【超短小説】年雄は清掃員

年雄の仕事は清掃だ。

この仕事に就きたかった訳ではない。

求められたからだ。

アルバイト時代に「あなたは丁寧な仕事するのね」と管理人さんに褒められた。

そして「次回もあなたでお願いするわ」と求められた。

清々しかった。

求められた事が仕事になる。

自然で当然な事。

仕事なんて、誰かがやりたくない事をやるから仕事になる。

誰かがやりたくなくても、年雄はやれる。

求められれば。

やりがいなんて、そんなもんだ。

年雄はある日、清掃員をバカにしたような動画を見た。

なぜバカにするのか分からん。

奴隷を持つ貴族がタイムリープしてきた話なのか?

仕事に上も下もない。

役割だから。

やれない人がいるなら、やれる人がやればいい。

役割の中で個性は生きる。

丁寧な仕事。それが年雄の個性だろう。

清々しい。

浜本年雄40歳。

明日も仕事だ。

清々しい。

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