もしも僕がもう一度
この世に生を受けるなら
どうか、大洋に揺れる
鯨となって
海水にまみれた瞼から
原始の光を受けますように

海を選んだ彼らの
自由を勝ち取った彼らの
広々とした体内には
太古の深海から喝采が届くという

大きく息を吸ったあとに
夜が明けるまで
じっと朝日を待つ沈みきった闇となれば
僕のため息も幾分減るだろう

そして、薄く明るんだ水平線で
始まる為の息を吐いて
尾びれをマストのように
海面に突き立てながら
流れに抗う鯨となりたい

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