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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~「痩せたい」と「食べたい」のその先へ~161


いつだったか……摂食障害が一番酷かった頃、過食嘔吐が辛くて、辛いのにやめられない自分が嫌で、もう何もかもが嫌で嫌でたまらなくて、全てを終わりにしたいと思ったことがあった。ホームの一番前に立って、電車が入ってくる度に『ここでもう一歩踏み出せば、全てが終わる。辛いことも、嫌なことも何もかもが無くなる』って思ったけれど、怖くて、私にはその『一歩』が踏み出せなかった。何本も何本も目の前を電車が通過していく度に『私には終わらせることすら出来ないんだ……』って思って、絶望して、どうすることも出来なかった……そんな自分を思い出していた。

今だって、辛いことや嫌なことがない訳ではないし、時々全てを終わらせたいと思うことだってある。ただ、相変わらず私には『一歩』を踏み出す勇気はないし、たとえその『一歩』を踏み出したとしても全てが終わりになる訳でも、楽になれる訳でもない、ということが何となくわかっていた。

「生身の人間の人生は、ゲームや機械とは違うのだからリセットボタン一つで全てをやり直せる訳ではないんだよね。結局、どんな状況だとしてもその時の自分に出来ることを、出来る範囲で、出来ることから一つ一つやっていくしかないし、それを諦めないで続けることでしか前には進めないんだよね」

ホームに電車が入ってきた。私は、相変わらず『一歩』を踏み出すことなくゆっくりと電車に乗り込んだ。それが、今の私に出来ることだった。


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