回遊魚の寝癖

眠る前だと言うのに、もう
今日が消えている気がする
夢に託すつもりもなく
抱え込んだ荷物が
ヘタれた枕の窪みから
少しずつ溶けだして
明日になれば
また僕は無防備に
寝癖をつけている

もうダメだ、と毎晩
思いながら
明日の献立を考えている
履きつぶしたスニーカーが
いつまで使えるのか
案じているのは
多分一月も前から

生きている限りの僕は
このままずっと現在進行系で
止まったら死んでしまう回遊魚の
骨が軋む音で
心臓の在り処を知る

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