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ぺトリコールと詩の虹

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自作の詩をまとめてます。
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2020年2月の記事一覧

私の雨

死んだらおしまいだよ、なんて とっくに死んだ君が言うのが可笑しくて 夢から覚めた午前四時 …

7

イマ、光レ

変わらない風 いつもの日が昇り 影は 未来にばかり伸びていく ふり返れど 早春の陽は眩く 目の…

11

贖い

そこであなたは言ったのです これも愛であると 瑠璃色に染まる虹彩を きらきらと輝かせて …

6

もしも僕がもう一度 この世に生を受けるなら どうか、大洋に揺れる 鯨となって 海水にまみれた…

7

丸〇年

大好きだったあの人と お別れしてから丸二年 可愛かった実家の猫が 死んでしまって丸五年 毎日…

7

足元のコメット

小さな水たまりに 雨粒がかかって チラチラと彗星のように点滅する 真夜中、無色の街灯の下…

4

口移し

君の『好きだよ』が 口移しの唾液と共に 歯茎を撫でる 喉を焼く 一番深い場所が ずっと煮え滾るように熱い 吹き上がる感情の蒸気で 自分が見えない 全身を巡る血液に混じり 消えない焦げ跡を残しながら 君が僕を満たし 君で僕は濡れる

等身代

僕一人生きていくのに 必要な空間はどれくらいだ あの部屋の隅と、コンビニの陰 僕の生きる全…

8

おでん

どうしようもなく お腹いっぱいな満月の夜なのに 君はコンビニのおでんを買いたがる ついでに…

7

もう

もう会えないね 同じ星にいるのに もう言えないね 同じ言葉なのに もう消えないね 消えたフ…

13

往生際

どれ程の長い年月をこの目で見届けていけば、 往生とやらを迎えて僕らは安らかになれるの? あ…

6

時を越えて、肴

映る顔、反射する当惑 いつの間にか増えた皺 飲み下す事が得意になった 感情と酒が苦い 大人に…

8

全然

全然違う 君の前、君の隣、君の声、君の影 全然違う 君がいる、君が去る、君がいない…

8

春風

虹の音 雨上がりの匂い 濡れた髪、そのままに 逃げない覚悟 陽だまりの跡 視界の残像 消えぬ景色、留め 信じる勇気 そして今、春風 終わりを告げる鐘 震える心象、泪 始まるのは魔法