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中国から中国ラオス鉄道(中老鉄路)に乗るための覚え書き

本稿は中国ラオス鉄道(中国語名は中老鉄路)に乗って「中国からラオスに向けて国境越えをしたい人」に向けた覚え書きです。中国の出入境は政治的事情などで突如変更になる・現場での判断で通常と違う扱いが起こる、というようなこともよくあるようです。本稿はあくまでこの旅行を行った2023年12月時点での私の体験を参考資料として残したもので、最新事情は必ずご自身で確認いただきますようお願いします。


手順⓪全ての準備の前に

もしご自身のクレジットカードが海外キャッシングに対応していない場合、まずその申込みをしたほうがよいと思います。ルアンパバンの駅またはビエンチャンの駅には両替施設がなくATMのみなので、ATMでお金が下ろしてラオスキープを作らないとどこへも行けず身動きが取れなくなるからです(本稿の最後の最後に登場します)。
そして可能なら無事にお金が下ろせるかも事前に試しておいたほうがいいと思います(私はその前の台湾・高雄に行った旅行でなぜかカードが認識せず、事前にカード会社に相談しておいたという前段があります。これをしていなかったら現地で往生したかも)。

手順①鉄道の切符を手配する

2023年12月現在、日本人が中国に入国するにはビザの取得が必要となっています(24時間以内に他国へトランジットする場合にビザ免除となる措置がありますが、空港以外からの出国をするためこの対象とならないようです(参考))。このビザの取得の際に「往復航空券とホテルの予約表」の提出が必要となっていますので最初に鉄道の切符を購入します。中国の鉄道の切符は「铁路12306」というアプリを使用して購入します(30日前から購入可)。

下記のサイトがインストールから購入まで詳しいので参照ください。

注意点としては、
・中国から越境する国際列車もこのアプリで購入出来ます。中国側の始発駅は「昆明南」です。
・ラオスの駅名は中国語表記になっています。ルアンパバンは「琅勃拉邦(láng bó lā bāng)」、ビエンチャンは「万象(wàn xiàng )」です。
・割と人気で埋まりやすいようなので早めに買いましょう(私の時は2週間前で2等席は売り切れていた)。
・昆明南からビエンチャンまで一本で直通する列車は昆明南8時8分発の1本しかありません。
無事に鉄道の切符が手配出来たら、行きの航空券と宿泊で必要なホテルを予約しましょう。ビザの取得に必要なのはここまでなので、ラオスから先の旅程はあとからゆっくり考えても大丈夫です。
ホテルの予約時に要注意なのはホテルが外国人を宿泊させる資格を持っていないと日本人が泊まれないことです。困るのはAgodaなどで予約するときに無資格のホテルでも予約は出来てしまうことで、いざ現地に行ってみると「資格がないので泊められない」と言って宿泊を拒否されます(私はこのことを知らず上海のホテルでたらい回しに遭いました)。詳細は下記のページなどをごらんください。

手順②中国ビザを取得する

中国ビザは、
①東京、大阪、名古屋のいずれかの中国ビザ申請サービスセンターのウェブサイトでオンラインで記入する
②その中国ビザセンターに行き、窓口で申請を行う
③所定の日数後、中国ビザセンターに取りに行き、費用を支払う
という手順にて取得します。詳しくは下記のサイトをご参照ください。

2023年12月以前はこの②の窓口申請に予約が必要で、最長で1ヶ月ほど待つ時期もあったようですが(そうすると鉄道切符の手配してからでは間に合わない)この予約制度はなくなりました。
合計2回ビザセンターに行かねばならず非常に面倒で、とくに地方の人には中国旅行実施の大きなハードルになっているのではないでしょうか(代理店に依頼するケースが多いと思います)。
ひとつTIPSですが、申請の際に電子申請に写真をアップロードするのと別に「紙焼き」で1枚写真が必要になります。これを忘れるとビザセンターの証明写真機で1000円使うハメになるのでご注意ください(このとき失敗したのに2024年5月に再度申請した際にまた忘れ無駄金を使ってしまいました・・・)。
あと窓口で鉄道の予約メールを見せてもどこからどこへ行くのかよく分かってもらえませんでした。ビザセンターの人はあくまで係員であって旅行会社の人ではないので無理もないかと思いますので、旅程をがんばって説明するしかないと思います。ちなみにラオスは中国語で「老挝(ラオウォ/Lǎowō)」と言うのは知っておきましょう。
また、ラオス側から中国に再度戻る旅程を組む場合はマルチビザが必要になると思われますが、取得が容易でないと聞きますがどうでしょうか(私はやってないので分かりません)。

