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ベートーヴェンを毎日聴く285(2020年10月11日)

『ベートーヴェン/「恋人が別れたいと思った時」WoO132』を聴いた。

ピアノによる強い和音が鳴らされる。しかしすぐには歌は入らない。この和音に続く第1パラグラフの歌詞はこうである。

最後の希望の光が消えていく。彼女はすべての誓いを儚く破ったのだ。だから私の慰めとして永遠に消すのだ。意識して、意識して、とても幸せだった時の思いを。

あの和音は「最後の希望の光が消えた。彼女に裏切られたのだ!」という絶望感を表すこと。そして「彼女との思い出を永遠に消すのだ!」という誓いの気持ち。この双方を表すようだ。

そんな決意をしたのにかかわらず、第2パラグラフでは

いや、そんなことはできない。どんな解決策も私を救えないのだ。甘い記憶は残り続けている。

と先ほどの決意を急に否定してしまう。

そして第3パラグラフでは「再び私を燃え上がらせてくれ」と、思いは更に逆方向に加速。ついに最後には「忘れるだって?そんなことするなら、悲しみのままでいたほうがいい」。

相当魅力的な彼女なのか。裏切られたのに。忘れることができないほどの。

全体的にテンポが速めになっていて、心に中が動揺し、コロコロ変わっていく様子をうまく表現されている。

詩はベートーヴェンのものではなく、もともとフランスのオペラの中で歌われた詩を友人が持ってきて、それに曲をつけたようだ。

それにしても、友人は面白い詩をベートーヴェンに与えたものだ。

mohamed HassanによるPixabayからの画像

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