面白い。「アーティストであり、北欧専門家であり、母であり、妻である」とのこと。
それで、、アーティストってなんなんですか?ハーモニーさんはなんのアーティストなの?
ハーモニー:私は誰しもがアーティストだって思ってます。究極にはみんなの人生自体がマスターピース(傑作)だと思っていますが、対外的にアーティストですと言えるようになったのは、LITTLE ARTISTS LEAGUEというグローバルアートチームを設立して展覧会を主催して作品を作るようになってからですね。
2.ハーモニーがやっているアートとは?
小林:ハーモニーがやってるアートって面白くて、バンクシーやヨーコオノのように作品を作るのとは違って、ハーモニーはいろんなコラボレーションしてやってるんだね?
◎アートは思想・哲学の表出物
ハーモニー:実はヨーコ・オノとあまり違いはなくて、アートとは思想・哲学なのです。思想を作っていてそれを伝えるためにはこういう作品を作りますというのがあったり。展覧会で、観客も参加して一緒になって作り上げるんだという作品もあったり、コラボレーションで大学の専門家と一緒に作品を作ったりもしています。視覚障がい児との関わりから着想を得て「INVISIBLE MUSEUM〜目に見えない大切な何かを探す展〜」というのができて、ちょうど4月は横浜トリエンナーレの応援プログラムとして第二回の展覧会を開催しました。その際に視覚情報以外で楽しむために、「香りのアート」をしたいとなったら、香りの専門家と一緒に制作します。その根底に、私が全てコンセプトを作っていて、「目に見えない大切な何か」という「香りアート」を作りたいと言い出したり、ちょうどコロナ禍や円安で海外旅行へ行けない時期に「旅のカケラ」という目を閉じて世界旅行へいける「香りアート」を作りたいと強く出すと、やりたいという人が現れて、トントン拍子で制作が進んで行くんです。本当にビックリなんですが。
◎色を音に変えるシステム開発がアメリカ人とトントン拍子で進んだ
ハーモニー:代表作のダイバーシティアート「やさしさの花」という抽象画のシリーズがあるんですが、視覚障がい者と鑑賞した時にその素晴らしさを伝える難しさに直面したんです。「色を音に変えられたらなー」と呟いたら、別軸の環境問題で知り合った方がアメリカの専門家を見つけてきて、最初は相手にされない中なんとかシステム開発を進めていって、「Color to Sound System-色を音に変えるシステム-」が誕生したんです!深夜0時にズームミーティングなどを経て、展覧会で展示したら、次の横浜トリエンナーレには来日してしまったという、トントン拍子で。
◎ダイバーシティーアートを推進
小林:複雑な作品を作ることもできる中で、ハーモニーが誰でもできるというところにこだわっているのだなと感じてます。それは冒頭にハーモニーが言った「誰しもアーティスト」という想いに基づいているんだなぁと。
◎作品「鳥標本BLACK & WHITE」
ハーモニー:2024年4月の横浜トリエンナーレ応援プログラム「INVISIBLE MUSEUM〜見えない大切な何かを探す展〜」では、鳥骨標本BLACK & WHITEという作品を制作し発表しました。それは、視覚障がい者でも楽しめるように黒い紙に黒い凹凸で、白い紙に白い凹凸で骨標本を描いた作品です。その黒は触ってみるだけで、白は展覧会中に作品に羽を描き足せるという、成長する作品なんですね。制作者と鑑賞者と断絶するのではなく、鑑賞者でさえもアーティストであるべきと思って、既存の概念を打ち破ってBLACK & WHITEという作品を作っています。さらに視覚障がい者も楽しめるように、既述のアメリカ人と開発した「色を音に変えるシステム」で色を音に変えてその変化を鑑賞いただけるようにしました。
◎作品「声を絵にする装置」
ハーモニー:横浜国立大学の物理の教授に公式とかアドバイス頂いたのが、作品「声を絵にする装置」。見えない声ってものを可視化するにあたって、結構かわいい模様ができるんです。認知を聴覚から視覚に変換することで、気づきを投げかけている作品です。
◎芝浦工業大サークルshiba-labとのコラボ作品
1ヶ月前にやろうという話になって、一度もリアルでは会わず、、zoomとFigmaを駆使したオンラインミーティングで制作を進め、前日の施工している夜でも「明日にはできないかも〜」という話だったんですが、奇跡的に間に合ったんです!
一個目の作品が、脈拍センサーで本人の心臓の鼓動が「見えない雨」となって降り注ぐというメディアアート「雨の音、鼓動の音」です。見えてる人も見えない人も同じ条件で体験するという素晴らしい作品になりました。しかし、少々難しいかな?現代アート好き向けの作品かしらと思ってましたが、思いの外大人も子どもも大好きだったんです。やっぱりやってみないとわからないものですね!
という面白い作品がたくさん出たので世界巡業やっていきたいと思っています。
3.なぜ、ハーモニーはアートをやりたいのか?
