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魂の救済映画、マッドマックス!

昔つくった個人新聞を最近発掘して、その中の映画レビューが我ながら面白かったので、ほんのちょっと修正して、ここで公開します。

何が面白かったって、3、4歳の息子を育てつつ夫婦関係がギクシャクしてストレスがたまっていた当時の私の心情が勢いと共にあふれていたところです。わはは。当時の私みたいな、ちまちまストレスマックスの人には、この映画、超オススメですよ!

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「マッドマックス〜怒りのデスロード」

そもそも私は車ものとかメカものとかバイオレンスものに全く興味がないから、最初はこの映画は範疇外だろうと思っていた。前シリーズも観ていないし。でも、あまりに評判がいいのと、あの「北斗の拳」の元ネタと聞いて、小学校時代に北斗の拳ごっこをしてた私としては行かねばならんだろうと思い立ち、立川シネマシティの爆音2D上映に足を運んだわけで、そして観てみたらば。

びっくりした。

ここまでスカッとして、魂が活性化する映画ってほかにないんじゃないだろうか。ジャンル分けするなら、ミュージカルアホなのに壮大。寺山修司的なのにハリウッド的。グロいのに爽やか。マニアックなのに王道。狂ってるけどマジメ。いろんな要素がシンプルなストーリーにぎゅぎゅぎゅっとつまっていた。リピート客が続出したのも納得。だって、なんというか、これはもはや映画という枠を越えているのだ。映画というより、ドラマティックな遊園地アトラクション。映画の登場人物たちがあの腐った世界で人間性を取り戻していくのと同時進行で、観客も映画を見ているうちにパワーがわいてきてアドレナリンがばばっと出て、人間的な力を取り戻していく。主人公マックス(トム・ハーディ)は映画の中で「ハイオク血液」と呼ばれているのだけど、もはやこの映画自体がハイオク血液なのだ。観たら元気になる。そりゃもう、くせになって映画館通いしてしまうのはしょうがないよ。


かくいう私も、この映画を観たあとかなり元気になったひとり。実はこの日、映画を観た立川に向かう中央線の中で、ダンナにつまらない愚痴メールを送っていた。育児家事がらみや、「毎朝ちゃんと起きてほしい」とかそういう小さいこと。小さいけど積み重なるとつらいこと。でも映画を見てたら、そんなチマチマしたグチを言い続けてるチマチマした自分、死ね!!と思った。いや、ダンナにはやっぱり起きてほしいのだけど、要するにそういう黒い気分がふっとんだのだ。

ちなみにこの数日前、私はぽっちんとふたりで「森の映画会」というイベントに参加していた。公園で子ども向け映画をスクリーン上映するというもので、その日の上映作品はアニメ「あらしのよるに」だった。この映画は、本当は食べ食べられる関係であるはずのオオカミとヒツジが友情をはぐくぐむという物語なのだけど、私は映画を観ながら、これは一見、美しい話のようだけど本当にそうかな?オオカミならオオカミらしくヒツジを食べてるほうが生命体としては美しいんじゃないかな?と思っていた。

このときはぽっちんが映画に食いつきが悪くて隣の公園で遊びながら横目で観ていてしかもぽっちんが結局食いつかず途中で引き上げたから、映画全部を観たらまた違う感想だったのかもしれないけど、とにかく私にはそういうモヤモヤが残った。

そんなこともあったので、このマッドマックスの世界観、つまり悪者は悪者らしく!ゲスはゲスらしく!(おまけに雑魚は雑魚らしく!)というのが余計に清々しく感じて、スカッと具合も上がったのかもしれない。

つまり、映画自体もよかったけど、映画を観たタイミングも私にとってはよかったのだと思う。なんだか救われたような気分になったもの。家事育児の世界から最も遠いマッドネスな映画が、家事育児のストレスを吹き飛ばしてくれたのだ。ああ、魂の救済映画、ありがとうマッドマックス!

全体の感想としてはそんなかんじだけど、部分的な感想で言えば、とにかくフュリオサ(シャーリーズ・セロン)がすばらしい。あのかっこよさと悲しげな瞳。ドラムワゴン(ギター&太鼓搭載車)最高。あの世界に生まれ変わるならあの車の人たちがいい。シンプルなセリフだけで細かい物語を感じさせる脚本がみごと。世界観はグロいのに、暴力シーンがスプラッタになる瞬間はちゃんとカメラから外してくれる配慮が優しくて好き。女性を記号ではなく、ひとりひとりの人間として描いているところも好き。爆走シーンの撮り方が好き。あのぴょんぴょん飛び道具ブラボー。ああ、あげていくとキリがない。とにかく、こんなマッドネスかつ計算され尽くされた映画を70歳をすぎたジョージ・ミラー監督がつくったというのがいちばん天晴。こんな70歳に私もなりたいよ。

というわけで、スカッとしたい方にはオススメ。まああのちょいグロめの世界観描写が苦手、という人もいるかもしれないけど、映画史に残る傑作だと私は思う。

というわけで、暑苦しく感想を書いてみました。では、V8!
(このまえ、間違えてV6!と叫んでしまった。それジャニーズだよ。全然マッドネスじゃないよ)

ーー

あとがき。本文でイラついてる「夫が起きない問題」だけど、実は夫はいまも朝は起きるのが遅い。夜型で遅くまで仕事したりするから。でも、このときと違うのは、いまや夫は夜に家にいることも多く家事育児もガッツリしててむしろやってもらいすぎかもありがたやー!ってかんじなので(なぜそうなったかは、拙著「ほしいのはつかれない家族」をどうぞ)、朝起きれないのは全くイライラしないのです。私は夜は夫に子どもまかせて先に寝ちゃったりよくするしね。家族って変化するもんだねえ‥‥!(しみじみ)


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