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【初詣】短編小説【共同制作】【神社】

こんにちは。
はれのです。
今年も熊右衛門さんとの共同制作物を披露しますね
今回は初詣をテーマにした小品

熊右衛門さん

暴れん坊系夫と艶やかな髪の美ロリ妻の大波乱な町おこし


古ぼけた鳥居の端に白々とした息が上る。
宮城県内過疎化した漁港にある由緒正しい神社は、行きかう人はまばらだ。
しかし、年末年始は地元の町内会のメンバーと神主とで年始の準備を行っている為、にぎわっていた。

準備をあらかた終え、老人達は家の掃除に戻っていく。
メンバーで一番若い漁師の正之は神社で休憩していた。
そんな正之に久々に地元へ帰省した親友の久志が声をかける。
久志はスマホを操作し、からかうように言った。
「正之、お前どうして日本人が元旦に初詣をするのか知ってるか?」
「……バカにするな、久志。旧年無事に過ごせた事を神様に感謝しに行くんだろ。俺が民俗学好きなの、知ってたんじゃねえか」
「でもこういうちょっと知ってるようで知らない知識がSNS映えするんだぜ」
軽口を叩く2人に正之の妻がホット飲料を手渡す。

「2人とも喧嘩しないの!これ飲んで落ち着いてって。正之さんも、ツンデレないの。ごめんなさいねー。この人、仲がいい人になぜかきつく当たっちゃう癖があって」
「茂美さん、あざっす!正之、いつの間にこんな美ロリ見つけてきたんだぁ。うらやましい!」
「ロリってなんだ!無礼だぞ」
「あはは…わりぃわりぃ……あれ、もしかしてこの組み合わせは……」
「久志、どうした?」
久志は素早くスマホを操作する。
「……なあ。正之、ここさ。確か、八坂神社だったよな」
「確かそうだったかな」
「わかった!なあ、この神社。SNSで盛り上げないか?」
「いきなりなんだよ……ああ、久志はそういう町おこし系の仕事やってたんだっけ……聞かせろよ」
「まあ。その前に。お二人さんの力がないとできないんだ……協力してくれ、頼む!」
「のった!面白そうじゃない!正之さんもやろ!!」
正之は唖然とするものの……親の都合で脱サラし、漁師に転職した身とすると……この町の衰退を止めたい思いが募っていた。それに妻の茂美が喜んでいる。脱サラしてもついてきてくれた妻にも、なにか報いたかった。
それに……新しい風の気配がした。固く閉ざされた岩を掘削機で粉砕した時に感じるような、冷たく清新な一番風。
「久志、わかった!話しを聞こうか!」

久志は得意げに言った。
「あんたがた2人で、ここの神社のイメージキャラになってもらって、ガシガシSNSや動画出していくぞ!」
突然の提案に2人は困惑したが……不思議と2人は笑った。
そして、深く頷いた。
何が起こるかわからない。
しかし、いまだかつてない高揚の前に……2人の目線は海原の先を見据えていた。

(了)

今年は等身大の物語を表現する為、キャラを濃くしていきたいですね




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