車椅子

落ちた欠片ばかり拾い上げては
透明な枢を組み上げている
込み上げる腐臭
その只中にいる私は

空っぽになってしまった過去から
カラカラと音がする
聞こえないはずの耳にも届く
乾いた口角のひびから
見ている狂気が漏れていく
期待なんてとうに
腐り落ちた果実
甘えた声で
爛れた腕にすがりつくように

いっそのこと
そのこめかみに突きつけた銃口から
飛び散る血飛沫を希望と呼んで
引き金を引かせたのも全部
ただ
冬が来たからと言って誤魔化したい
首筋に浮かぶ
細い管を引きちぎる夢を見た
赤く染って世界と踊った

白髪混じりの虚ろな箱が
また揺れる
運ぶ先は明日
足踏みで踏み固めた明日

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