実技1【過去問私的解説&考察】第62回気象予報士試験
ここでは独学で実技試験を突破した晴野が、令和6年8月の第62回気象予報士試験の実技 1 を「私・晴野だったらこう考えるよ!」という内容でお伝えします。
問1(1)まで無料で公開しております。
出版社が出してる「過去問解説」とは違い、「晴野的過去問解答までの道のり」を私一人で書いており、誰かの監修は受けておりません。
私の考え方が必ずしも正解とは限らないことをご了承の上、ご利用ください。
もしあなたが第62回気象予報士試験の問題と解答をお持ちでなければ、まず気象業務支援センターの「気象予報士試験・問題と解答のダウンロード」でダウンロードしてください。
(過去5年分の試験問題と模範解答をダウンロードできます。)
では早速やってみよー!
XX年3月12日から13日にかけての日本付近における気象の解析と予想に関する問題です。
予想図の初期時刻は、図13の鉛直流を除き、3月12日9時(00UTC)。
問1:初期時刻の状況を把握する
【問題文】
図1は地上天気図、図2は気象衛星赤外画像、図3(上)は500hPa解析図、図3(下)は 850hPaと 700hPaの解析図、図4は鹿児島の状態曲線で時刻はいずれも12日9時である。また、図5は本州付近の地形図である。これらを用いて以下の問いに答えよ。
問1(1)九州の西の低気圧
【問題文】
12日9時の日本付近の気象概況について述べた次の文章の空欄(①)~(⑪)に入る適切な語句または数値を答えよ。ただし、①は16方位、③⑨は漢字、⑦⑧は下の枠内から1つ選び答えよ。
ではいつもの穴埋め問題、やってみよー!
【穴埋め問題文】
図1によると、九州の西には前線を伴った 1014hPaの低気圧があり、20ノットの速さで(①)に進んでおり、進行方向前面にあたる鹿児島の現在天気は弱い(②)となっている。
九州の西の前線を伴った 1014hPaの低気圧はこれですね。
この低気圧は20ノットの速さで①「東北東」に進んでいます。
進行方向前面にあたる鹿児島の現在天気はこれ↓
この天気記号は、弱い②「しゅう雨」ですね。
【穴埋め問題文つづき】
また、この低気圧に対して(③)警報が発表されており、最大風速が(④)ノット以上(⑤)ノット未満となっているか、今後(⑥)時間以内になると予想されている。
この低気圧に対して発表されている警報は、③「海上強風」警報です。
この「海上強風警報」は、最大風速が④「34」ノット以上⑤「48」ノット未満となっているか、今後⑥「24」時間以内になると予想されている…という意味です。
【穴埋め問題文つづき】
図2によると、九州の西の低気圧に伴う雲域は、北縁が高気圧性、南西縁が低気圧性の曲率を持っている。この雲域の縁の曲率の変曲点は、衛星画像の解析では(⑦)と呼ばれ、(⑦)付近に低気圧の中心がある。
そして、領域Aには活発な対流雲の存在を示す(⑧)状の雲域が見られ、そこは寒冷前線の西端付近にあたる。
図2によると、九州の西の低気圧に伴う雲域は、北縁が高気圧性、南西縁が低気圧性の曲率を持っている。▶︎そうですね!
そして、変曲点はこの辺(青丸)。↓
この変曲点は、衛星画像の解析では⑦「フック」と呼ばれます。
また、⑦「フック」は地上低気圧の中心位置と密接に関係しています。
領域Aには活発な対流雲の存在を示す⑧「にんじん」状の雲域が見られます。
このにんじん状の雲、昔は試験でも「テーパリングクラウド」とも言いましたが、今では使わない用語になっています。
【穴埋め問題文つづき】
また、領域Bには、南北に連なる山脈付近から東側にかけて地形性巻雲が見られ、山脈の稜線付近から対流圏上部にかけて、ほぼ(⑨)な成層状態で風向がほぼ一定であることを示している。
「地形性巻雲」は山脈の風下側にできる巻雲です。
発生条件は
・山頂付近から対流圏上部までほぼ安定成層
・風向がほぼ一定
で、山脈の風上側から励起した波動が上層まで伝わってできるとされています。
よって、⑨は「安定」な成層状態です。
【穴埋め問題文つづき】
図3(上)によると、黄海付近には灰色の太実線で示す500hPaのトラフがある。図3(下)によると850hPaの温暖前線は(⑩)°C〜(⑪)℃の等温線に、寒冷前線は9°C〜12°Cの等温線に概ね対応している。
トレーシングペーパーを使って、図1から図3(下)へ前線の位置を重ねると…
850hPa面の前線は地上の前線より寒気側になります。
よって⑩は「6」℃で、⑪は「9」℃。
【模範解答】も
①「東北東(東)」 , ②「しゅう雨」 , ③「海上強風」
④「34」 , ⑤「48」 , ⑥「24」
⑦「フック」 , ⑧「にんじん」 , ⑨「安定」
⑩「6」 , ⑪「9」
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