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雨呼吸


夢のままで永遠に触れない指先なら
いつまでもさめることなんて無くて
例えば夏が近づく度に君の後ろ姿を見つけたような
痛みを求めることだってなかったはずなのに

救えないものばかりを集めて
今朝燃えるゴミに捨てました
彼らがこれからどんな風に燃えていくのか
見届けるには僕の人生は短すぎて
深呼吸一つ分の寿命しかないのかな

いつかの夜、雨と風がジャズを奏でた街で
僕らは一つの傘を口実にキスをした
あのときのメロディーを覚えていますか?
僕はもうとっくに忘れてしまって
なぐさめるみたいに舐めたビールの味がいつまでも
あの日ばかりを照らすので
僕は晩酌をやめました

死ぬなら紫陽花の季節がいいね。
濡れた前髪が涙みたいで綺麗でした
あの日二人で見ていたはずの白昼夢は
溶けたチョコレートみたいにみっともなくて
甘いまま今年の夏も舌の上に残っている
だからもう一度、この雨が降り止むまで
瞳を閉じて

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