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自転車か、ビールか、それが問題だ。/関西シクロクロス 堺

自転車よりビールの方が好きですよね?

と聞かれたのはレースの2日前の飲み会にて。

図星。と答えたものの、ホントのところこの問いはどちらかを選べるようなものではない。「仕事と私」と相似形。どちらも俺にとっては等しく大事なもので、自転車に乗るからビールは美味しく飲めるし、美味しくビールを飲むから楽しく走れるというものだ。表裏一体。一心同体。

ただ、残念ながら昨秋あたりから非常に美味しいビールに巡り合うことが増え、体重は増加の一途。ろゆうのタイムも振るわないというのが現実だ。

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加えて、堺は苦手は一二を争う苦手なコース。

ちょっとだけミニキャンバー、砂少々、あとはほとんどフラットな芝、という誤魔化しにくい構成だ。

少しでも脚がないのをカバーしようと、センターノブが低くサイドノブだけ立ったタイヤをチョイス。さらに、空気圧も試走で砂セクションを乗って行けることを確かめて普段より高めの2barに設定した。

にも関わらず、スタートからガンガン抜かれまくりである。

嗚呼、わが貧脚よ。

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広めの幅ながらスタート直後からコーナーが続くので左右の位置どりが大事。なので試走ではいくつもラインを試す。ベストが一本のところでは、わざと木の根を越えるラインも選択肢に入れた。さらに、集団の動きをシミュレーションして対応を考え、ベストと思われたスタートグリッド右端も確保した。

にも関わらず、スタートからガンガン抜かれまくりである。

嗚呼、わが貧脚よ。

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ビブナンバー中盤からのスタートだったので、1周目はひっきりなしにいたるところで抜かれた。無残。後ろに選手が湧き出す泉でもあるのか、と疑うほど抜かれ尽くした。

唯一勝負できたのは砂区間のみだった。

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2周目に入り、良い加減に抜かれ疲れたころ、ポン、と優しく腰をタッチされる感触。いわゆる「腰ポン」というやつだ。抜いて行ったのはクッキー&ビールの山崎選手。今シーズンビールイベントで会うことはあっても、レースで会うのは初めて。負けるわけにはいかない、とついていく。元々俺より段違いに脚があって、直線は全然かなわないが、今シーズン初レースでクロスに慣れてないのかコーナーと砂に隙がある。

もうひとり、SQUIDの超カッコいいバイクにのったシャカリキ柏田選手とパックになって進む。2周目後半の砂セクションで、抜き返しに成功。そのまま前で3周目に突入する時、コース脇から「後3周やで〜」と教わる。うそーん。

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まだレース半ばというのに、俺の脚はもう言うことを聞いてくれない。エンジンの心臓はある程度高回転してる感覚だが、筋肉が根を上げている。

ポン。

また腰ポンだ。

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と思ったら再び山崎選手。ついでに柏田選手にも抜かれる。砂まで行ければ、と耐える。耐えて、砂で再び抜き返す。

ポン。

三たびの山崎選手。

こうなったら、意地でもあと2周耐えて最後の砂で勝負。と思ったものの、意地だけでは筋肉は収縮しないのである。

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千切れた。

嗚呼、わが貧脚よ。

後はゴールまで淡々と、、、といかぬのがレース。遥か後方に見えていたbikin!樋口選手が徐々に迫ってきている。ひとレースで2度おいしい盛り沢山な展開。しかも、なんでこの順位走ってるの???と不思議になるくらいの速度差で抜かれる。

慌てて追って、砂場でその疑問は解けた。遊んでんのちゃうの?というくらいずっこけてるのだ。重なってこちらもストップしたものの、無理に再乗車せず押して走ったところで抜き返す。

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そして迎えた最終周。歴史は繰り返す。またも樋口選手に盛大にブチ抜かれた後を干からびた脚で追いかける展開になる。

砂セクション上手いはずなのに「ギャラリーに緊張して」ストップした樋口選手を、横の深いけど乗れるはずの別ラインから抜いて加速、味噌汁の底で発見された煮干しのような脚でもがいてなんとかそのまま前でゴールしたのであった。

ゴール後よろよろと健闘を称え合う。90%の貧脚順位であっても、それは変わらない。口にはいっぱいに血の味が広がっていた。

帰宅後のビールが美味かったのは言うまでもない。

そう、ビールに一番合うアテこそ、この血の味なのである。

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余談であるが、2日前に俺に自転車よりビールの方が好きでしょと尋ねた人物は、この日の最終レースの最終走者を、心にパンクを抱えながら走っていた。そんな彼に次の言葉を送りたい。


人のこと言えへんやろ。




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'19-20 関西シクロクロス あたり前田のクラッカー 堺 カテゴリ:C3
55位/60人出走 91%
写真は ようかんさん、けーなかさん、いけっち、renshuukanさん、ほかいろいろいただきました! ありがとうございます!

次回は桂川。奇跡とか奇跡じゃない桂川。重馬場になれば少しはマシなレースができるかなーと思いつつ、自身が重すぎる。。。

サポートありがとうございます! 次のおもろい文章という形でお返しできるようがんばりますね