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ぺトリコールと詩の虹

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自作の詩をまとめてます。
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2020年5月の記事一覧

勧善懲悪症候群

いつか見たテレビ。寝ぼけ眼で、 悪者を倒してくヒーローの背中。 ぼくらもきっとおとなになれ…

4

拝啓、人工知能殿

僕のご先祖がかつて選んだはずの言葉ってもんは それから数千年がたった今も僕らを悩ませてい…

3

桃の実のなる頃に

私に今、救えるもの そんなものは、多分、 数えるほどしかなくて もどかしさの宿った背中が 青…

10

騒めき

生きようとする前から、僕らは生きている。 何かにせっせと生かされているけれど、その手は見…

9

深海時計

時を戻すように煙草に火をつける 当たり前なのだけれど、時は戻らない この世界には僕らの無視…

10

月日は巡り、夢に向日葵

昨日見た夢の跡が 消えて無くなって 覚えているのは 君に会えたこと 君はもう夏色で、 海に溶…

14

針よりも筵

もういいんです。もういいです。 もう要らないんだってば、もう。 分かったから、少し静かにして。 もう沢山です。十分です。 もう要らないんだってば、もう。 良かれと思って。それを全部善意ってことにしてしまったら、僕はここで息ができないよ。 年の功。そうだろう。だけどあなた、僕じゃないから。どこまでいっても違う生き物なんです。 苦労は買ってでもしておきたいところだけど、生憎タダでいただけるみたいなんです。本当です。 求めてないものばかりが寄ってくるせいで、自分が逃げてるみ

泣いてもないのに

泣いてもないのに なんだかすべてがぼやけていて 赤も青も黄色も 僕を導いてはくれないね 進む…

8

回遊魚の寝癖

眠る前だと言うのに、もう 今日が消えている気がする 夢に託すつもりもなく 抱え込んだ荷物が …

9

折り紙の詩

夜、平面になるこの星の上で どうか、どうか 君の同一平面上にいれますように こんなに離れた…

9

カーディガンの歌

他愛ない冗談で凍えている指先 庭先で濡れたツツジが今朝の僕 五月のカーディガンが揺れてる …

5

小さな腕時計

擦り切れた僕に残された あの日のままの時計を見つめている。 どんなに耳をすませても 秒針の…

8

ファストフード・シンドローム

いらっしゃいませ。 マックシェイクSサイズの陰に隠れて 今日も私は眠るのだ ポテトを揚げる…

3

完熟のお知らせ

熟れた頃合に知らせてくれるアラームが私の 身体に埋め込まれていて、大音量で身体をビ リビリと震わせてくれたら。部屋にうんざり するほど、私の薫りで満ちていて、そんな朝 なら、一番に私を抱いてくれていたかな。傷 む前のすこし柔らかい私を君は見つけてくれ なかったね。熟れすぎた身体がぼとぼとと、 音を立てて落ちて、朽ちていつか骨だけにな っても生まれたままの心だけが種のように土 に還れなくて、泣くかな。