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完熟のお知らせ

熟れた頃合に知らせてくれるアラームが私の

身体に埋め込まれていて、大音量で身体をビ

リビリと震わせてくれたら。部屋にうんざり

するほど、私の薫りで満ちていて、そんな朝

なら、一番に私を抱いてくれていたかな。傷

む前のすこし柔らかい私を君は見つけてくれ

なかったね。熟れすぎた身体がぼとぼとと、

音を立てて落ちて、朽ちていつか骨だけにな

っても生まれたままの心だけが種のように土

に還れなくて、泣くかな。

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