見出し画像

「児玉清さん対策」をした時代

ついに終了してしまったアタック25についてつらつらと書いてきましたが、書き足りないことがまだまだあります。

「アタック25」に自分あるいは知人の出場が決定すると、当然ながら優勝を目指していろいろな対策を行います。自分でクイズの本を読んだり、時事ニュースをまとめたりするほか、実際に早押し機を使ってパネルの取り方を練習する人もいます。私もクイズサークルに所属していたときなど、早押し機と問題を用意してサポートしたりということもしてきました(そしてこんなことももうやることはないのですね・・・寂しい)。

当日の収録の段取りなどをあらかじめ聞いておくのと、まったく知らないのとでは緊張の度合いも変わるというもので、早押しのテクニックだけでなく、収録上のいろいろな気付きについて教えていったりするのですが、その一環で、かつて私が大学のクイズサークルにいた時分には当時ならではの独特な対策がありました。それは「児玉さん対策」です。

普通のクイズ番組では、クイズの正解・不正解の音を鳴らす判定の役割はスタッフさんだったり、問題を作る作家の人が担当したりします。ところがアタック25は変わっていて司会者が自らこの正誤判定をするのが番組の大きな特徴でした。博多華丸さんの児玉さんのモノマネで「その通り!」ってやるじゃないですか。アレがまさにそれです。そして不正解のブザーも児玉さんが押すのですが、これがクセモノでした。

のちの二代目司会者の浦川泰幸アナや三代目司会者の谷原章介さんではそのようなことはなかったのですが、児玉さんが進行にアヤをつけたいときこのブザーの判定が微妙に変わるのです。たとえば、パネルの枚数が圧倒的に独走状態にある解答者が、ボタンを押して回答に少し詰まると、阿部四郎の高速カウントばりにすかさずブザーを鳴らされます。

同様に圧勝状態にある人が少し曖昧な答えをすると「正確にお答えいただきたかった」と言ってバツにしてしまいます(パネルが極端に少ない人の場合は「いいでしょう」と言いながら正解にしてくれる)。児玉さんが博識なので正誤判定ができ、そして「最後まで競り合いを作って面白い番組にしたい」という思いから、この独特な仕組みがあるのですが、これで損をしないように対策を授けるのです。

すなわち、
・独走状態にあったら、ブザーを鳴らされないようにテキパキ答える
・曖昧な答え方は裁量でバツにされることがあるので、正確に答える
というだけでなく、
・角に入れるのに入らないなどパネルの取り方が最善でないと目をつけられる(パネルをきちんと取らないと競り合いにならず盛り上がらないから)
といったことを教えたりしたものです。

アタック25では
・2問目を取らない(そのあとのパネルの展開が難しくなる)
・ラスト5問が勝負
・あっという間に終わってしまうのでとにかくずっと集中する
・急に短文の問題が出る(この傾向は後年なくなった)ので、いつ来てもいいように構える
・「曲のタイトルで文章を作りました。さて誰の曲でしょう」のような他で出ないタイプの問題に慣れる
・終盤に優勝態勢で、パネルを上段と下段で選択できるときは下段をとる(フィルムクイズの時に字幕が見えるから)
といったことも伝えたりしていたのですが、こんなことをやる機会ももうないのですね(だからここに書いちゃいました)。

視聴者参加のクイズ番組が多かった時代には、こういう番組の性格に即した対策などもひそかにマニアの間で語られてきたものですが、もう使う機会もないですね。実に寂しいものです。

蒲田カルチャートークのデザインやお手伝いスタッフの謝礼など運営費用に使わせていただきます。大田区の街をこれからも盛り上げていきます!