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行きつけの本屋さんが「視点」をつくる

11月に佐賀で講演しました。言い足りなかった部分をnoteで改めてまとめています。前回までの内容がこちら。


講演のテーマは「雑学」ではあるのですが、実のところ「本との付き合い方」について語っています。やっぱり本なくして情報は語れないと思うんですよね。

講演の中で強調したのが「本屋さんには定期的に足を運んで」ということなのですが、これは繰り返しても繰り返したりないです。特に最近は「本は買うけど、ネットでだけ」という人も多くなったと思います。私も一時はネット偏重でしたし、非常に便利ではあるのですが、しかしこれだと本当に「同じような質の情報ばっかり」になってしまうところがあって、間があって本屋さんに行くと「えっ、あの話知らない、この話知らない」と浦島太郎になっている自分がいます。

新聞を読む効用に近いと思うのですが、「第三者の目で整えられた、ある程度幅の広い情報を定期的に見る」というのがいいのですよね。私は、情報は情報そのものよりもどういった視点でその情報を見るか、が大事だと思っていまして、ネットでプッシュされる情報だけに従ってるとこの「視点」が増えていかない、同じような目線でばかり物を見ることになってしまうなと思うのです。

本屋さんというのは「視点」のカタマリです。一冊一冊に著者や編集者の視点のもとに情報が整理され、そしてそれが本屋さんの視点によって棚や平台という形でショーアップされています。本というのは少しでも多くの読者の目にとまるようにカバーのデザインやタイトルのつけ方などにこれでもかと工夫がされていますし、本屋さんも少しでも買ってもらえるようにそれらを分かりやすく陳列するので「視点」が密集しているのです。視点の博物館と言ってもいいと思います。

そして最近ではSNSなどを通じて情報を発信する書店員さんも増えてきました。かつてはチェーンの書店だと、何かの際に他に迷惑がかかるとして、個人が前に出るのは憚られたところもあったと思うのですが、最近はそれではいかんと個性を積極的に前に押し出して発信する書店員さんが増えてきました。

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この講演のための佐賀行きで立ち寄った「明林堂書店 南佐賀店」には、いまや業界中に知られている名物の書店員さんがいらっしゃいます。この日はあいにくイベントの狭間でそれほどでもなかったのですが、普段はいろんな本を特集してクローズアップするための手作りのディスプレイが置かれ、なんと全国No.1の称号を得たこともあります。

「ノーサイド・ゲーム」陳列コンテスト 明林堂南佐賀店に優秀賞 2月24日、受賞記念に池井戸さんサイン会 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/484610 #ノーサイドゲーム #池井戸潤 さん #明林堂書店南佐賀店 #ラグビー #アストロズ

Posted by 佐賀新聞社 on Monday, February 3, 2020

その仕掛け人である本間悠さんは、地元の佐賀新聞で連載を持っていらっしゃるほか、Twitterで積極的に発信されており、この反響で本の重版が決まったりもするんですよ。すごい!

定期的に大バズりしてます。一見、普通の郊外型書店なんですけど、あなどれません。こういう書店が近くにある人は本当にラッキーで、定期的に行ってみると都度発見があると思います。

私も子どもの頃は図書館よりもどちらかというと本屋さんに入り浸っていました。褒められたことではありませんが、座り読みして本読んでましたね。今では見かけなくなりましたが、昔の本屋さんにはよく見られた光景でした。そういう中から今の自分のアンテナが培われてきたんだと思っています。

最近では一軒も本屋さんがない街というのも増えてきつつあります。もし身近に本屋さんがあったらぜひ改めて覗いてみて、そしてその本棚をゆっくり眺めて欲しいと思います。良質な情報がそこであなたを待っていますよ。

講演本体も見られますのでぜひ「高評価」ください!

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