時を越えて、肴

映る顔、反射する当惑
いつの間にか増えた皺
飲み下す事が得意になった
感情と酒が苦い
大人になれば、
迷うことも無くなると信じられた
あの愚かさがただ眩しい

今夜の晩酌に、一つ
とびきりの肴を。
それはあの日の夢
塩辛い、若き泪の味

後悔でなく、憧憬の
絶望でなく、安寧の
今に吹き付ける風は
ひたむきな歩みへの追い風
波音を聞く、海岸線の
未だ消えぬ足跡が愛しい

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