見出し画像

ドイツの祝日 キリスト昇天祭と父の日

今日はドイツの祝日。
 
キリスト昇天祭 Christi Himmelfahrt 
 
キリストが復活する日がイースター。
イースターから復活後40日目に、キリストは天に帰ったという。
それが今日の昇天祭の名前の由来。

日本では、5月の第2日曜日が母の日。
そして、6月の第3日曜日が父の日。
しかしドイツでは、このキリスト昇天祭が父の日だ。
 
友達が私に『実家に帰って父の日のプレゼントを渡すの』と話してくれた事があったのだが、(私が思っていた)父の日より早いタイミングだった。
ドイツでは祝い事を先にする事は、不幸を招くと信じられている
その事が気になり、友達に話を聞いてみたところ
、父の日に相違がある事に気付いた。

友達が教えてくれた話によると、キリストが天に帰ること、つまり父(神)の元に帰るという事から、キリスト昇天祭が父の日になったという事だ。

日本はなぜ6月の第3日曜日なのかを調べたら、アメリカの風習が日本に伝わったらしい。
この日を父の日としている国が多いそうだ。
 
ちなみにイタリアでは毎年3月19日で、キリストを育てた『ジュゼッペの日』がその理由だという。

同じお祝い事でも、各国によって違いがあるのは
とても面白いと思う。
母の日も国によって違うらしい。
 
キリスト昇天祭は宗教行事として、キリストを祀る行列などがあるが、それとは別のイベントがあるそうだ。
なんと父親同士が集まり、どこかに出かける日だという。
日本との慣習の違いに驚いてしまった。
父とはゆっくり会いたいから、別の日の週末に実家に行くというので、思わず笑ってしまった。

男性同士でお出かけをし羽目を外す日でもあるらしく、街には酔っ払いが多く出没する。
 
友達の父にも会ったことがあるが、自転車とトランプが大好きだ。
トランプ仲間がいて、月に一度誰かのお宅に集まって美味しいお酒を飲みながら、トランプをして遊ぶのだそうだ。
 
そんな理由から、父の日のプレゼントは美味しいお酒と決めているのよと、友達が話してくれた。
 
そして、父の日にはいつもこのトランプ仲間と、自転車でどこかに出かけるという。
 
その時はまだドイツをあまり知らず、全くイメージのできなかった一つの祝日が、友達の父のお話で活き活きとした背景の伴うものになった。

今年は残念ながら雨の予報だ。
自転車で出かけるには相応しくないだろう。
休暇の予定を立てるのが早いドイツ人だから、来年はどこに行こうかと、すでに相談しているに違いない。
 
来年こそはぜひ太陽の下で、皆さん一緒に自転車旅行を楽しんで欲しい。
 
先日友達に連絡をした時に、父の日のプレゼントの話になった。
今年は、イタリアの蒸留酒のグラッパを用意したそうだ。
友達の父はグラッパ好きだという。
 
友達の父の柔和な笑顔を思い出した。
きっと顔をくしゃくしゃにしながら、彼女からのプレゼントを喜ぶだろう。
 
そして目を閉じて、自分の父を想った。
色々な思いや言葉を、そっと胸に飲み込んだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?