◎人の気持ちをハッとさせることがしたい
小林:18歳からハーモニーのことを知っていて、美大卒でもないのに、なぜアートをやってるの?アートで何をしたいの?という疑問が出てくるんです。
ハーモニー:そもそも遡ると、新卒でバンダイに入りました。なぜならば企業こそが世の中を変えていくのに一番手っ取り早いと思ったんですね。政治家になるとなると、その大半をゴマスリや忖度などで時間を取られて、大きく変えていくのには随分時間がかかりそうだ、と。エンターテイメントの総合商社としてバンダイ入社しました。で、やっていくうちに、もっと強烈な思想を発したい、もっと尖りたいと思うようになって、それが世の中的に「アート」と呼ばれる領域であった、と。別に美大に行きたいわけではなくって。根底は、人の気持ちをハッとさせることがしたいんですね。ハッと気づけば人はアクションにつながっていくんですよ。人が気づいていないことに気づくことも好きだし、それを人に伝えていくのも好きなんです。
◎人生を楽しむために、アートの装置を作っている
小林:世の中を変えていきたいって、例えばどんなことなの?
ハーモニー:例えば、日本で安いとされている鶏胸肉がヨーロッパでは良い物と評価されている事実。円安で貧乏だからイヤイヤ鶏胸肉を食べるのか、なんてこんなに美味しくって安いものを食べられて幸せとなるのか、えらい違いですよね?グローバル社会では価値は一様ではないことを知ったり、そもそもの値段やブランドに左右されるのではなく自分で価値を見出す力があれば、お金持ちではなくても幸せに暮らせると思うんですよ。だから根底に「人が幸せに生きるためには」というのがあります。
昔はアフリカへ井戸を掘るという行動も考えたんですが、それって自分一人の一馬力でしかないんです。それよりも、世の中の人の気持ちが変わったらもっと多くの人が同時に行動を起こして、より早いスピードで世の中が変わっていく方をやっていきたい、と思うようになったんです。
倉庫に眠っている宝物をキュッキュ磨いて世の中にその価値を示してその価値に人が気づくのが好きなんですよ。だから、この間の展覧会でもそんなつもりなかったんですが、展示作品を買いたいという人がたくさん現れて!本当に売れたんです!その作品一つ展示していたら売れていたかというとそうではないと思うんです。展覧会のタイトルやテーマがあり、様々な作品がある中でピピっと来て買っちゃうという。また美大生の作品だったので、今後の彼らの人生でどれだけパワーを与えたかと思うと、本当に嬉しかったです。
小林:現代アートになればなるほど、コンセプトが大事になってきているから、コンセプトを設定して人の心を動かす、人々に誘導しないように気づかせるかってことね。
ハーモニー:そうそれを「アフォーダンス(affordance)」って言うんです。
小林:「ゴミを捨てましょう」と言われたらなんだかやる気が出ないですよね?
ハーモニー:そうそう、私が一番嫌なんです、言われるの。言われずに自分で気づけたら勝手に動くんですよね。そういうことが、世界平和に気づく装置を作ったらみんなは世界平和に向かっていけるんですよ!
◎ゆくゆくは世界平和に向かっているアート思考
小林:ほうほう!そう平和がいいってみんなわかってんじゃん。でも今こんがらがってわけわかんないように世界は戦争しちゃってる。。。
ハーモニー:今こんがらがっちゃっている時代に、今一番必要なのは「アート思考」だって言われているんです。論理的思考が必要だ!デザイン思考必要だ!クリティカルシンキングで、批判的な視点が必要だって色々あった末に、最終形態にアート思考だと注目されているんですね。
「アート思考」とは、アーティストが作品を作る際に使っている思考法なんですが、まず一個目は「前提を疑う」です。
小林:へえー!物理学者みたい!確かにこの間ゲストに来ていただいた物理の先生も同じこと言っていた。「前提を疑う」って。なぜ空気はあるんですか?と。
ハーモニー:今サイエンスアートでプロジェクトでサイエンティストと話しているんですが、、、サイエンティストとアーティストって同じパワーで疑問を持つからめちゃくちゃ話が合うんですよ!
◎「電話番号を持たないアート」でトレーニング
ハーモニー:みんなが「アート思考」身につけたいーってなった方にご提案は、「電話番号を持たないトレーニング」です。そもそも公的機関が電話番号を要求してくるんですけど、みんなが電話番号を持っているという前提を疑いたかったんです。そんなことをやるようになって、普通の人とは違う発想をズラすというのが上手になったんです。
小林:ホームレスの人がお金の受給を受けるために申請しようとしたら住所が必要だ、と。家を借りるのに、お金が必要なんです。ってニッチもサッチも行かないってことと同じですね!
ハーモニー:普段生活していると疑問を抱いたり気づきもしないんですが、なんじゃこりゃ〜となった時に問題に向き合う力となんとか問題を解決する力を養っておけば、なんとか生きていけるし、より大きなレベルでできるとゆくゆくは世界平和に向かっていけると思うんです。そういう意味で、みんながアーティストだと思っていて、みんなが忘れかけているアート思考を取り戻せたら自分のレベルでも幸せになれるし、社会にもどれだけ貢献できるかを伝えていきたいんです。そのためのレッスンとしてのワークショップ、気づきの装置としてのアートであるんです。
◎根源的にはもっと一人一人幸せになったらいいじゃん
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そんなハーモニーの話を聞いて自分もやってみたいと思った方に朗報です!
2024年7月20日、27日、8月3日に、三菱鉛筆のo-i STUDIOにてワークショップがあるようです。詳細やお申し込みはこちら!
ルミコ・ハーモニーに興味をもった方はこちらのインタビュー記事もわかりやすいのでご覧ください!
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●ポッドキャスト:お仕事図鑑 by 小林美鳥
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