手順③昆明南駅へ向かう

さていよいよ現地です。
高鉄の始発駅である昆明南駅はその名の通り昆明市街から南にかなり離れたところにあります。
駅では手荷物検査と発券手続きがあるため、遅くとも30分前には到着したいところです。また昆明南駅のある地下鉄1号線は午前7時以前は非常に本数が少ない(30分に1本くらいだった)ため前日に駅などで時刻を確認してください。市街地から昆明南までは50分くらいかかります。

昆明南駅の地下鉄ホームから上がり駅の入り口を入るとまず手荷物検査を受けます。そのあと構内の一番真ん中にある「客服中心」で予約メールを見せて発券します。

分かりにくいですが右下に中老鉄路(中国ラオス鉄道)の切符窓口であると看板が出ています
こういう紙の切符を発券してもらいます

手順④乗車する

高鉄は所定の改札の時間が来ないとホームには入れません。午前8時8分発の万象(ビエンチャン)行きに乗るわけですが入れるのは15分前の7時53分からです。時間になると紙の切符を改札係の人が持っているスマホ?でピッとQRコードを読み取って入場になります。
なお「WeChatでコロナのワクチン接種記録を見せなければいけない」という情報を見たのですが、この旅行でそれが求められることはありませんでした。

8時8分になると発車ベルもなくすっと列車が出発します。撮影をしていて乗り損なった・・・ということがくれぐれもありませんように。
途中で女性のアテンダントさんが検札に来ます。ここで「ラオス入国の為のビザを持っているか」が確認されますが「日本人はラオス入国にはビザが不要である」旨伝えましょう(中国人は必要。アテンダントさんは他国の人も必要だと思っている)。英語はあまり通じないかもしれません。その時は翻訳アプリとかでがんばって話してください。
出発時は空席が多いかな?と思いましたが、途中の西双版納(シーサンパンナ)でどっと人が乗ってきて満席になりました。

手順⑤中国側の出境をする

12時23分に中国側最後の駅・磨憨(móhān)に到着します。ここで荷物を持ち下車します。1時間の停車時間が取られているので、この間で出境手続きをします。人の流れについてイミグレーションに行きます。

人の流れにくっついていけばいいのでそれほど難しくはないかと思います。イミグレーションでは中国人と外国人のカウンターがあり、外国人側に並びます。出境手続きが終わり、乗車時間になると再び乗車します。

手順⑥ラオス側で入境をする

列車が出発しトンネルを抜けて少しすると今度はラオス側最初の駅・ボーテンに到着します。ここからアテンダントや駅の係員がラオス人に変わります(ここから車内での食事は禁止という情報を見ましたがどうでしょうか? 私は何も食べなかったのでよくわかりません)。そして時差で1時間マイナスされます。

駅の係員さんもラオス人に

ここでも1時間の停車時間が取られています。先ほど同様に人の流れに沿ってイミグレーションに行き、ラオスへの入国手続きをします。ラオスの入国カードをここで書くことになるのですがカウンター手前で整理をしている係員が事前にこのカードをチェックします。このときビザの取得日時を書く欄が空白なので「ここを書け」と言って追い返されます(日本人が不要だというのを知らないのでしょう。英語で一応言ってみましたが通じませんでした)。仕方なく人が終わるのを待って係員がいなくなったところでカウンターに直接提出したところそれで問題なく通してもらえました(筆記具があまり置かれていないのでペンを持ってると便利です)。
時間が1時間戻ったために時間の表示でちょっと混乱しますが、発車20分前から乗車可能になります。

メインの掲示がラオス語になります

手順⑦ルアンパバン駅にて

ここから1時間ちょっと走って14時49分にルアンパバン駅到着です。もしビエンチャンまで行く場合は16時34分着です(ビエンチャン駅については未訪問のため他の方の記事を参考にしてください)。

ルアンパバン駅の巨大な駅舎。この右手の方にATMがある

本稿の一番最初に書いた話ですが、ルアンパバン駅では両替ができません(途中の入出境駅でも両替出来るところは見当たりませんでした)。クレジットカードを海外キャッシングありにして、駅の出口から一番奥の方(この写真の一番右のほう)にあるATMでラオスキープを下ろすことになります。
駅からはソンテウかタクシーの相乗りで市中へ行くことになります(たくさんの中国人観光客は元から予約しているであろうマイクロバスなどに乗って市中に行きます)。
『地球の歩き方 ラオス』の最新版(2024~2025)には「乗合バン乗り場でチケット(35000キープ)を購入し、目的のホテルなどに向かう」とあるのですが、聞いてもどこでチケットが売っているのかよく分かりませんでした。最終的に声をかけられたソンテウで最初「20万」と言われたのですが、ガイドブックに35000とあるのを見せて「高い」と伝えたところ「でも1人だから10万で」と言われ、それもそうかと思いその値段で乗車し予約したゲストハウスの最寄りのところまで送ってもらいました(私は簡単なタイ語が出来るのでそれで話しましたが英語が通じるでしょうか・・・)。

以上、参考になれば幸いです。

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